火の鳥1 黎明編 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041066300

作品紹介・あらすじ

時は古代。女王ヒミコのヤマタイ国と対立するクマソ。部族間抗争は烈しく、戦場は火の海に。度々の危機をくぐり抜けて数奇な運命をたどる姉弟ヒナクとナギ、防人の猿田彦。そして、手柄欲しさに「火の鳥」を狙う欲望の男たち。酷くも美しいヤマトの自然を背景に「永遠の生命」へのそれぞれの「戦い」を描く。
解説:赤川次郎
新装版豪華企画:トリビュート漫画 今日マチ子

感想・レビュー・書評

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  • このところ疲れからか頭がぼんやりしてしまって、読書記録がうまくまとめられず。
    言葉も出てこないし、でも少しでも書くようにしないと衰えるばかり、と踏ん張って記録。

    クマソの国で暮らすナギと姉、ヒナク。
    姉が病気になり、彼女を病から助けようと火の鳥を追って命を落とす義兄。
    姉の容体がいよいよ悪くなってきたところに流れ着いた異国の男、グズリ。
    彼がもたらした医術でヒナクは病から回復するが、グズリはヤマタイ国の間者で。

    火の鳥はパパが雑誌の別冊?を買ってきてくれた。最初に読んだ漫画の中の一冊。
    サスケ、ブラックジャック、ドラえもんと火の鳥、なんでか急にどっさり。
    ヤマタイ国の女王、ヒミコは老いを恐れ、若返ろうと火の鳥の生き血に執着する。
    子供のころ、繰り返して読んでいた時は、クマソを滅ぼすヤマタイ国、ヤマタイ国を攻める高天原族のひたすらな権力争いに「日本の歴史」漫画と漠然と思っていた。火の鳥もあまり登場しないし、人がどんどん殺されるし。
    今改めて読んで、欲の様々な形を見せつけられる。
    あと、若い女子はつるんとした少女漫画顔なのに、歳をとっていくヒミコの顔はどんどんリアルになる怖さ。
    何度読んでも、ウズメの美醜を利用したしたたかな生き方とラストの啖呵がカッコイイ。
    でも、好きではなかったヒナクも同じようなことを言ってることに読み直して気が付く。

    それと、私の記憶だとタケルは最後、女の子と戻ってきたと思うんだけどなあ。
    他の話とごっちゃにしてるかな。

  • 西暦2-3年ごろ騎馬民族が日本列島へ侵略して邪馬台国の卑弥呼が病気で亡くなるまでが、この黎明編のようです。

    そこに長生きができるといわれる火の鳥の血を卑弥呼は手に入れるためにたくさんの犠牲者が後を経たない残酷な描写が続きます。
    小学校の歴史の教科書で習った卑弥呼のイメージとはかなり違いました。

    歴史的にどこまでが本当かわかりませんが、それよりも手塚治虫さんは、力がある人間が優先して領土を奪い合い、その人間たちはより長生きがしたい、強い男は美人と結婚するべきなど、欲望だらけの人間の姿を、こどもにも分かりやすく描かれていました。

    現代でも長生きがしたい、強い人間(富裕層)になりたい、美人になりたい欲望は変わらないことを手塚治虫さんは予測していたのかもしれませんね。
    いつの時代でも読める漫画だと思います。
    続きの「火の鳥2」も読みたいですね。

  • 手塚治虫の本は初めて読んだかもしれない。
    石ノ森氏の漫画もそうだったけど、世代が違うからか、場面転換に大きな違和感がある。
    説明過多と思うところもあれば、逆に説明不足と感じる点がそこかしこにあって読み疲れる。
    それに歴史物だと思ってたら横文字が普通に使われてるし、メタなことをキャラクターが喋るし、著者の作風なんだろうけど滑ってるんだよなあ。
    読み終えるのに数日かかった。名作と言われてなければ最初の数ページで投げ出している。
    とっくに殺してるのに「生き血」ってなんやねん。

    読む前に気になっていた巻末おまけは「誰が何のために?」と問いたくなる内容。
    今日マチ子という素人みたいに雑な漫画が挿入されており非常に不快だった。手塚治虫と並べるのは失礼では?いくらギャラ貰ったのかな?
    赤川次郎の「解説」はただの故人への思い出話で解説じゃないし、わざわざ昔の雑誌から転載しなくていいのに。
    載せるものないなら潔く省いた方がマシだ。

  • 人はなぜ生まれなぜ死ぬのか
    不死を手に入れるために描かれる人間の欲深さ、自分が長生きしたい、死にたくない、大切な人を生かしたいと「火の鳥」に希望を託すが思い通りにはいかず、死が平等に訪れる。

    私は一体どこから来て、そして、どこにいってしまうのか。死ぬとどうなるのか。考えたことの無い人はいないでしょう。火の鳥シリーズはその人生にとっての最大の謎が根源的なテーマになっています。作中で描かれるのは、生きていること、死んでしまうことに対して悩み苦しむ私達の姿です。だからこそ、この物語は多くの人を夢中にさせ、心を掴んで離さないのだと思います。

    そして、何より感動的なのは、試練に満ちた物語の中に、確かな希望が宿っていることです。それは、主人公が大きな幸福を手にするといった種類のものではありません。むしろ、絶望や空しさの中に射す一筋の光のようなものです。本作では邪馬台国の侵略を受けた村の生き残りである少年「ナギ」と卑弥呼に仕える防人さきもりの「猿田彦」の親子にも似た師弟関係の愛が描かれます。火の鳥をめぐる争いの最中、ナギは猿田彦に対して、猿田彦が好きだから逃げてほしいと口にします。猿田彦は涙しながら自分を好きだともう一度言ってくれと懇願します。

    火の鳥の生き血を飲んで、永遠の生命いのちを得られたとして、本当に幸せになれるのか。人生における喜びとはどこにあるのか。苦悩する人間たちを見つめる火の鳥の悠然としたその姿が、目に焼き付いて離れません。

  • 卑弥呼伝説に、「騎馬民族征服王朝説」(江上波夫)が取り入れられたとのこと。

  • 現代を生きる私は永遠に生きるなんて絶対に嫌だと思ってしまうけど、この時代の人々は戦争もあり、またまともな医療も受けられない過酷な状況にあったからこそ生に執着したのかもしれない。私たちは恵まれすぎているのか。

  • 火の鳥 1 黎明編

    ※角川文庫だが、ここにあるのとは表紙が違う。私が持っているのは表紙に絵がない。

    舞台は日本、西暦3世紀ごろのお話。
    卑弥呼、スサノオ、猿田彦、ナギ、ウズメ、ニニギなどが登場。主人公は少年ナギかな。ナギの一族が卑弥呼の邪馬台国に蹂躙され皆殺しとなる。ナギは唯一の生き残りで、猿田彦の奴隷となる。猿田彦とナギは徐々に絆を結ぶが、その一部は割と露骨に同性愛的に描かれているところあり。
    卑弥呼は火の鳥の血を飲んで不老不死になることを目論む。数多の人間が火の鳥を狙ってきたがみんな失敗して死んできた。だが最後に、卑弥呼に雇われた天の弓彦が火の鳥を仕留める。だが、卑弥呼は火の鳥を前にした瞬間、血を飲むことなく病で死ぬ。火の鳥はマグマに飛び込み若鳥の姿で再生する。

    登場人物のほとんどが戦争により死んでいく。ナギ達一族を殺すための斥候となった医者グズリと、ナギの姉ヒナクが活火山の洞穴のような場所に取り残される。巨大な壺のような場所の底で、到底出られない。しかし雨水は入るし草も生えてくる。彼らはたくさんの子をなし、そのうち、長兄が青年になったころ、なんとかひとりそこから這い出し、世界へと歩み始める、というところで黎明編は終わり。

    エピソードの合間合間に、著者による解説がときどき入る。この国の成り立ちの説や、神話について。

  • 本当に今更ながら火の鳥を手に取りました。
    イザ・ナギのナギにヒミコ…天照大神…スサノオ…サルタヒコノオオカミ…
    日本神話?古事記??みたいなものがベースになってるのが”黎明編”なんだろうか……
    しかし火の鳥の神の視点…気になるな…
    しかし人間は愚か…(手塚治虫あるある)

  • 2023.03.03
    【書評】『火の鳥1 黎明編』~幼少期の記憶が蘇る~
    https://naokis.doorblog.jp/archives/hinotori_reimei.html

  • 手塚治虫の名作と言われる火の鳥を初めて読み始めました。何が正義で何が悪なのかよく考えさせられる。ナギ、猿田彦、弓彦、グズリやウズメ含めどのキャラクターもキャラが立っており、また邪馬台国時代の歴史に関しても少し学べて、面白かった。「火の鳥」を通じてどのように他の話に繋がっていくかが楽しみ。

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著者プロフィール

1928年、大阪府豊中市生まれ。「治虫」というペンネームはオサムシという昆虫の名前からとったもの。本名・治。大阪大学附属医学専門部を卒業後、医学博士号を取得。46年、『マアチャンの日記帳』でデビュー。幅広い分野にわたる人気漫画を量産し、『ブラックジャック』『鉄腕アトム』『リボンの騎士』『火の鳥』『ジャングル大帝』など、国民的人気漫画を生み出してきた。

「2020年 『手塚治虫のマンガの教科書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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