- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041066300
作品紹介・あらすじ
時は古代。女王ヒミコのヤマタイ国と対立するクマソ。部族間抗争は烈しく、戦場は火の海に。度々の危機をくぐり抜けて数奇な運命をたどる姉弟ヒナクとナギ、防人の猿田彦。そして、手柄欲しさに「火の鳥」を狙う欲望の男たち。酷くも美しいヤマトの自然を背景に「永遠の生命」へのそれぞれの「戦い」を描く。
解説 赤川次郎
新装版豪華企画:描き下ろしトリビュート・コミック 今日マチ子
感想・レビュー・書評
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このところ疲れからか頭がぼんやりしてしまって、読書記録がうまくまとめられず。
言葉も出てこないし、でも少しでも書くようにしないと衰えるばかり、と踏ん張って記録。
クマソの国で暮らすナギと姉、ヒナク。
姉が病気になり、彼女を病から助けようと火の鳥を追って命を落とす義兄。
姉の容体がいよいよ悪くなってきたところに流れ着いた異国の男、グズリ。
彼がもたらした医術でヒナクは病から回復するが、グズリはヤマタイ国の間者で。
火の鳥はパパが雑誌の別冊?を買ってきてくれた。最初に読んだ漫画の中の一冊。
サスケ、ブラックジャック、ドラえもんと火の鳥、なんでか急にどっさり。
ヤマタイ国の女王、ヒミコは老いを恐れ、若返ろうと火の鳥の生き血に執着する。
子供のころ、繰り返して読んでいた時は、クマソを滅ぼすヤマタイ国、ヤマタイ国を攻める高天原族のひたすらな権力争いに「日本の歴史」漫画と漠然と思っていた。火の鳥もあまり登場しないし、人がどんどん殺されるし。
今改めて読んで、欲の様々な形を見せつけられる。
あと、若い女子はつるんとした少女漫画顔なのに、歳をとっていくヒミコの顔はどんどんリアルになる怖さ。
何度読んでも、ウズメの美醜を利用したしたたかな生き方とラストの啖呵がカッコイイ。
でも、好きではなかったヒナクも同じようなことを言ってることに読み直して気が付く。
それと、私の記憶だとタケルは最後、女の子と戻ってきたと思うんだけどなあ。
他の話とごっちゃにしてるかな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
西暦2-3年ごろ騎馬民族が日本列島へ侵略して邪馬台国の卑弥呼が病気で亡くなるまでが、この黎明編のようです。
そこに長生きができるといわれる火の鳥の血を卑弥呼は手に入れるためにたくさんの犠牲者が後を経たない残酷な描写が続きます。
小学校の歴史の教科書で習った卑弥呼のイメージとはかなり違いました。
歴史的にどこまでが本当かわかりませんが、それよりも手塚治虫さんは、力がある人間が優先して領土を奪い合い、その人間たちはより長生きがしたい、強い男は美人と結婚するべきなど、欲望だらけの人間の姿を、こどもにも分かりやすく描かれていました。
現代でも長生きがしたい、強い人間(富裕層)になりたい、美人になりたい欲望は変わらないことを手塚治虫さんは予測していたのかもしれませんね。
いつの時代でも読める漫画だと思います。
続きの「火の鳥2」も読みたいですね。 -
これまでつまみ食いのように読んできた『火の鳥』であるが、一度全体を読んでみたいと思い、第一巻から読み始めた。
古代日本の歴史を参考にしたと思われる舞台設定でストーリーは展開する。老いを恐れるあまり永遠の若さを求めて火の鳥を捕まようとする女王ヒミコの命により、防人の猿田彦は火の鳥のいる場所であるクマソを襲い、住民を皆殺しにするのだが、なぜか猿田彦は若者ナギの命を救い、ヒミコが治めるヤマタイ国に帰還する。
なかなか火の鳥を捕らえることはできないが、(本作を書いた当時一世を風靡していた騎馬民族説を参照したと思われる)国土征服を目指すニニギ率いる高天原族がヤマタイ国を滅ぼそうと戦いを仕掛ける。
一方、やはりクマソの地で一命を取り留めたナギの姉ヒナクとその夫グズリは火山の噴火のため高い壁に囲まれた穴底で脱出ができなくてしまったが、彼らは何とか生き延び子供を産み育て、将来への一筋の希望をつなぐのだった。
ざっとこんなストーリーであるが、コマ割りの妙、迫力のある戦闘場面の描写などさすがに手塚さんという感じだし、正にライフワークと言ってよい『火の鳥』のこれからの気宇壮大な展開を予想させるスタートだった。
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ワクワクする!!
久しぶりの漫画を読んでて楽しいこの感覚だよ。 -
#3761ー45ー192
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人はなぜ生まれなぜ死ぬのか
不死を手に入れるために描かれる人間の欲深さ、自分が長生きしたい、死にたくない、大切な人を生かしたいと「火の鳥」に希望を託すが思い通りにはいかず、死が平等に訪れる。
私は一体どこから来て、そして、どこにいってしまうのか。死ぬとどうなるのか。考えたことの無い人はいないでしょう。火の鳥シリーズはその人生にとっての最大の謎が根源的なテーマになっています。作中で描かれるのは、生きていること、死んでしまうことに対して悩み苦しむ私達の姿です。だからこそ、この物語は多くの人を夢中にさせ、心を掴んで離さないのだと思います。
そして、何より感動的なのは、試練に満ちた物語の中に、確かな希望が宿っていることです。それは、主人公が大きな幸福を手にするといった種類のものではありません。むしろ、絶望や空しさの中に射す一筋の光のようなものです。本作では邪馬台国の侵略を受けた村の生き残りである少年「ナギ」と卑弥呼に仕える防人さきもりの「猿田彦」の親子にも似た師弟関係の愛が描かれます。火の鳥をめぐる争いの最中、ナギは猿田彦に対して、猿田彦が好きだから逃げてほしいと口にします。猿田彦は涙しながら自分を好きだともう一度言ってくれと懇願します。
火の鳥の生き血を飲んで、永遠の生命いのちを得られたとして、本当に幸せになれるのか。人生における喜びとはどこにあるのか。苦悩する人間たちを見つめる火の鳥の悠然としたその姿が、目に焼き付いて離れません。 -
卑弥呼伝説に、「騎馬民族征服王朝説」(江上波夫)が取り入れられたとのこと。
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現代を生きる私は永遠に生きるなんて絶対に嫌だと思ってしまうけど、この時代の人々は戦争もあり、またまともな医療も受けられない過酷な状況にあったからこそ生に執着したのかもしれない。私たちは恵まれすぎているのか。