火の鳥2 未来編 (2) (角川文庫)

  • KADOKAWA (2018年6月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784041066317

作品紹介・あらすじ

西暦3404年。地球最後の都メガロポリスは戦争勃発で放射能におおわれる。恋人タマミをはじめあらゆる生物が死に、一人残ったマサトは、火の鳥に地球復活の命を受ける。孤独で過酷な三十億年の試練を経、ようやく人類創造を達成。壮大でかつ神秘的な銀河宇宙を背景に文明=人間の鵜よさと愚かさを描く感動作。
新装版豪華企画:描き下ろしトリビュート・コミック しりあがり寿

感想・レビュー・書評

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  • 西暦3404年として、寒くて暑い地球では生き物たちは住めなくなってしまったので、生き物すべて地下で生活している設定で始まります。

    その地下でもそれぞれの国や宗教の違いで、それぞれのChatGPTのような計算機司令塔があり、意見が合わず揉めている。まさにトランプと習近平とプーチンのようです。

    そこに出てくる女性ロボットたちと警察犬ロボットたちが戦いますが、まさに今のドローン攻撃の扱い。

    国の代表たちの話し合いでは市民の服装や食事の制限をすることを評決。共産主義がエスカレートしてスマートシティで一見豊かに見える感じ。

    そんな地下都市から遠く離れたところに、ひとり孤独に研究している博士はクローンのようなたくさんの人口動物を生産。その中に人間も。

    どんどん地球が悪い方向に向かっていきますが、そこで火の鳥がもう一度正しい地球を再生することをマサトに命じる。
    マサトは理想の素晴らしい地球にすることが出来るのか。

    なんだかユバルノアハラリさんのサピエンス全史をショートバージョンマンガにしたような印象です。

    手塚治虫さんは予言していたのか、現実に起きている今をディストピアとして描いています。
    火の鳥がいてくれれば地球が良くなるのかは疑問ですが。

  •  第二巻の舞台は「未来編」とあるとおり、西暦3404年、地球は急速に死に向かっていて、地表の生命は細々としたものしか残らず、人類は地下を最後の砦として「永遠の都」と名付けられた世界5つのメガロポリスで生活を送っていたが、各都市はその支配を電子頭脳に委ねていた。そしてあるとき戦争が起こり地球は放射能に覆われてしまい、人類はほとんど死に絶えてしまう。
     
     地上に残って生命体を創ろうとしていた猿田博士の研究所は辛うじて放射能汚染を免れていたが、そこには不思議な生命体ムーピーの恋人タマミの命を助けようと地下から逃亡してきたマサトが博士に助けられていたが、彼の前に火の鳥が現れて、彼には地球を復活させる使命があると不思議な指示をする。一方、戦争前にやはり脱出した彼の上司ロックと猿田博士は、諍いの末、放射能汚染のため共に命を落としてしまう。
     ただ一人取り残されたマサト、不死のマサトはどうなるのか……というあらすじ。

     本作では、全体の要とも言える「宇宙生命(コスモゾーン)」について火の鳥の口から語られ、また、人間を含め様々な生物が生まれ、進化し、しかしどこかで間違った道に進んでしまったこと、それでもなお「今度こそ……生命を正しく使ってくれるようになるだろう」との一筋の希望への思いが語られる。
     作者の『火の鳥』を通して描きたかった思い、その思想がかなり打ち出されている一冊で、とても読み応えがあった。

  • 1巻でワクワクして2巻でとんでもなく落ち込みました。悲しくて怖くて。前を向きたい。

  • #3772ー49ー203

  • 最近児童の調べ学習用の、自然災害や環境問題の本をよく読んでいるので、
    この漫画は全くフィクションには思えない。
    未来が怖い…
    環境問題の勉強をする子どもたちに、
    手塚先生の生前の後書きを読んでもらいたい。

  • コンピューターに政治判断を委ね、自分たちで思考しなくなった人間が滅びるという、近未来を予知するような内容に恐ろしさを感じる。今の人類も、かつて何度も生まれては絶滅し、を繰り返しているのかもしれない。いつになれば賢くなって平和に暮らせるのだろう、いまだに愚かな争いを繰り返す私たちに強烈なパンチを見舞うすごい作品だと思った。

  • なにこれ。
    壮大すぎて理解の域を超えていた。人間そのままを体現した感じ?タマミとマサトの恋物語はいつの間にやら猿田博士を経由し人類の歴史を辿りながら火の鳥へと行き着く。
    でも、これ、読者はどうとればいいんだろう、ていう困惑が一番かな。今まで本読んできて見たことないくらいに超人的つーかエグいつーかスケールがでかいつーか。とにかくぶっ飛んでて、読んでて、人類って何なんだろう、生命って何なんだろう、って考えるけど難しすぎて頭パンクしそうだし。気が遠くなる。宿題がありすぎてどこから手を付けていいのかわからない小学生みたいな気持ちになりました(語彙力崩壊)
    結論。手塚治虫はやっぱり天才。(そこ?)

  • 「こんな話を描かれてしまったら、後に残された私達ゃいったい何を描けばいいんだ?」
    それがこの作品を読み終えた直後の、素直な感想。
    人類が破滅へ向かって加速しつつある近未来の地球が舞台。人類の滅亡後、気の遠くなるような月日が流れ、地球は再び、恐竜時代から人類の誕生まで、似たような過程を経験していく。ここに描かれていない物語を描くとするなら…

    ①手塚さんと同じく、近未来の地球からさらにその先の未来へ話を進めるが、まったく異なる展開を用意しておく
    ②もしくは、手塚さんとは逆に、現代から過去へ遡ってみる。でも、遡ったハズが、現代よりもずっと進んだ文明と出合うことになる(マヤ文明とか、実際に存在した文明の中には、こういう印象を与えるものもあるよね)
    ③あるいは、近未来から話が動かない(笑)
    ④というよりも、手塚さんがすっ飛ばした細かい部分を、虫眼鏡的な視点ですべて描き切る

    とか?
    いずれにせよ、こんなに壮大なスケールの話を、最後までエネルギッシュに描き切った見事さに直面したら、ショックでしばらく動けない。

  • 思想が強すぎるが、他にないほどの超壮大さが面白かった。
    ナメクジが文明を築いていくの、キモ面白い。
    未来というSF展開でありながら、人類のいろんな愚かさが出ているのもすごい。

  • score:4.8

  • ここ1年ほど勉強してきた歴史、経済、環境問題、スピリチュアル、戦争、哲学、生物学がここに集約されてた感じ。
    子どもの頃に出逢っておきたかったな…
    すごい。

  • ラストの方で火の鳥とマサトが語り合うシーンが特に良く、これから続く一連のシリーズの根幹をなすやりとり7日と感じた。
    種を超えた愛、まだまだ異星人との出会いはないけれど、これから何百年か先にあり得る未来かもしれない。

  • 10/21(土)朝に読了。哲学とかじゃない。人のためじゃない、もっと広大で静寂の恐ろしいもの。上から下までの高くて低いところまでのあるいはもっと違った次元同士からの全ての物質にコスモゾーンが宿っていて、だからこそ恐ろしい。

  • 凄い…こ、こんなSFから地球礼讃のテーマに繋がっていくとは…コ、宇宙生命(コスモゾーン)…。
    そしてまさかここから黎明編に繋がるとは…すげえ…。
    未来ってそういう意味じゃなくてね…なるほど…。
    火の鳥の正体?秘密??も分かるような、分からんような…。
    美しい人間の女性型に変異したムーピー(地球外生命体)と、人間の青年のロマンス…逃走劇…アダムとイブ…。
    でもアダムとイブといっても、どんな形かというと……。
    凄過ぎる、手塚治虫…。

  • 1巻の黎明編とはうってかわって、はるか未来の話。人間の生きていた地上は荒廃し、地下に都市を作り生きる世界。人間によって作られた電子頭脳によって人間に命令が下され、支配される世界。ここでまた戦争が起こり、滅亡し新たな生命が生まれるといった、生物の過ちの繰り返しと輪廻に関することが題材のようだ。まだ1,2巻しか読んでないが、2巻の最後が1巻にの始まりに繋がるのは予想できなかった。3巻以降も楽しみだ。

  • 説明書きが多く、字が小さく老眼には辛い

  • 神と生命の輪廻

  • 骨付き豚肉ステーキ。これは美味しい!
    最後は骨を鷲づかみにして、骨の周りに貼り付いた肉をガシガシとしゃぶった。至福のひととき。

    *************************
    手塚治虫「火の鳥 未来編」を読み返す。

    10代終わりの頃初めて読んだときに、銀河宇宙をとりまく壮大なストーリーに圧倒され、思いもよらない展開に衝撃を受けた。

    私の人生観に大きな影響を与えたと思う。その後、折にふれこのストーリーを思い出し、その意味するところを何度となく考えた。

    この作品が発表されたのは55年前(1967年)だが、全く色褪せていない。まるで予言の様に人類の未来社会の行く末を描いている。

    西暦3404年、人類は人工知能の意思決定に従う社会になっていたが、各国の人工知能同士が対立し、核戦争を決定してしまう。

    開戦と同時に人類は核爆弾で瞬時に死滅。火の鳥から不死の命を与えられた主人公1人だけが生き残る。

    迫るリアリティ。改めて読み返すと、現実がどんどんこの作品にすり寄っている気がして戦慄が走る。3404年まで保たない気がする。

    不死の命を得た主人公は、新たな人類の誕生を30億年待ち続け、その人類が同じ過ちを繰り返さないか見守るという使命を、火の鳥から担う。壮大な物語に気が遠くなる。

    神とは何かというテーマも迫ってくる。私にはそんなことわかるはずもないが、思わず考えずにはいられなくなる。手塚治虫は神の使いなのか。

    *****************************
    文庫本の漫画はキツい。スマホで読む漫画もそうだが、字が小さすぎてよく見えない。

    気合いで読み続けるが疲労困憊する。目がしょぼしょぼする。息子達は平気で読んでいる。羨ましい限りだ。

    こんな話を会社でしたら同僚の女子が、「もう使わないから捨てようと思っていたから、よかったらあげる」と、100キンで買ったという虫メガネをくれた。

    助かる。よく見える。
    喫茶店などでよく見かける、虫メガネで本を読む高齢者ゾーンに、私も突入したようだ。

  • 人間の存在とは?を問い直す
    未来編では、人間の成り立ちをすごい速さで表現される

  • 泣きました。このスケールの大きさはなんなんだろう。大きなテーマと時間軸が違和感なくすっと入ってくる、凄い漫画。漫画というか、映画をみているような。パワーが凄い。
    読後の余韻が強い。これが1967年に描かれた作品としり、また鳥肌。今読んでも全く遜色ないどころか、現代の地球の問題を鋭く指摘している。手塚治虫先生は天才なんだ、と改めて思った。

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著者プロフィール

1928年、大阪府豊中市生まれ。「治虫」というペンネームはオサムシという昆虫の名前からとったもの。本名・治。大阪大学附属医学専門部を卒業後、医学博士号を取得。46年、『マアチャンの日記帳』でデビュー。幅広い分野にわたる人気漫画を量産し、『ブラックジャック』『鉄腕アトム』『リボンの騎士』『火の鳥』『ジャングル大帝』など、国民的人気漫画を生み出してきた。

「2020年 『手塚治虫のマンガの教科書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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