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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784041066331
作品紹介・あらすじ
生まれたその日に片腕を失った我王。その我王に片腕を着られた茜丸。
十五年後、仏師として血のにじむ修行を積んだ二人に、宿命の対決の時が来た。
都の帝から東大寺の鬼瓦の競作を命ぜられたのだ。
やがて、鬼気迫る二人の作品が完成するが……。
愛を渇望し、自らに打ち克とうとする仏師の極限の苦悶を描く。
解説 酒見賢一
新装版豪華企画:描き下ろしトリビュート・コミック 末次由紀
感想・レビュー・書評
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最初に読んだのは確か小学生の頃だからもう四半世紀程前か。当時も咀嚼しきれないながらも「すげぇ名作だ」と思って読んだ記憶があるが、今読んでもやはり「すげぇ名作だ」という感想に尽きる。
昔はこの鳳凰編の主人公は我王という理解だったが、今読むと茜丸もまた主人公であったことが分かる。この二人は表裏一体、どちらもが人間世界の悲哀を表現するのに不可欠である。
最後の東大寺の鬼瓦製作対決。都会の政治闘争の中で汚れてしまい、かつてのクリエイティビティを失ってしまった茜丸が、それでも苦しみながら生み出した鬼瓦は、我王の鬼瓦に負けず劣らず鬼気迫るものであったことが今回改めて読んでみて分かった。やはり茜丸もまた常人ならざるクリエイターだったのだ。
乱世編、羽衣編、太陽編が好きなのだけれど、鳳凰編の良さを改めて見出せてよかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本作の主役は、我王と茜丸の2人。
生まれたときの事故で片目、片腕を失った我王は恨みのため何人もの人を殺め、盗賊として生きていた。捕らえられ処刑されるところを良弁僧正に救われ、二人は行脚の旅に出る。一方、我王に片腕を切られた仏師の茜丸は、残された腕で彫刻の道を究めようと修業に励んでいたが、時の権力者橘諸兄から ”鳳凰” を彫れと命じられる。鳳凰ができず罰せられるところを諸兄のライバル吉備真備に救われた茜丸は、夢で鳳凰=火の鳥の姿を見て、見事その像を完成させる。一方、旅をしていた我王は、やり場のない怒りの余り像を彫り出したところ、その才能を良弁に見出される。
2人の才能が世に広まった折しも、2人に東大寺大仏殿の鬼瓦の競作が命じられる。その結果は、……
二人の歩みが対照的に描かれてきて、鬼瓦の競作の場面で遂に交錯し、そして全く別々の運命になるストーリー展開がドラマティックだし、権力の大きさや我王の怒りをより現すためだろうか、絵柄がかなり劇画的なのが印象深い。また本作では、良弁僧正や我王の夢の中に出てきた火の鳥により語られる「輪廻」について、作者の思想が濃密に描かれているように思われる。
茜丸の恋人?のような少女ブチが可愛らしいのがとても良い。
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生まれてすぐに片目片腕を失い、村人に虐げられ、盗賊に堕ちてゆく我王。
仏師として鍛錬をしてきた茜丸は夜の森で出会った我王に利き腕を切られてしまう。
不思議な出逢いを経て、怒りを糧に仏像を彫る我王。
苦行を経て、仏師として名を馳せる茜丸。
そんな2人が都で再開して。
火の鳥、たぶん全巻は読んでいないけど、この巻が1番印象が強い。
子どもの頃は猿田彦って意識して読んで無かったなあ。
本人の思惑や行動の結果でないところで降りかかる不幸と、周囲の悪意がヒリヒリして飛ばし読みしていた冒頭。
ただブチが好きで、我王が作る造形が好きで、何度も読んでた。
改めて読んで、やっぱり好きなところは変わらないけれど、今回は茜丸の変化が刺さった。
名声と共に失われていくもの、手放すことで得るもの。
ずっと未来の話が怖くて読まないようにしている火の鳥。やっぱり通して読むかなあ。 -
#3798ー57ー43ー229
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宗教としての仏教が政治に利用される中での、2人の仏像師の運命が描かれる。作者の生命観が他の巻と同じスタンスである。歴史を舞台にして展開が見事である。
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心に響く。
人間は権力を得ると狂ってしまう生き物なら、集団というものは本当に恐ろしい。 -
ここまで「輪廻」のさまざまな形が提示され続けていて、まだ4冊目だけど、すでに圧倒されている。一生を終えても、また別の者に生まれ変わる「猿田彦」のような輪廻の形もあれば、業の深さにより、同じ人間に生まれ変わって、同じ生涯を繰り返し続ける「比丘尼」のような輪廻の形もあり、生まれ変わっても、もう二度と人間には戻れない「茜丸」のような輪廻の形もある。物語に込められた作者のメッセージと、我々への問いかけと、共通のテーマを基に展開させる物語の多様さとその深さに、とても考えさせられる。
それからもう一つ、久しぶりに読み返してみて、手塚さんの「スゴイな」と思うところは、登場人物たちのセリフと絵面、物語の展開の仕方に違和感を感じることがない、というところだ。もちろん、「え!?ここにこれを持ってくるの?」と思うことは多々あるけど(笑)意外な方向に発展した物語の描き方が中途半端だったり、登場人物たちのセリフが物語の展開に付いていけてなかったり、どういうこと?と読者を置いてきぼりにしてしまうようなコマがひとつもない。もちろん手塚さんの作品にも賛否両論・好き嫌いはあると思うけど、そういうこと抜きにして、ここまでエネルギッシュに最後まで描き切る力量は、本当に素晴らしいと思う。 -
輪廻を繰り返す生き物たちの描写が凄まじい。
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score:4.6
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「宇宙のなかに人生などいっさい無だ!ちっぽけなごみなのだ!」
だからこそ権力側に媚びたり、自分に嘘ついたりすることなく「世の中の人間どもを生き返らせてみたい気もするのです」というのは、とてもエネルギッシュだと思う。 -
まさかサルタヒコの巡り巡った魂のエピソードが、これとは…。
人に傷つけられ、人を傷つけて生きた男は、内なる激情に任せ仏を彫る……。
しかし、夢のような女の正体がテントウムシっての……めちゃめちゃ刺さったな……ああいう演出、オタクはみんな好きでしょ…そうでしょ…。
だからこそのラストの太陽が…美しいわけなんですよ…。
太陽…燃える惑星…火の鳥…。
あとブチ…お前は…お前は何者なのか…????
あれもまた、火の鳥の化身の一つなのだろうか…。 -
流石手塚治虫
人生の道標
人間の悲しさ
色々な事を教えてくれる -
息を忘れるほど圧倒され、一気読みしてしまいました。
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いいなぁ。手塚治虫。
さすがの知識。
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