- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041066348
作品紹介・あらすじ
墜落死から科学の力で生き返った少年レオナは、頭脳は電子、心は人間というアンバランスさに悩む。一方、従順な労働力として大量生産したロボットたちは自我に目覚め、反乱を企てた。科学の領域を踏み越えて、”生命”に細工を加えてしまった人間の罪と罰を、25-34世紀の宇宙界に描く復活編。手塚の不滅のライフワーク、「COM名作コミックス版」のオリジナル絵による新装版。
解説 荒俣宏
新装版豪華企画:描き下ろしトリビュート・コミック 山下和美
感想・レビュー・書評
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わたしは幼少期に図書館で手塚作品も手に取らず、ぼーっと過ごしていたタイプなので、「火の鳥」も未読だったのだけれど、阿部公房の「壁」と同じくPodcast「夜ふかしの読み明かし」の影響で漸く読む気になれたのだった。そんなタイミングで手に入った角川文庫版の5巻「復活・羽衣編」を読んだ。
「復活編」がめちゃくちゃ凄かった。ソリッドに希望より残酷さが際立たせてしまうような化学、SF的なアイディアに、ポルノではなく哀しくも必然的にも思える恋から愛、それに現代の社会がこれから抱えることになりそうな問題や、時代やそこにある技術が炙り出すことになりそうな人間の悪意や醜さまでが既に書かれている気がした。早く大きい警鐘も聞こえた。そんなところもSF的だ。
長いスパンが前後しリフレインし、ひとつの真相へ辿り着くプロットも巧みだし、それをナビゲートする、というかそれでしか書けないと思わされる作画(一枚絵がカッコいい!)も素晴らしい。ああ、これは漫画でしか、というか手塚治虫にしか書けない物語、漫画、アートなんだな、と気がついてその事実にも感動した。少し上から目線になってしまったのは反省した。
まとめるなら、超おもしろかった‼︎ということですね。早く読めば良かったとも思うけれど、子供の頃に読んでもぼーっとしていたから、少なくとも今と同じような面白さ興奮はなかったかもな、とも思う。とにかく読めて良かった。次は例のPodcastの回も面白かった「未来編」が読みたいな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2482年のある日、ひとりの少年がエアカーから墜落し死んだが、科学の力により小脳全部と大脳の大半を人工頭脳と交換することで彼は生き返った、その代償として彼レオナは生命体を有機体として認識できず、無機物を生き物に感じられるという後遺症が残ってしまったが、あるとき見つけたロボットのチヒロ61298号を恋してしまう。また自分の事故の原因は実は銃で狙撃されたためではないかと疑いを抱き、真相を知ろうとするが、実は彼は火の鳥を見つけようとしていたのだった。
本作では、人間の生命を科学の名の下に加工する科学者が登場する。しかし、レオナは「おねがいだ ぼくを人間かロボットかどちらかにはっきりさせてくれ!」と悲痛な叫びを上げ、また、レオナの体とある人間の脳を合体する手術を実施した科学者に対し悪役の登場人物は「あんまり科学のちからってやつを信用すんな」と言う。
「復活編」と題された本作は、『ブラックジャック』でも良く描かれた、医学を学んだ手塚の本領が発揮されたテーマが骨太に描かれていて、実に読み応えがある。
「未来編」では世捨て人の科学者猿田博士と博士に使えるロビタが登場していたが、ロビタの誕生した経緯も本作で描かれている。なるほど、このように連関していくのか!
もう一編は「羽衣編」。羽衣伝説を素材にして、未来からきた女と漁師の男との夫婦生活が描かれる。神社の境内で上演される人形浄瑠璃の舞台を枠組みとして、あえてコマ送りのような表現を用いたスタイルが印象深い。 -
#3813ー58ー62ー244
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私は潜在的に「生きる力」みたいなものが抜けていると思うので(それが火の鳥を読み始めた理由なのだけど)、争ってでも生き血を手に入れたいとか、科学の力によってどうしても生き永らえたい登場人物に寄り添えない。
そんな頑張っても本当に幸せになれるのかしら?満たされるのかしら?と疑ってしまう。
例えこじつけでも、それでも生きねばと思える理由が欲しいんだよね。
羽衣編はカメラ位置がかっこ良いね。 -
”復活編”
復活っていうから、火の鳥の核心に触れるのかと思ったら…不老不死…なるほど…。
機械が美しい自然に見えて、ロボットが愛らしい美女に見えてしまうように改造されてしまった男の視界、あまりにも怖い……。
そのロボットの美女verも手塚治虫デザイン的には「いや、まあかわいいんだろうけど……????」って感じだし、ロボットのままverはマジで気持ち悪いな…怖いな…と感じられるデザインなのがマジで救いがなくて……手塚治虫ェ……。
あとロビタ……ロビタのエピソードは悲しいね……。
でもなるほど…上記の男の成れの果てでもあるのか、と思うと…うん……。
”羽衣編”
手塚治虫の歌舞伎ぽい演出めちゃ好き。
フィクションなんですよ、っていう前提を…こういう、さも「お芝居です」っていう過剰演出で魅せてくるの…。
だけどあまりの衝撃でその前提を忘れさせてくるの…。
ラストの母子の人形が壊れてるの…ああ……。
天の羽衣伝説の改変、って設定なんだろうけど、全編通しての”火の鳥”のストーリー自体が伝説や神話や未来の地球っていう”もう一つの世界線”ぽさがあるから、違和感ゼロだな…。
あれもまた、サルタヒコの子孫なんかな…。
ま、また女で苦労してやがる……。
でもこれは、純粋な悲劇ぽくて……あああ……。 -
悲しい
自分もロボットかもしれない -
哲学的な内容で考えさせられる話し。子供には難しいけど絵が素晴らしいせいか集中して読んでいた。
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二十世紀以前には天国とか地獄とかがあるといわれていた 無機物の塊 人工頭脳 AD2483 機械人形 チヒロ型 ニールセン博士 戸籍から抜かれた 遺産の分配 アンドロイドのファーニィ 福助頭のこけし野郎 ガキなんざ人工受精器でたくさんだ インディアンのトワダ フェニックスの生き血 アイトソープ農場 チャンバラ 脳圧が亢進してないか この三十一世紀の医学でもこうまで血球や組織が破壊されてはもう手も足も出ません 農場のロビタ全員を有罪とし溶解処分とする 新しい金字塔を建てた 共に白髪の生えるまで 美保が浜? 三保松原 人間界の差別や暴力を徹底的に描破する 善意の隠れ蓑 凡百の教育絵本とは異なる所以なのだ 捨てる教養 継続する教養 畢竟の力作は 広大な鳥瞰図は 超生命体などという抽象的な概念だけならば 新座市 荒俣宏
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こんな未来が本当に起きそうで恐ろしい。