- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041066355
作品紹介・あらすじ
銀河系の小さな星、エデン17に移住した夫婦。夫は死に、一人遺された妻ロミは子孫を残すことに専心し、エデン17を繁栄させる。年を経てロミは、望郷の思いをつのらせ、一路地球へと向かう。苦難の旅の後、たどり着いた地球は荒廃の星を化していた――。地球の崩壊と蘇生を描く迫真の銀河ロマン。手塚が自身のアニメ観を語った虫ヴォイス、創作の背景がわかる充実の解題収録の新装版。
解説 新井素子
新装版豪華企画:描き下ろしトリビュート・コミック 諸星大二郎
感想・レビュー・書評
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#3830−66−75−261
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冒頭火の鳥の印象的なモノローグから本編は始まる。「私は…さまざまな星、さまざまな生きものたちを知っています/ でもただひとりの女が歴史をつくりその女といっしょに滅びていったエデン17という小さな星のことを私は忘れないでしょう」
地球から誰ひとり住んでいない星、エデン17に逃亡してきたロミと丈二だったが、丈二は事故で死んでしまう。一人残されたエミは、この土地で子どもを産み、子孫を残すことを決意するのだが、いつまで経っても女の子が生まれない。そこに火の鳥が介入し、どんな厳しい環境でも生き延びることができ、しかも相手をよろこばせるためにどんな体形にも変身できる不思議な生き物ムーピーを妻としてエデン17に送り込む。こうしてエデン17は、地球人とムーピーの混血で人口も増え、発展していった。
そんな中、望郷の念に駆られていたロミは、ムーピーの子コムの助けを借りて地球へ旅立つのだった。そして苦難の旅の果て、途中で出会った宇宙連絡員牧村とともに何とか地球に帰り着いたのだが、その地球は大きく変貌していた。
星の名前エデンに象徴されているように、本作のモチーフは旧約聖書の創世記だ。質素で原始的ではあるが住民が素朴に暮らしていた町エデナであったが、外から持ち込まれた刺激によりその生活があっという間に変貌してしまい、遂には滅んでしまう。
一人の女性の一生と、一つの町の発展から崩壊までをシンクロさせながら描いていく豊かな物語性が本作の魅力。未来編にも登場していたムーピーであるが、本作に登場するコムはとても愛らしくて健気。その哀しい最期にはジンときてしまう。 -
火の鳥シリーズを通して過去と未来をいったりきたり…手塚治虫は本当に神様なんだなと思うわ。
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アニメやりますね…”望郷編”…。
まさかのタイムリーさにびっくりした…。
やっぱりしぬ前に手塚治虫作品、読み倒そう……。
これがかの有名な、望郷編…。
聖書の世界でもあるあるな近親相姦による遺伝子異常の理屈を、手塚治虫流SFに落とし込むと、ここでムーピーが活きる訳なんですよ……。
す、すげえ……。
未来の地球でロビタもここで…なるほど…。
唐突なブラックジャック先生に激似な脇役でびっくりしたけど、あれは地上に残された、人間らしい情緒の残った数少ない人間ってメタファーなのかも分からんな…。
ラストのお花になるコム…あんなん、泣けるやん…。
そして土に還ったとき、やっと結ばれる男女……そんな…そんな……(感慨無量)
やっぱ手塚治虫すげえし、これをアニメ化したくなるのも分かる…。 -
少し残念な読後感かな
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理想郷は、遠い。