火の鳥7 乱世編(上) (7) (角川文庫)

  • KADOKAWA
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041066362

作品紹介・あらすじ

時は十二世紀末。山で生計を立てる弁太と田舎娘おぶうは、都で美しいクシを拾ったことで引き裂かれ、平安末期の抗争に巻き込まれていく。おぶうは清盛の側女に、弁太は源氏集団に組み込まれた。病に伏せる清盛は、永遠の命をもたらすとされる「火焔鳥」の生き血を求め、やがてそれは戦火へと発展していき......。手塚が当時のアニメーション技術について語ったインタビューも収録した充実の新装版。
解説 中平まみ
新装版豪華企画:描き下ろしトリビュート・コミック 安彦良和

感想・レビュー・書評

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  •  ボスの座を追われた猿の赤兵衛と、子犬のときから一緒に育った犬の白兵衛とは仲良く暮らしてきたのだが、共に群れのボスになると共に対立が起こり、遂には両者間の戦いの結果、赤兵衛も白兵衛も死んでしまう。解説でも触れられていたが、動物たちの群れに起きた出来事から人間たちの運命を象徴的に描く手法は白土三平が良く使っていたとのことだが、本作では手塚もそれを試したかのように思われる幕開け。

     本作「乱世編」の舞台は、平家の全盛から源平合戦にかけての時代。
     マタギの弁太とおぶうは恋仲だったが、弁太が都で美しいクシを拾ったために二人の運命は大きく変転してしまう。おぶうは平清盛の女官に、弁太は義経の部下に組み込まれ、源平争乱に巻き込まれていく。

     平家一門の繁栄を守るため火焔鳥(=火の鳥)の血を求める清盛だったが、死への恐怖からおぶうを頼りに彼女に縋り付く様はとても哀れで、平家物語ではすっかり悪役の清盛ではあるものの、その姿についついしみじみとしてしまう。
     「鳳凰編」に登場した我王が、この時代に鞍馬山の大テングとして登場し、義経に輪廻転生を語るのが印象に残る。
     
     
     

  • #3851-69-96-282

  • 手塚作品のスターシステムは作者のキャラクターへの愛着が感じられる。日本人はクリエイターが過去の作品を否定して新境地を開くことをもてはやしがちである。しかし、それは過去を水に流すことを是とする非歴史的な日本人の悪癖だろう。私は過去の作品を大切することに好感を抱く。とはいえスターシステムを知らない読者が初めて作品群を読むと混乱するだろう。『火の鳥 乱世編』は通常のスターシステムの他に『火の鳥』の主要キャラクターが長生きして再登場するため、余計に混乱する。

  • おぶうの清盛への情ってわかる。
    どんなに強そうでも、中身は子どもっぽいただの人間だから支えになりたい的な。
    母性発動しちゃうよね。
    清盛の強欲さばかりに終始せず、こっち側も描けちゃう漫画の神様よ。

  • 平清盛によって築かれた時代の栄枯盛衰には、火の鳥に魅入られ、火の鳥に狂わされた人間の業がやはり潜んでいた……という設定に改変された手塚治虫if、乱世編。
    上下編の上巻です。
    安彦良和氏の巻末トリビュートがサラッと下巻のネタバレなのでお気をつけください。
    いや、火の鳥ファンとしては当たり前の知識なんだろうけども。
    冒頭の赤兵衛・白兵衛の友情からその崩壊から、もう共存の難しさを突きつけられて、人間は何も言えなくなってしまうのだ……。
    あとどれだけ優しい人でも、”人の心は変わってしまう”ってことね。あまりにも悲し過ぎる…。
    ”欲望をむき出しにしてしまった人間の醜さ、愚かさ”と、”偽物を偽物だと気が付けずに踊らされる人間の弱さ”……。
    手塚治虫…やはり天才か…。

  • 時代はここに来たか
    今回は前半
    結末はわかっているとは言え、手塚治虫がどう描くのか楽しみだ

  • 永遠の命なんてないんだな。

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著者プロフィール

1928年、大阪府豊中市生まれ。「治虫」というペンネームはオサムシという昆虫の名前からとったもの。本名・治。大阪大学附属医学専門部を卒業後、医学博士号を取得。46年、『マアチャンの日記帳』でデビュー。幅広い分野にわたる人気漫画を量産し、『ブラックジャック』『鉄腕アトム』『リボンの騎士』『火の鳥』『ジャングル大帝』など、国民的人気漫画を生み出してきた。

「2020年 『手塚治虫のマンガの教科書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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