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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784041066386
作品紹介・あらすじ
あの男は生きものとして
許せないことをしたのです
【宇宙編】
2577年、オリオン座付近に漂う地球行きの宇宙船が破損。牧村はミイラのような遺体で発見された。残された乗組員は個人用ボートで脱出するが、後をついてくる艇があり……。やがて明かされる牧村の罪と罰とは。
【生命編】
2155年、視聴率を求めて生まれた「クローンマンハント番組」。逃走の果てに街に戻った青居プロデューサーの行く末は……。
遥かな未来を舞台に、生命を弄んだ報いを描いた2編。
作品収録の背景が分かる解題充実の新装版。
解説 池田理代子
新装版豪華企画:描き下ろしトリビュート・コミック 五十嵐大介
みんなの感想まとめ
遥かな未来を舞台に、生命や存在の重みを問いかける二つの物語が展開されます。宇宙編では、宇宙船の破損によって引き起こされるサスペンスが、過去の罪がもたらす恐怖と共に描かれ、特に牧村の存在が物語の鍵となり...
感想・レビュー・書評
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宇宙・生命編。
2つの章に共通して出てくるのが猿田という宇宙飛行士。
そして望郷編に出てきた牧村が宇宙編のキーパーソン。
宇宙編では永遠の命がもたらした、暗く恐怖さえ感じる結果。
生命編ではクローンが実用化され、進化した科学技術を皮肉った人類への警鐘ともとれる。
いずれにしても、《感動》という個人の感性の部分よりは、
手塚治虫という人の頭脳と感情をじっくり観察(あえての観察という表現)したくなる作品。
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手塚治虫作品をちゃんと読もう!と思い立って本屋へ。『火の鳥』がずっと気になっていて、書店にあった角川文庫版の9巻(宇宙・生命編)を手に取った。どこからでも読めるらしい?ということで、在庫があったこちらから。ファンの間だとここから読むといいぞ!という順番があるのかな?とりあえず、SFという響きに惹かれて飛び込んでみた。
『宇宙編』
2577年、地球行きの宇宙船で事故が発生。冷凍睡眠中だった乗組員たちが目覚めると、交代でパイロットをしていた牧村がミイラのような遺体で見つかった。宇宙船は航行不能になり、乗組員たちは個人用救命ボートで脱出を始める。すると、死んだはずの牧村のボートが後ろからついてきて──。
脱出をした後に城之内隊長から告げられたのは、牧村が他殺されたかもしれないという疑惑だった。「ぼくはころされる」というメッセージ。しかも後ろからは死んだはずの牧村のボート!誰か乗っているのか?!そこから個人ボート間での通信で、その謎と牧村を巡る各乗組員の過去と心情が明らかになっていく。
目を惹くのはコマ割り!各キャラごとに並行してコマが進んでいく斬新な構成に驚いた。かと思えば、浮かび上がるような回想、コマを突き抜ける叫びなど、縦横無尽な演出に舌を巻く。SFミステリで始まり、キャラが浮き彫りになっていくにつれてサスペンスへと進んでいく。彼らが抱えていた罪と罰が露になる時、火の鳥は現れる──。
それにしても「この火の鳥 容赦せん!!」と言わんばかりの終幕で、これを子どもの頃に読んだらトラウマになるのでは?と思わざるを得ない。牧村については因果応報ではある。それでも、彼自身の生まれなどを鑑みれば、彼だけが悪なのかというとそうとも言い切れない。生命編でも描かれる人類が持つ歪みの結果というか。やったことは最悪だけどもね…。あの狂気と残酷さの魅せ方がエグい。そんな彼に対して捧げたナナの愛の形がまたエグい。
「愛ほど歪んだ呪いはないよ」という『呪術廻戦』五条悟のセリフを思い出す。唯一救われたとするならナナなのかな。人であることをやめてまで、彼を許して愛した。想像を絶する意志。猿田も罰は受けるべきではあるけど、何もそこまでする必要ある?!という厳罰さよ。SFミステリとして読み出したら、愛憎渦巻くサスペンス劇場だった。
『生命編』
2155年、視聴率を求めて生まれた「クローン生物ハント番組」。人気の伸び悩みに悩む青居プロデューサーは、クローン人間を人間がハントする企画を考えつく。クローン人間を作る技術を知るため、アンデスの山奥にある研究所を訪れた青居だったが、なんと自分がクローン人間にされてしまい──。
みかけは人間でも、人間じゃない所が一か所でもあればセーフ理論!そんなわけあるか!とその倫理観にツッコみたくなる(笑) 青居は法の穴をくぐり抜けようと画策する。しかし、まさか自分がクローン人間の素体にされ、鳥に指を欠損させられたことによって自分が本物だと主張できないという因果応報になるとは思わないよなあ。こういう構成が絶妙だし、しっかりと絶望させてくれる。
青居のクローンたちは番組によってハントされることになり、生まれたクローンにとってはいい迷惑でしかない。罰を与える範囲がデカすぎるんよ。そのクローン人間ハントでの逃亡中、ジュネという少女と心を通わせていくシーンはよかった。生命を弄ぶことはもちろん、人が持つ「疑う」という行動についても火の鳥は厳しい(宇宙編でも城之内隊長が疑惑を伝えたことが良くないとされている?)。それでも、青居がジュネのため、自分のクローンたちのために覚悟を決めたのはグッときた。その意志は本物なのだ。 -
人は悪を経由しないと、本当に良い奴にはなれないのか、真に最初から良い奴は存在しないのか、エゴが結局まわりまわって自分に返ってくる。悔しい。自分も最終的にはそうなるんだろう。
虫ヴォイスの内容はとても強い。今の漫画をあまり読んでいませんが、単純に楽しいだけでは面白くないのかも、何かをパロディしたり風刺したり、隠してメッセージを時代に届けないと心に響かないのかな。最近SNSでみた「漫画家は漫画の勉強ではなく、全ての漫画以外の勉強をしなさい」みたいなことはそれに繋がっているのかなーって感じです。 -
「宇宙編は」のストーリーは次のようなもの。
宇宙船に乗船していた5人の宇宙飛行士。地球に帰還途中、宇宙船が破損してしまう。当番に就いていた牧村が死んでいて星に衝突したためだった。残る4人は、幸運に賭け地球への帰還を目指し個人用ボートで脱出を図る。
4人の各カプセル間の会話のやり取りが、4段構成のコマワリで展開し、沈黙の場面やマイクを切っているところが真っ黒になっているところが視覚的に見事。
コンタクトの中で隊長は、牧村の手のひらの下に「ぼくはころされる」という文字があった、つまり牧村は殺されたのだと皆に告げる。そんな中、牧村のカプセルが一同を追いかけてきていることに気付く。そこには誰が乗っているのか、もしや牧村は生きているのか、といった謎めいた始まり。
そして飛行士のうち、女性のナナと猿田(また猿田だ!)の二人がある星に辿り着く。ナナは牧村のカプセルから見つけたのは!また猿田の前に現れたフレミル人を名乗る鳥人は、マキムラを「あの男は生きものとして許せないことをしたのです」と非難した。
果たしてマキムラは何をしでかしたのか、また赤ん坊は誰なのか、そしてナナと猿田はどうなるのか、といった謎が謎を呼ぶ、実にサスペンスフルな展開。
もう一編の「生命編」は、番組の視聴率を上げるために、クローン人間を作ってハンターに人間狩りをさせる企画を考えた青居プロデューサーが、自らのクローンと共にハンティングの対象となってしまい、逃走せざるを得ない状況に追い込まれてしまうというもの。
両編とも、生命をないがしろにした者がいかに悲惨な報いを受けることになるのかが圧倒的な筆力で描かれていて、作者の生命の大切さに関する思いがヒシヒシと伝わってくる。
「生命編」で逃走する青居を助けることになるジュネの姿は、「ブラックジャック」のピノコを思わせてとても愛くるしい。
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手塚治虫の「火の鳥」第9巻、「宇宙編」・「生命編」
「宇宙編」は故障した宇宙船から個々に脱出ポッドから避難した船員達が最終的に流刑星に流れ着き、永遠に生きるために人間からメタモルフォーゼする。脱出ポッド間で会話を進める小回りが独特で非常に面白い。
過去にある星で住民の成人を虐殺した牧村が、火の鳥から永遠の命を授かるが、猿田博士とは違い、どんどん若返り、赤ん坊まで若返ると今度は歳を取っていくことを繰り返す懲罰的な人生を送ることになる。
今までの火の鳥にはない人間との関わり方。
「生命編」では人間のクローンと狩るゲームの話。仕掛け人自身がクローンのオリジナルとなってしまい、自分が企画したハントゲームから逃げないといけなくなる。この話では火の鳥が化けたと思われる鳥女が登場する。 -
宇宙編は犯人がわからない殺人事件から始まり、斬新なコマの使い方とストーリー展開にワクワクしながら読んだ。
生命編ではクローン人間にまつわる人の欲が描かれ、ここでもクローンより人間の方が醜い姿を晒している。これがクローン羊ドリーが生まれる前に描かれたというから、やはり天才でしかない。 -
宇宙編のコマ割りいいよな〜。
55年前に描かれた作品だなんて驚き。
虫ヴォイスも現代に通じることが書いてある。
アニメも声優さんありきの人気になっていて、中身が全然語られなかったりするよね。 -
めちゃめちゃに手塚治虫SFしてる宇宙編・生命編の二本立て。
宇宙船のパイロットの乗組員の愛憎、メカバレ、幾重にも重ねられたNTR、理解の範疇を超えた謎の異星環境…。
手塚流SFがふんだんに盛り込まれた宇宙編。
あまりにも終わり方が誰一人救われなくてoh……なったな…。
それもまた一羽の火の鳥の見つめた人間の一生だったのだ…。
クローン技術ここに極まれり、な地球を設定にしたディストピアSF生命編。
たしかにそこまで発達したらクローン食肉にクローン家畜にクローン人間に、人間ハントエンターテインメント番組が始まるのかもしれない……。
こ、怖すぎだって……。
しかしそこから、別の世界線のジャピノ始まるとは思わなかったよね…。
いやでもあのキャラデザはメタファーでしょ……。
これは宇宙編に比べたらちょっとはスッとする終わり方。
いやもちろん歯痒いけども。 -
知らない話だった。人間のエゴがあふれていた。
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生命編では、人の愚かさというものをあばきだしているが、主人公がそれに気がつきケリをつけるというの点でこのシリーズの中では異色だと思う。
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宇宙編のコマ割りが面白かった。猿田は未来永劫子々孫々まで呪われるほど酷いことをしたのだろうか。
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