火の鳥(角川文庫版・新装版) 太陽編 下 (12) (角川文庫)
- KADOKAWA (2018年11月22日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041066416
作品紹介・あらすじ
地上の「光」と地下の「影」が対立する未来都市と、7世紀・壬申の乱の渦中……。
未来から古代へ、古代から未来へ往来する意識を持つ少年ハリマ(犬上)/スグルの「正義」への挑戦を通して描く終わりのない権力争い。
「信じるもの」の違いゆえに憎しみ合い、肉親を殺し、権力をわがものにしようとする者たちの闘いのドラマ、いよいよ完結。
過去も未来も、権力者はみずからを「神」と名乗る。
感想・レビュー・書評
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「太陽編」もいよいよ最終巻。
「光」の洗脳施設で諍いを起こし懲罰で死の戦いを強いられたスグル。相手の女戦士ヨドミと戦ううちに彼女を好きになってしまう。なぜか生き返ったヨドミだったが、この機会を利用しスグルは暴動を起こし、ヨドミと共に脱出を図る。このチャンスに「影(シャドー)」は決起を図る。
一方、古代の世界では壬申の乱が勃発したが、戦いに向かう中、ハリマは火の鳥に遭遇する。仏教の侵略を止め狗族を救って欲しいと火の鳥に願うのだが、火の鳥は千年後の世界の光族と影との戦いをハリマに見せ、権力に使われた宗教は残忍であること、人間の権力は人間自身の手でなくすものであると語る。
そして両方の世界で戦いは遂に終わるのだが、果たして勝者は今までと違う道を歩むのか、宗教は権力と離れることになったのか。そこを描く作者の筆はかなりペシミステックだ。
しかし、ハリマと狗族の娘マリモ、スグルとヨドミのラストに、きっと手塚の夢が託されているのだろう。
「火の鳥」は作者の死により未完に終わったが、正にライフワークの名にふさわしい、壮大な一大物語を堪能した。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
#4002-4-30
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宗教と権力と戦争。
繰り返す円環。 -
革命に成功したら、大海人皇子もおやじさんも独裁者思考になってしまう。
歴史ってその繰り返しだよね。
仏教を悪者にした点もおもしろいわ。
一気読みしちゃった太陽編でした。 -
人間の顔に戻ったハリマが、今までつながっていた霊界のものたちを認識できなくなって…っていうの、あるあるなんだけど悲しかったな…マリモさん……。
だから、まさかそっちがマリモさんだったとは…っていうオチ…、一千年を超えたロマンス…すごい…。 -
壮大な古代と未来の時空を超えた話も大団円となる。結局のところ、権力なんて無意味だということがよくわかる。
著者プロフィール
手塚治虫の作品





