検事の信義

著者 :
  • KADOKAWA
3.69
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本棚登録 : 1681
感想 : 218
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041066577

作品紹介・あらすじ

新人検事・佐方貞人は、介護していた母親を殺害した罪で逮捕された息子の裁判を担当することになった。事件発生から逮捕まで「空白の2時間」があることに不審を抱いた佐方は、独自に動きはじめるが……。

感想・レビュー・書評

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  • 柚月裕子さんの検事の佐方のシリーズは全部拝読しています。
    柚月裕子さんの作品では、この検事の佐方のシリーズが一番好きなのですが、今回も佐方の姿勢には全くブレはないと思うのですが、前作があまりにも佳作だったためか、確かな筆致でもあるのですが、今回は事件のストーリーティングにパワーがないように感じられました。
    みなさん、絶賛されているレビューが多いみたいですが、なんというか、一昔前の刑事もの(検事ですが)みたいな印象を、私はぬぐい切れませんでした。
    言っておきますが、私は柚月裕子さんのことは、デビュー作の『臨床真理』から心より応援しているファンなので、これは誹謗中傷では全くなく、愛読者としての(未読作もありますが)素直な感想です。
    次回作での佐方の活躍を期待しています。

    今回は柚月裕子さんのお得意のやくざ絡みの話や警察の内部事情に関する話が多いと思ったら、他の方のレビューによるとそちら系の柚月さんの作品にリンクしているそうですが、未読なので、心に残ったのはそちら系ではない方のお話。


    以下ネタバレなのでこれから読まれる方は気を付けてください。

    「裁きを望む」
    たった一人の戸籍をみつけたときの芳賀の気持ちはよくわかりました。犯行の動機は頷けるものでした。

    「信義を守る」
    これは最初依頼殺人かと思いましたが、認知症では依頼能力がないし…と思いましたが、野崎高一郎神父の登場で、話はわかりました。

    • まことさん
      くるたんさん♪こんにちは!
      コメントありがとうございます(*^^*)
      柚月さんのことは、実はデビュー前から知っている方なので(あちらは超...
      くるたんさん♪こんにちは!
      コメントありがとうございます(*^^*)
      柚月さんのことは、実はデビュー前から知っている方なので(あちらは超有名人だし、私のことなど忘れていると思いますが)個人的に応援しています。
      佐方シリーズで、どの作品かメモも何もとっていないので、忘れたけど、すごくいい作品があって確か大藪賞か何か獲られたと思うのですが、佐方シリーズは好きです♡
      2019/12/11
    • くるたんさん
      まことさん♪
      柚月さんとお知り合いだったとは!
      それは応援に熱が入りますよね(*´ー`*)

      私は佐方さんシリーズ以外の作品はほぼ未読なので...
      まことさん♪
      柚月さんとお知り合いだったとは!
      それは応援に熱が入りますよね(*´ー`*)

      私は佐方さんシリーズ以外の作品はほぼ未読なので読んでみたいです。
      2019/12/11
    • まことさん
      くるたんさん♪
      私は覚えていますが、あちらが覚えていらっしゃるかは、わからない程度です(*^^*)

      柚月さんの作品は、私は佐方さんの...
      くるたんさん♪
      私は覚えていますが、あちらが覚えていらっしゃるかは、わからない程度です(*^^*)

      柚月さんの作品は、私は佐方さんのシリーズが一番好きです。(未読のものも結構ありますが)
      2019/12/11
  • 今一推しの柚月裕子さん。
    そして佐方貞人シリーズ。

    今回も面白く読ませていただきました。
    虎狼の血シリーズのコラボもあり、
    色々と楽しませてもらいました。

    佐方の様な生き方、憧れますね。
    ただ私には無理なので
    小説の中で夢を見させてもらっています。

    次もあると期待します。

  • 佐方貞人シリーズ第四作目。
    この中の二作品、『裁きを望む』と『審議を守る』では
    一見問題のない起訴内容に切り込む佐方が描かれる。

    犯罪が起こる。
    証拠があり、被疑者が罪を認めている。
    検察にとっては、時間を割く必要のない事案。
    ところが、些細な点に納得がいかない佐方。
    あえて起訴されることを望む被告人たちの謎に迫る。
    佐方の細部に及ぶ地道な調査。
    それが、被疑者の心の奥底にある真実を探り当てる。

    佐方を疎ましく思う先輩検察官からは、厳しい苦言が飛ぶ。
    それに対して、佐方は毅然と返答する。
    「事実は真実ではありません」  深い!!
    「なぜ事件が起きたかを突き止め、罪をまっとうに裁かせる。
    それが私の信義です」
    佐方のぶれない姿勢に拍手です。

    四作品を全部読み終えて、時間の流れを思い返しました。
    二作目から四作目までの三作品では
    佐方が検事として任官してからの5年間が語られます。
    この『検事の信義』の最後の事件は2000年春。

    一作目の『最後の証人』では、ヤメ検 弁護士になった佐方が登場しますが、
    2000年の秋のある事件が発端で、佐方が地検を辞めたと語られていました。
    その一作目では、検事を辞めてから12年後の弁護士・佐方という設定。
    ・・・ということは?
    弁護士としての佐方シリーズがこれからでるのかな?
    期待しちゃいます。

    ※ 私の考える時系列が「違っている」と思われる方、どうかご指摘ください。
    確信がもてるような、もてないような…なので。

  • 『検事の死命』を飛ばして本作を読んでしまいました。
    本作中の4つの作品の3作目「正義を質す」の中で、狐狼の血シリーズに登場する日岡が出てきたのには驚きました。
    調べると、この作品は「凶犬の眼」の後に書かれたものなのですね。

    【佐方貞人シリーズ】
    最後の証人 2010年5月
    検事の本懐 2011年11月
    検事の死命 2013年9月
    検事の信義 2019年4月

    【狐狼の血シリーズ】
    孤狼の血 2015年8月
    凶犬の眼 2018年3月
    暴虎の牙 2020年3月

    シリーズ1作目と比べると佐方貞人の人間性がよく描かれていて、どんな人間なのか、どんな信義を持って職務を行っているのかがよく分かった気がします。
    1作目は佐方の行動原理が分からず、話に入り込めないまま終わった感があったので、本作まで読んでよかったです。
    罪を真っ当に裁かせることを正義とする佐方ですが、それならはじめから弁護士の方が向いているのでは?と思ってしまいました。

  • 2023/06/12読了
    #柚月裕子作品

    検事・佐方貞人シリーズ
    初読みだったが面白かった。
    こういう実直な生き方は憧れるが
    敵もいっぱい作るんだろうな。。
    狐狼の血シリーズとのスターシステム
    を楽しめるのも良い。

  • 佐方貞人シリーズ4作目。短編4話の構成で、前半3話はずいぶんあっさりしてるなという印象。4話目だけそこそこボリュームがある。この作家は人物を魅力的にみせるのが上手いので、短編より長編のほうが良いかもしれない。とはいえ、もう佐方や周りの人物のファンなので、短編でも長編でもなんでもよいので、いつまでも続編を読みたい。

  • 信義とは「偽ったり欺いたりせず、真実で正しい道を守ること」まさしく佐方の信義を突き詰めた作品だった。警察調書の違和感から「被疑者は何かを隠している」と感じ取った佐方は、犯行現場、家、近所、同僚、会社を訪れる。佐方の持つ再びの違和感。佐方が見通す千里眼は何のためか?それは、罪を、まっとうに裁かせることこそが「正義」であるという彼なりの信義なのである。佐方の前に立ちはだかる障壁、それは近しい検事や刑事。彼らにも正義がある。正義vs正義、どちらが真の正義なのか?決して被疑者、検事、刑事を忖度することではない。

  • 地方検事佐方が、「罪をまっとうに裁く」を信念に事件に取り組んでいく短編集。
    過去の関係が語られるとこで、もしやとは思っていたものの、著者紹介見るまで、シリーズものとは、知らずに読んでました。

    些細な事柄に疑問を持ち、調べることで、事件の背景が明らかになっていくと言うのはが多いものの、大どんでん返しというよりは、地道な結果が真実を炙り出すというところが、好感が持てた。

    サラッと検事や警察の力関係によるこわいとこが出てたりするのもよいが、その中で信義をまっとうすることの難しさ、理解してくれる人の大切さというのが、考えさせられるところとなった。

  • やはり面白い検事シリーズ。こちらは佐方の活躍を追うものであるが、今回は検事である佐方の事務官の増田の目を通して佐方を見ている物語となっている。

    『自分の信義を守る』ために事件に挑む佐方。全ての事件を佐方に担当して欲しいくらい。それにしても熱い。佐方は自分の信義を守るためには上司にも逆らうし、検事という立場をかなぐり捨て、被告人の求刑を軽くもする。
    さて、そんな佐方も少しだけ信義を曲げた事件があった。それは第3章『正義を質す』だ。まあ、それも自分の信義を守るためと言えばそうなのかもしれないが。

    この第3章。柚月裕子ファンなら垂涎ものの人物が登場する。その男は日岡。そう!『孤狼の血』に登場する日岡である。この日岡が登場する時間はあまりにも短く、少し物足りないくらいなのだが、その存在感はハンパない。

    こうしたボーナストラックというか、柚月裕子さんの遊び心というか、これがたまらない。これからもどんどんコラボさせていって欲しいと願うのは私だけだろうか?

    さて、佐方検事。次は弁護士となってからの佐方か、それとも検事の佐方か。どちらにしても早く次のステージの佐方に会いたくてウズウズしている。

  • 佐方と別シリーズの人気キャラ日岡のニアミス短編などもあったりして充実の短編集なんだけど
    まとまりすぎだなあと思いました
    佐方の検察の枠にとらわれないで自分の正義を貫くところもっともっと極端なかたちで読みたかったなあ
    いやまあ今回も十分はみ出てるんだけど勝手ですな読者って(なに目線だ!偉そうに!)

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著者プロフィール

1968年岩手県生まれ。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、デビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。同作は白石和彌監督により、18年に役所広司主演で映画化された。18年『盤上の向日葵』で〈2018年本屋大賞〉2位となる。他の著作に『検事の信義』『月下のサクラ』『ミカエルの鼓動』『チョウセンアサガオ咲く夏』など。近著は『教誨』。

「2023年 『合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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