ヒトラーの試写室 (角川文庫)

著者 : 松岡圭祐
  • KADOKAWA (2017年12月21日発売)
3.84
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041066850

作品紹介・あらすじ

1935年、20歳の柴田彰は活動写真の俳優を夢見るが、大工の父親は猛反対し勘当されてしまった。家を飛び出しオーディションを受けるが箸にも棒にもかからずあえなく挫折。だが、人手不足だった日独合作映画「新しき土」の特殊撮影助手の仕事にありつく。主任の円谷英二の情熱に触れるうち彰も仕事にのめり込み映画は見事に完成。ベルリンにも運ばれ、映画で人心の掌握と扇動を狙っていたナチス宣伝大臣ゲッベルスの心に刻み込まれる。日本は41年、ついに太平洋戦争に突入。軍部の要請から戦意高揚をねらった映画「ハワイ・マレー海戦」が製作されることになり彰も特殊撮影で参加。この作品もベルリンに運ばれ、丁度イギリスの権威を失墜させる為に映画「タイタニック」を製作したが、どうしてもクライマックスの沈没シーンが上手く撮影できないことを悩んでいたゲッベルスが目をつけ、彰がドイツに招聘されることになる。環境の違いから撮影は苦戦。日本に残した妻子を想う柴田だったが、ベルリンは戦火に……。意外すぎる歴史秘話に基づく、一気読みと感動必至の傑作エンタメ小説。

書評家から熱い賛辞が続々!

「すでに八〇年近く昔の話とはいえ、ネット上に巧妙につくられたフェイクニュースが流布している現在、映像によるプロパガンダは古くて新しい問題だと言える。この物語が単なる歴史を題材にした小説に終わっていないのは、このテーマに今日性があるからだ。」
タカザワケンジ(書評家) (解説より)

「特撮の舞台裏を描くことで戦争の舞台裏を描く、その試みには明らかに「ポスト・トゥルース」に象徴される現代社会の潮流――信じたいものを信じるために、事実に目をつぶる――が反映されている。あるいは、先の大戦を語ることへの過剰な情熱、過剰なフォビア(恐怖症)が渦巻く日本の空気が、ありありと。この小説が二〇一七年の今書かれたことには、意味がある。」
吉田大助(ライター)(「本の旅人」2018年1月号より)  

ヒトラーの試写室 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • どこからが史実でどこまでがフィクションなのか不明だけど、細かな作業を得意とする日本人は特撮技術に優れてるんだろうな。海外にも認められて素直にうれしく思う。誇りに思う。
    寒天とか鰹節とか面白い。そんな技術で作られた映画、観たかったなー。

  • 題名のヒトラーはもちろん、彼の取り巻き、それに特撮の神様円谷英二、さらに原節子も登場。
    史実をもとにしたフィクションというが、どこまでが史実でどこからがフィクションだろうか。
    日本で特撮に携わった技術者の青年が、戦時下のドイツに渡り、ナチスの映画つくりを手伝うという数奇な運命をたどる。青年の特撮技術による映画には、ナチスの悪辣な陰謀が隠されていた。
    その陰謀を知ったドイツの映画人たちと青年の、ナチスに対する抵抗と戦い、そして彼らの家族に対する愛情の物語は、熱い感動とともに一気読みをさせる。

  • またもや松岡圭祐の近現代ものの傑作。全く知らなかった史実にかなり興奮した。

  • 1935年、20歳の柴田彰は活動写真の俳優を夢見るが、大工の父親は猛反対し勘当されてしまった。家を飛び出しオーディションを受けるが箸にも棒にもかからずあえなく挫折。だが、人手不足だった日独合作映画「新しき土」の特殊撮影助手の仕事にありつく。主任の円谷英二の情熱に触れるうち彰も仕事にのめり込み映画は見事に完成。ベルリンにも運ばれ、映画で人心の掌握と扇動を狙っていたナチス宣伝大臣ゲッベルスの心に刻み込まれる。日本は41年、ついに太平洋戦争に突入。軍部の要請から戦意高揚をねらった映画「ハワイ・マレー海戦」が製作されることになり彰も特殊撮影で参加。この作品もベルリンに運ばれ、丁度イギリスの権威を失墜させる為に映画「タイタニック」を製作したが、どうしてもクライマックスの沈没シーンが上手く撮影できないことを悩んでいたゲッベルスが目をつけ、彰がドイツに招聘されることになる。環境の違いから撮影は苦戦。日本に残した妻子を想う柴田だったが、ベルリンは戦火に……。意外すぎる歴史秘話に基づく、一気読みと感動必至の傑作エンタメ小説。

    そもそもナチス・ドイツの時代にタイタニックの映画化がされていたことすら知りませんでした。主人公のモデルとなった人物(実在するのであれば)と、参考文献を知りたいと強く思います。

  • 第一次世界大戦後から第二次世界大戦終わりまでの時期。
    俳優になりたかった男が、オーディションに落選するも、特殊撮影部に関わりをおくことに。そこにはわかり氏の円谷さんが課長として存在した。まだ黎明期のそれは、情熱と低予算で、創意工夫とメンバーの情熱だけに支えられていた。アメリカから石油が輸入できないようになって、日本の経済および軍備は逼迫する。大国からはじき出された日本とドイツは当然のように近く。プロパガンダのための映画製作がどの国でも当然のように政策の一環として行われていた。特殊効果を遺憾無く発揮したマレー海戦の映画の高評価により、ナチスドイツから日本に依頼が来た。主人公はドイツに渡り、初めは心通わないメンバーであったが、仕事を成し遂げて行く。戦争末期のドイツ、日本の負け戦を隠そうとするでっち上げの映画。国民にも隠される本当の姿。
    終盤に近くにつれてどんでん返しの連続。息を持つかせぬ逼迫したストーリー展開で一気に読ませた。

  • ★4.0
    「新しき土」を始めとした戦時中の映画、ラングやリーフェンシュタールといったドイツ人監督名が出てくる、映画好きには堪らない1冊。後者の監督たちは話に関わりがないけれど、彼らの戦後を知っているとより作品に深みが増す気がする。そして、主人公・柴田や円谷英二が手掛ける特撮の裏側が魅力的で、全くもって興味が尽きない。が、後半からは一転、ナチス・ドイツの洗礼を受けることに。ドイツで追い詰められる柴田は勿論、日本で暮らす彼の家族の疎開先が心配で仕方なかった。後記で綴られた柴田のその後は、彼らしい選択だと思う。

  • 松岡圭祐さんの作品ということで、勝手に推理小説と思い込んで読み始めたから、開始数行であれ??てなった笑
    歴史小説、特に戦争ものは苦手なんだけど、映画というエンタメの世界を舞台にしているからか、お話として引き込まれて読めた。
    どこまでが本当でどこからがフィクションなのかわからなかった。
    なのに最後、主人公の周りの人たちだけが運良く生き残る、ていうのが嘘くさすぎて醒めてしまった。。。

  • 史実とフィクションが混ざり合い、興奮して読み進めてしまう松岡マジック作品。戦下の日独映画界の感動の物語。

  • 松岡さんもこのところ、この種(戦争時代)のお話が増えてきた。
    ようやく我々戦後生まれに封印された歴史が見えはじめている。

  • いやぁ、ナチス・ドイツで、タイタニックに関連する映画が作られていたことは知りませんでした。その後調べてみると、タイタニック号沈没直後、既にアメリカやドイツ、イタリアなどたくさんの国でタイタニック号沈没の映画が作られているんですね。そして、それから30年くらい経過したナチス政権下、再び、タイタニック号沈没の映画が作られています。監督は、この作品中のセルピンとクリングラーでした。日本側、ドイツ側、ともに実在の人物が沢山出ている上に、史実とフィクションが絡み合っていて、中々、興味深い物語になっています。

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