宮廷神官物語 一 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.91
  • (57)
  • (99)
  • (60)
  • (4)
  • (3)
本棚登録 : 991
感想 : 64
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041067543

作品紹介・あらすじ

古き良き伝統の国、麗虎国。美貌の宮廷神官・鶏冠は、王命を受け、「奇跡の少年」を探している。しかし候補の天青はとんでもない悪ガキ。この子が?と疑う鶏冠だが、その晩、天青ともども命を狙われ……。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 人の悪しき心を見抜くという、伝説の〈慧眼児〉。
    宮廷神官の瑛鶏冠は、王命により、その子どもを探しに行く。

    シリーズ第1作。

    とてもおもしろく、一気読み。

    まず、とにかくキャラクターが魅力的。

    禁欲的でなかなか感情を見せない、宮廷神官の瑛鶏冠。
    言葉遣いも礼儀も知らない、山猿のような少年・天青。
    天青を守る、武芸に秀でた青年・曹鉄。

    メイン3人のバランスがとてもよく、ぽんぽんとテンポのよい会話がたのしい。

    表立って見せないけれど、鶏冠が根底に持つ、他者へのやさしさ。
    やんちゃな中にある、天青のものごとを率直に見つめる目。

    それぞれの内面が掘り下げられるごとに、どんどん魅力が増していく。

    ストーリーもおもしろく、コミカルなだけでなく、時につらく切ないできごとがあり、ぐっとくる。

    緩急のつけ方がうまく、引きこまれる作品。
    シリーズ化しているようなので、続編も探したい。

  • アジア風のファンタジー。
    衣装は朝鮮王朝風だけど、国の成り立ちなどは違います。
    美形ばかりで生き生きと描かれ、楽しく読めました。

    瑛鶏冠は、宮廷神官。
    若くして認められている、優秀で冷静沈着、しかも大変な美形。出世には興味がないのですが…

    白虎の神話が残る麗虎国には、慧眼児(えげんじ)という、これも伝説的な存在がありました。
    次の大神官を決めるには、この慧眼児が必要なのです。
    王名を受けて、とある山奥の村までやってきた鶏冠は、下働きをしている乱暴な子供に出会い、この男の子・天青が慧眼児の候補と知ります。
    手こずらされながらも宮廷へと向かう旅路へ。

    天青の幼馴染で兄代わりの曹鉄、旅の難所で助けるように現れた白虎の子、匿ってくれた旅芸人の一座など、苦難を乗り越える仲間にも出会いながら。
    そして、宮廷では…?

    会話は若向きでわかりやすく、キャラ設定がはっきりしていて、軽快なテンポに引き込まれます。
    無邪気な天青に振り回されて、クールな鶏冠がしだいに冷静さを保てなくなる一方、皆が少しずつ仲間になっていく。
    続きも大いに楽しみで、すっかり気に入ってます☆


  • 聖なる白虎の伝説が残る麗虎国。
    美貌の若き宮廷神官・鶏冠は、王命を受けて、次の大神官を決めるために必要な「慧眼児」を探して山奥の村を訪れた。
    「慧眼(えげん)児」は、 人の心の善悪を見抜く力があるという。
    ところが慧眼児と聞いていた天青は山猿のような野生児で。
    真偽を疑いつつ、天青と、彼を守る屈強な青年・曹鉄と共に鶏冠は王都を目指すが、度々命を狙われることに。
    無事に王都に戻れるのか?
    天青は慧眼の力を宿しているのか?

    苦労の末、神官となった鶏冠の過去
    孤児、天青のルーツ
    武官の父を持つ、曹鉄の秘密
    まだまだ顔合わせな今回。
    喜怒哀楽を隠す訓練を受けてる鶏冠が、いつの間にか心の動きがダダ漏れになってる可愛らしいさ。
    口は悪いくそガキながら泣き虫で、疑問をそのままにしない真っ直ぐな天青。
    登場人物それぞれが魅力的で楽しい。
    勧善懲悪なのもスッキリ。
    鶏冠の料理がこれからも登場するといいなー

  • 優れた知性と美貌を持ちながら、無欲で自己犠牲を厭わぬ若き神官・鶏冠が、次の大神官を決めるために王命を受けてたずねあてた『奇蹟の慧眼児』は、ど田舎のやんちゃな悪ガキ・天青だった。
    悪しき心を見抜くという慧眼児など邪魔と考える宮中の神官や貴族たちに命を狙われながら、天青が兄のように慕う青年・曹鉄を伴い、三人は王都を目指す。


    読みたい読みたいと思いながら、手に取る機会がなかった、韓国を思わせるアジアン・ファンタジー。榎田ユウリさん作品も初めて。
    鶏冠と天青のコンビに加え、次々と登場するキャラが軽やかで、あっという間に読める。
    こりゃ人気出るわー。
    角川ビーンズのアジアン・ファンタジーは「彩雲国物語」もあるし…と思いながら読み始め、やたら美形が出てくるのはお約束なのだろうかと思いつつ…
    一日一冊読んでしまうとすぐ終わってしまうので、休み休み読もう。楽しみ。

  • 青臭い友情と言われればそれまでなんどけど、そういう綺麗なこころってなかなか現実では味わえない。
    やっぱり読書の醍醐味って現実逃避も大きな魅力のひとつなのでこの際、こんな不吉なGWはちょっと感動しちゃいそうなこのシリーズイッキ読みしてみよう。
    っていうか、スゴいおもしろい。

  • 若き美貌の宮廷神官が王命を受けて「慧眼」を持つ奇跡の少年を探しに行く…。榎田ユウリさん好きで、アジアンファンタジーも好きだから気になっていたシリーズ。榎田さんの書くお話は、読みやすくすぐその世界に入れて好き。身分差別、宮廷内の権力争いなど王道であるが、キャラクターが魅力的で、物語のコミカルなところとエグいところの落差、喜怒哀楽が豊富で続きが早く読みたくなる。

  • 元々は角川ビーンズ文庫で刊行されていたそうです。
    道理で読みやすいわけだ。

    帯に書かれたアジアンファンタジーの文字と表紙のイラストに好感をもてたのでジャケ買いしたのですが、買って正解でした。時間も忘れ、結末を知りたくてページを繰る手が止まらなかった。

    ビーンズ文庫ではシリーズ化されているみたいなので、安心して読み進められます。でも刊行がまだまだかかりそう……!!(やきもき)

    ちなみに今日、ビーンズ文庫版を店頭で見かけましたが表紙が好みでなかったので、もし角川文庫版が出ていなければ手に取ることはなかった作品だったと思います。

    出会いやタイミングってあるんだなぁ。

  • 鶏冠が好み過ぎて…!
    でも、曹鉄も良い男!

    魚住くんシリーズで榎田さんを好きになって、このシリーズも世界観が好みそうだなと取ってみたら大当たりだった。
    キャラ立ちに関しては榎田さんには絶大な信頼を置いているけど、最高オブ最高でした!

    曹鉄、天青が鶏冠へ情が湧くの心配しておきながら、自分だって情湧いてるじゃないか(笑)
    そして、鶏冠のこと良く見てるさ~?
    思わずニヤニヤするくらいには鶏冠のことよく見てるよね曹鉄。
    鶏冠の読みづらい表情もちょっとした癖から判断出来るようになるし、鶏冠のこと心配するし、辰砂に拷問された鶏冠見て頭にきちゃうし、鶏冠のこと大好きなのでは?

    天青は、まさかほんとの慧眼児だとは思わなんだ。
    そこはさすがにただのファンタジーだろと思ってたら、最後の最後でゴリゴリのファンタジー展開になってびっくりした。
    というか、柘榴婆は一体何者…?
    天青の本物の慧眼の核たる青い玉持ってたし、天青を山で拾うし。
    それにあの青い玉、柘榴婆が持ってたということは山で見つけたときはまだ青い玉が額にあったのかな?
    どうやって取ったのか、それとも取れたのか…。
    分からんな。

    曹鉄もまだ謎だよな。
    おじいちゃんは宮廷武官の結構上の方の地位だったんじゃないか?

    鶏冠は表情の変化はわりと薄いかもしれないけど、過剰表現はかなり豊かだよなぁ。
    それに情に厚い行動もとるし。
    その人間臭さがいい。

    5月に2巻が出るみたいだから買わないと。
    このシリーズもとはビーンズで出てたんだな。
    ということは、あまり間を置かずどんどん刊行されるのかな?
    それなら毎月読めそうで楽しみ!

  • 部隊は古代朝鮮のイメージ
    聖なる白虎の伝説が残る麗虎国では王を罷免
    するほどの権威を持つ大神官を決めるために
    奇跡の少年を探す「額の第三の眼=慧眼」は
    人の心の善悪を見抜くというのだが、実際に
    会えば山猿も逃げ出すヤンチャな小僧だった

    最近ファンタジーばかり(´・ω・`)現実逃避

  • これってもう完結してるシリーズの改訂版だったのね。最後まで確実に読めると言うのは、何とも心強い。こちらのイラストの方がおばちゃんには手にとりやすく、出会えてよかったと思えるお話でした。

全64件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

東京都出身。おもにライトノベルにて活躍する気鋭。代表作は「カブキブ!」シリーズ、「魚住くん」シリーズ(角川文庫)、「妖き庵夜話」シリーズ(角川ホラー文庫)、「宮廷神官物語」シリーズ(角川書店ビーンズ文庫)など。榎田尤利名義でも著書多数。

「2023年 『妖奇庵夜話 千の波 万の波』 で使われていた紹介文から引用しています。」

榎田ユウリの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
辻村 深月
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×