宮廷神官物語 二 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041067918

作品紹介・あらすじ

人の悪しき心を見抜くことができる奇蹟の少年・天青。
その能力は、次代の大神官に必要な強大な力だ。
けれど天青の中身はただのやんちゃな小僧……。
そこで、麗虎国の宮廷で、神官書生として学ぶことに。
保護者代わりの美貌の神官・鶏冠と、守り役で武人の曹鉄がいるから平気、なんて
甘く考えていた天青だが、待っていたのは神官書生たちのイジメ! 
持って生まれたガッツで戦う天青だが、ちょっぴり疲れる時もある。

そんなある日、学校の課題で山へ出かけた天青は、
天真爛漫な少年・櫻嵐と出会い……。
珠玉のアジアン・ファンタジー第2弾、波瀾の学校生活!

感想・レビュー・書評

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  • 王都に残ることを決めた、天青と曹鉄。
    天青は、神官書生として、新たな生活を始める。

    シリーズ第2作。

    今回は、表紙もストーリーも、天青がメイン。

    貴族や良民が当たり前の宮中神学院で、田舎育ちで常民の天青に対する、差別。
    全寮制の暮らし。
    〈慧眼児〉に対する、疑い。

    つらい学舎での生活に追い打ちをかける、師範神官となった鶏冠の、すげない態度。
    言葉の少ない鶏冠と、素直じゃない天青だからこその、すれ違いはもどかしい。

    天青が出会った、少年・櫻嵐と、美しい少女・紀希。
    あらたに現れたキャラクターも、また個性的で、たのしかった。

    〈慧眼児〉が悪しき心を見抜く、と言うだけではなく、それぞれの生活や心情に読み応えのある物語。

  • 宮廷神官物語、2冊目。
    架空の麗虎国が舞台のアジア風王朝ファンタジーです。

    若き宮廷神官の鶏冠は、慧眼児(えげんじ)を探しに行き、候補の天青をはるばる連れ帰りました。
    慧眼児とは、善悪を見抜く力がある存在。
    何とか慧眼児として認められた天青ですが、ふだんはただの田舎育ちの男の子。
    神官書生として、教育を受けることになります。
    責任を感じた鶏冠は、距離を置いて厳しくしつけようとしますが、すっかり鶏冠に懐いている天青はちょっと寂しい…(笑)

    宮廷の状況、王や側室、有力者、神官などの力関係。
    学校生活で新入りに起こりがちな波乱などを描きつつ、物語は展開します。
    目立たず本を読んでいられればいいと思っていた鶏冠だったが、もうそういう生き方は出来そうもない…?
    役者が揃った感じで、盛り上がり、とても面白かったです☆

  • ちょっとした映画を観ているよう。
    自ら物語の世界に飛び込んでしまったような臨場感で読み進められる。
    これはとまらない。通販で紙の本が手に入らないのが残念だなぁ。

  • ああああ!!
    おとなげなく、徹夜読み(26時くらいまでだけど)してしまった。
    前の日も少し睡眠不足だったしベッドへ入る時間も遅くなっちゃったから、きりのいいところまで読んで眠ればいい、と思っていたのに。いざ、きりのいいところまで読んだら「あともうちょっとだけ読んじゃおう」と止まらなくなってしまったのだ。
    幸い、1冊の分量が少なかったおかげで、今日のわたしは大人の責務をちゃんと果たせている。

    さて、前巻ですっかり情の移ってしまった天青と鶏冠。
    鶏冠を守るために、天青は宮中に残ることを決意する。ガラにもない宮中神官の見習い書生として。
    苑遊師は最初のシーンからわたしのなかでは、もう堺雅人さんで動き出してしまった。ちょっと年嵩だけれど、まぁそこはそれ。
    今回もまた、天青の第3の目に頼っちゃうとかは、典型的な、日本人が好きなお約束のパターンだし、ネタバレというべきなのかある意味捻りのないあらすじなのだけれど、だからこそ安心して読めるのです。少々お疲れ気味のおポンコツ頭には、小難しいうえに誰も彼もを疑ってかからなければならないお話はつらい。

    鶏冠の成長物語。今後ますます楽しみです。

  • 久しぶりに面白い小説に出会った!と1巻でも思ったけど、シリーズの勢いは1巻だけでは評価し切れないと思いながら読んだ2巻。
    うん、面白い。

    シリーズものは登場人物も多くなるが、2巻目にしてまだ多いというわけではなく、1巻で馴染んだキャラクターたちに、さらに2巻でそれぞれに対する愛情も湧き、全ての登場人物に対しての感情移入をしてしまう。

    キャラクターへの読者の愛着の湧き方もそうであるけど、物語の流れ、スピーディーさ、
    時に残酷な描写も物語の緩急のために入れてくるあたり、すごくいい。

    読みやすくて、焦ったさもなく、それでいて伏線が下手くそということもない、気持ちのいい作品だなあと思います。
    それゆえに1巻がすんごい薄いんだけどね、シリーズまだ続くからまだまだ序章なのだろうねと思ってる。


    ここからネタバレ。

    先に書いた『伏線が下手くそということもない』というものの1つが、
    天青が初めて山の中で櫻嵐・紀希に出会ったシーンの後、鶏冠のもとに乱麻が訪れ、延珠氏の姫君が島流しにはなっていなかったと判明したシーン。
    ここで多くの方が、天青が出会った紀希がその姫君であると想像したと思う。
    私もそう思った。

    そのままの流れで鶏冠はその山へ向かうことになり、紀希に対して「姫」と頭を下げるわけである。
    スッキリと姫君を元の人生へと戻らせる話の流れの軽快さに、ジリジリとした焦ったさもなく、読む側としては「あっぱれ!榎田ユウリ」と思ったし、
    何より実は姫は男装していた櫻嵐であるという種明かしにも「あっぱれ!」

    我々読者と鶏冠は同時に、榎田ユウリ(及び櫻嵐)にしてやられたわけです。

    男装していた女性というのは、1巻で女装していた王子や鶏冠の流れも汲みしていて、読者としてはなんとなく懐かしさというものも感じるし、
    それにより一泡ふかされた笙玲の描写は、すっかり天青に感情移入している読者にとっても溜飲が下がるシーンになった。

    この1シーンに詰まった要素がこれだけ多いのに、
    情報過多にならない書き方がすごく好みです。


    この1シーンだけで語るものが多いけれど、
    この1冊を通しての、さらなる鶏冠と天青の絆の強さにほっこりさせてもらったし、
    天青に待ち受けている運命に対しても、想像するものがあった。

    同時に、天青は天青で成長していることが伝わるラストに、鶏冠と同じように私も弟(というか子供?)を見るかのように感慨深くなりました。

  • 天青が神官の学校に行き始めて起こる様々な事件。
    そして行方不明だった王女が見つかるまで。

    野生児はどこまで行っても野生児だ。笑
    だけど嘘をつかないからこそ、困ったちゃんでも憎めない天青の魅力にみんなが惹かれる。
    鶏冠の天青を思いやる心がなかなか伝わらないのが切ない。

    宮廷が話の舞台になったらおとなしめの話になるかと思いきや、
    いい感じでその予想を裏切ってくれた。
    いやはや。

  • 面白かったー。天青が可愛いすぎる。
    子供らしい甘えや健気さが存分に出て、応援したくなる。
    鶏冠も曹鉄も、天青を守る様が良い!
    慧眼児がどれほど、孤独で恐ろしい力かも読み手によくわかり天青がそれをさらに自覚する場面はぞくぞくした。
    早く続きが読みたい。

  • 不器用で生真面目な神官と山育ちだけどきらりと光る秘密を持った少年、それを見守る田舎の男。このトライアングルがいいよね。小虎も。
    友だちができてよかった。
    そして子どもだけじゃなくて大人も経験によって変化するんだなあとしみじみ

  • 2人のすれ違いがつらかった
    でも、どんなときも真っ直ぐな天青にあっという間に持っていかれる

    こんな素直な子に育つにはどうしたらいいんだろう

  • 勢いに任せて二巻まで読んでしまった…!スルスル読めるからめちゃくちゃ速い!! 鶏冠と天青の拗れ(?)だったり曹鉄のスパダリ感だったり、とても面白かったです!!!

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著者プロフィール

東京都出身。おもにライトノベルにて活躍する気鋭。代表作は「カブキブ!」シリーズ、「魚住くん」シリーズ(角川文庫)、「妖き庵夜話」シリーズ(角川ホラー文庫)、「宮廷神官物語」シリーズ(角川書店ビーンズ文庫)など。榎田尤利名義でも著書多数。

「2023年 『妖奇庵夜話 千の波 万の波』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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