あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 1185
レビュー : 176
  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041067925

作品紹介・あらすじ

江戸は神田の筋違御門先にある袋物屋の三島屋で、風変わりな百物語を続けるおちか。 塩断ちが元凶で行き逢い神を呼び込んでしまい、家族が次々と不幸に見舞われる「開けずの間」。 亡者を起こすという“もんも声”を持った女中が、大名家のもの言わぬ姫の付き人になってその理由を突き止める「だんまり姫」。屋敷の奥に封じられた面の監視役として雇われた女中の告白「面の家」。百両という破格で写本を請け負った男の数奇な運命が語られる表題作に、三島屋の長男・伊一郎が幼い頃に遭遇した椿事「金目の猫」を加えた選りぬき珠玉の全五篇。人の弱さ苦しさに寄り添い、心の澱を浄め流す極上の物語、シリーズ第一期完結篇!

感想・レビュー・書評

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  • 三島屋変調百物語、五巻目。安定した面白さ。

    『開かずの間』
    9人家族を襲った不幸。離縁して子供への思慕を募らせていた長姉のおゆうは、塩断ちをして一心にあらゆる神仏に拝むうち、行き逢い神を招き入れてしまう。行き逢い神は命と引き換えに願い事を叶えてくれるという。家族の歯車はどんどんずれていき…

    『だんまり姫』
    亡者を起こす『もんも声』を持つおせい。耳の遠い老夫婦の女中暮らしで培った身振り手振りの技を買われ、お城の女中として働くことになる。この城の姫は、幼い頃から一言も発しない。おせいはひょんなことから城のもんもを呼び寄せてしまい、姫の声が出ない理由を知ることになる。それは国を二分した騒動にまつわる悲劇だった。

    『面の家』
    突然黒白の間に訪ねて来た、痩せて行儀の悪い娘お種。お種が素行の悪さを見込まれて(?)、女中として働き出した屋敷は、災厄を引き起こす「面」を封じていた。お種にだけわかる面の声、面の立てる音。お種に命じられたのは、面を見張る「番犬」の役割だった…。

    『あやかし草紙』
    表題作。瓢箪古堂の若旦那・勘一が若かりし頃、父の勘太郎が懇意にし、写本の内職を頼んでいた武家の中に、十兵衛という浪人がいた。十兵衛は娘と二人で長屋暮らし。亡き妻の薬代の借金で困窮していた。ある日十兵衛の元に舞い込んだ奇妙な写本の仕事。薄い冊子を写すだけで百両の報酬を受けられるという…。

    『金目の猫』
    久しぶりに奉公先から帰省した伊一郎と、富次郎が黒白の間で幼い頃の不思議な話を語り合う。冨次郎が可愛がっていた金目の猫の正体は…。

    怖かったのはダントツで『開かずの間』。
    弱った心につけ込む行き逢い神を呼び込んでしまったことで連鎖して起こる悲劇。家族の命と引き換えに願いを叶え、どんどん一家が深みにはまっていくところが怖かった…。願いを叶えるたびに行き逢い神の衣装が豪奢になっていくというのもまた…( ゚д゚)

    そして、百物語の聞き手がおちかから冨次郎にバトンタッチされたことに驚き!前作の三鬼の筋をあまりきちんと覚えていなくて、今作ではやたらと富次郎が出てくるな〜なんて思っていたら。
    いつの間にそんなことに?とやや展開から置いてけぼりになってしまいましたが(笑)、三島屋に来た当初、傷ついて内にこもっていたおちかが、すっかり前を向くようになり、こんなに強くなったことが嬉しい。(それにしても自ら乗り込んでいくとは頼もしすぎる…笑)
    おちかちゃんに幸あれ!

  • シリーズ第五巻。

    ホッとした瞬間、思わず涙が出た。

    今までこの物語を追い続けてきて良かった、心からそう思った瞬間だった。

    つくづく人との縁なるもの、それが時間がかかってもいずれ何かに繋がる大切さを噛み締める。
    どの百物語も怖さと優しさあり、語り手聞き手どちらの人柄を知る大切な時間でもあり…。

    語られたことをそれぞれのやり方で心に取り込むおちかと富次郎の姿が印象的。

    三島屋メンバー、おちかを支え見守る誰もが人として真っ直ぐな眼差し、温かな眼差しを持っているのが伝わってきたのも良かった。

    新たな黒白の間、第六巻が待ち遠しい。

    • けいたんさん
      こんばんは(^-^)/

      くるたん、私がちょっと来ない間におちかさんどんどん進んでいるねぇ(*≧艸≦)
      しかもどんどん面白くなってい...
      こんばんは(^-^)/

      くるたん、私がちょっと来ない間におちかさんどんどん進んでいるねぇ(*≧艸≦)
      しかもどんどん面白くなっていってる!
      あと何冊かしら?
      私が次来る時には読み終わっていたりして(笑)
      私も次はもっと早く来れるように頑張る。
      でも、横山さんに苦労してる。
      返却日がきたら返さないと…。
      2019/11/22
    • くるたんさん
      けいたん♪こんばんは♪

      ちょっとお久しぶりかな?

      これで一区切り、来月、第六巻がでるのよ♪これは私と相性の良いシリーズだった♡

      苦戦す...
      けいたん♪こんばんは♪

      ちょっとお久しぶりかな?

      これで一区切り、来月、第六巻がでるのよ♪これは私と相性の良いシリーズだった♡

      苦戦する気持ち、わかるー、図書館本は追われるのが嫌だし、気分と合わない時がつらいよね。
      2019/11/22
  • 大好きなシリーズ。
    今回はシリーズ第一期完結という節目の第五弾。
    今回も三島屋の黒白の間で様々な語り手が聞き手・おちかに胸に溜めた秘め事を語る。
    思わずゾクッとする話や身の引き締まる思いにさせてくれる話と相変わらず幅広い。

    人の弱さにつけ込む「あやかし」達のなんと多いことか。
    そしてそんな「あやかし」に惑わされる人の弱さをまざまざと見せつけられる。
    けれど語り終え胸の重荷を下ろした人達の満足した様子に読み手も安堵する。
    これだから、この三島屋シリーズはやめられない。

    百物語中二十七話まで聞き捨ててきた黒白の間。
    我らがおちかはお勝の予言通りの展開になって喜ばしい反面、寂しい…けれどやっぱりおめでたい!
    引き継ぐ小旦那の今後にも期待して第六弾を待ちたい。

  • はー!このシリーズ大好き!!
    特に従兄弟の富次郎が出てきたあたりから全体的に明るい雰囲気になって、好きです。
    今回もよかった。
    宮部みゆきさんて、ど素人のわたしが言うのもアレだし今さらなんですが、多才ですね。
    ミステリー、純文学的なもの、ファンタジー、時代物…
    わたしはぜーんぶ好きです。
    高校生くらいのときは「なんでもっとミステリー書いてくれないの!」と思ってたけど、
    今ではほんと全部好き。
    宮部さんが司馬遼太郎を尊敬していると知ってからは司馬遼太郎を読み漁り、そこから更に古典や時代小説も読むようになって
    中高生のときのわたしの世界を拡げてくれた人です。

    三島屋シリーズの新刊は未読ですが、超たのしみ!

  • 三島屋おちかシリーズは、霊験お初シリーズより後に出た比較的新しい、時代物ミステリー。
    推理小説ではないのだが、三島屋の黒白の間に訪れる人々から様々な怪異談を聴く様は、若きミス・マープルと言った感じがしないでもない…。

    三年前に不幸な出来事に巻き込まれたおちかが、実家の川崎宿から江戸で袋物の商いをする叔父の家へ来たのが随分昔のことのように感じる。
    人々の不思議話を聴くうちに、おちかの心も逞しくなり、顔を上げて生きていく気持ちが芽生え始める。そして、幸せの足音も?聴き手は選手交代か?

    個人的にはお初シリーズの続編も読みたいんだけどなぁ。2018.12.25

  • <三島屋変調百物語>シリーズ第五作。
    『開けずの間』『だんまり姫』『面の家』『あやかし草紙』『金目の猫』の五話。
    今回もとことん怖い話、怖い中にも情のある話、なんとも言えずぞっとする話、不思議だがほっこりする話など様々。
    表題作の結末、いきなりの急展開。
    それっぽい気配が無くはないものの、かなり驚かされた。
    おちかが幸せになることに越したことはないのだけれど、ただその先に何が起こるのかはきちんと描いてほしい。
    これで完結なのかと思っていたら、最終話では更に意外な展開に。宮部さんらしいと言えばそうなのだけど、今作ではいろいろ驚かされる。
    読み終えて調べたら、今作で『第一期完結』らしい。ということは次作から『第二期』が始まるということか。
    これは長い長いシリーズになりそう。
    これを気に、最初から読み直しておくのも良いかも知れない。

  • シリーズ5作目。
    本作でおちか編は完結のようです。これからは三島屋次男坊、富次郎編。

    本作は語り手がいつも個性豊かでそこも見所のひとつ。実際読んでいて、語り手の表情だったり仕草だったりが見える。その描写力はやはり宮部さん、と言うほかないですね。

    形式、主題としては百物語ではありますが、怪談と言う括りでは収まらない、ふしぎなお話たち。勿論怖い話だってあるんですけど、絶対一番恐ろしいのは人。ふしぎな話を通して、いつの時代も変わらぬ人の心のありようを書かれている。それは宮部さんの作品全てに共通することかな。

    フィクション、ファンタジーなのだけれど、それがよりリアリティを浮き彫りにしている気がします。

    【開けずの間】
    最後に行き逢い神の言ったことが全てだと思う。バカだねぇ。

    【だんまり姫】
    本作で一番好きなお話。語り手のキャラクターも、話の内容も、ボリュームも。語り手と登場人物の関係などまで本当に魅力的。図太い語り手がイキイキとしています。

    【面の家】
    語り手の声が、ちびまる子ちゃんの前田さんの声で脳内再生されました。こう言う人の気持ち、そうそう、あるよな、と言うのがズバリ書かれていて、グサリときます。

    【あやかし草子】
    語り手二人分と言える回。
    そうきたか、と言う。
    大きな節目回。
    結局、どっちなの? と言うところが気になって仕方ないです。

    【金目の猫】
    三島屋の紹介として読みました。
    おちか視点ではわからなかった昔の三島屋の様子、長男、次からの主役である次男の人となり。
    三島屋主人やおかみさんのことも、叔父叔母ではなく親としての姿が見られる。貴重な一本。

    こんなこと言ってはアレなのですが、伊一郎と富次郎、読んでいてどうしても畠中恵さんのまんまことシリーズの清十郎と麻之助に重ねてしまって。脳内ビジュアルがつい。
    小僧コンビは宮部さんのぼんくらシリーズの弓之助、おでこのようなイメージ。かわいいらしい。

    これからがまた楽しみです。

  • 開けずの間・・・塩断ちにより呼び寄せてしまったのは、
          邪神か?
    「猿の手」を彷彿とさせる願いの行き逢いが襲う悲劇。
     最後の最後まで背筋がぞぉっとさせられる。
     “うふふ”が最凶に恐ろしい!
    だんまり姫・・・亡者を起こす声を持った、
          おせいの数奇な運命。
     恐れず行動する、おせいの真っ直ぐな心意気、
     姫と一国様の可愛さと健気さが際立ってます。
     そして、なんといっても亡者よりも生者の方が怖い。
    面の家・・・謎めいた奉公先には、謎めいた人々と
         謎めいた面がいた。
     面の家にいる人たちはどこから来たのだろうか?
     現代にも面の家はあるのだろうか?
     と、考えてしまいました。
    あやかし草紙・・・一冊の薄い冊子を写本することで起こる
         人生への影響とは?もしかして彼も?
     だが、次の語り手である老婆の話がおちかを動かす。
     聞き捨てできなかったおちか。
     聞き捨てできた富次郎。
     ここが聞き手交代の運命の分かれ道と、読みました。
    金目の猫・・・三島屋の兄弟、伊一郎と富次郎。
       二人が子ども時代に出会った、猫の正体は?
     第二期へのプロローグ。富次郎目線での話です。
     ここでやっと三島屋と兄弟の過去がわかりました。
    これにて第一期完結。怖い話、切ない話が繰り返される
    合間での、おちかの心情と行動。
    過去からの脱却にもなったかな?
    また、話毎に富次郎の姿が大きくなりました。
    これにて、女性目線での聞き捨てはおしまい。
    また、お勝の過去も気になっています。
    第二期にも期待!

  • しまった!三鬼よりもこちらを先に読んでしまい、いつの間にか青野先生が去って従兄弟の富次郎と瓢箪庫堂の勘一が登場していてかなり面食らいました。
    いつかはおちかが黒白の間を卒業する日が来るとは思っていましたが、まさかこんな急な展開とは!?

    残念な反面、全体の雰囲気は明るく、おちかが新しい世界に旅立つのにはぴったり。
    しかし初めの行き違い神を招き入れてしまう話はとても怖く、現代でも起こりそうで心底震え上がりました。特に行き違い神の衣装がだんだん豪華になって行くのが怖い……

    このシリーズも一旦お休みって事なのですね〜。また気が向いたら富次郎さんで再開してほしいです。おちかの幸せを祈ります。
    でも気になるのは家守の怪しい男です。もう一回くらい絡んで来るかと思っていたけど、ちょっと拍子抜けしました。まあそれこそが、おちかの心が回復したと言う事なのでしょうが、人生またいつ悲しみや躓きがあるかわからない、その時に惑わされないで心強く乗り切って欲しいです。
    ってか自分にもそう言い聞かせたいです。そう言う話だったんだなこのシリーズは。今更に得心。

  • おちかさんに会いたくて、発売が待ち遠しかった!読み始めると、私も三島屋の人々と一緒に心をほぐし過ごしている気分になりますが、各編で語られる哀しみや切なさには胸が塞がれます。『開けずの間』は印象的。それにしても人は自分が囚われ、縛られているものに気づけないものなのですね。生き永らえるために蓋をした自分の心の底。溜まった幾重もの寂しさ、羨ましさ、腹立たしさが暴走しないように、取り出して言葉を与えることが大事だなと感じました。着物の色を表す路考茶、利休鼠は素敵。日本の色の豊かな幅にも触れました。

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著者プロフィール

宮部 みゆき(みやべ みゆき)
1960年、東京都生まれ。1987年に「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、デビュー。1992年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、1999年には『理由』で直木賞、2002年『模倣犯』で司馬遼太郎賞、2007年『名もなき毒』で吉川英治文学賞など、数々の文学賞を受賞。大沢オフィス所属。日本推理作家協会会員。日本SF作家クラブ会員。直木賞、日本SF大賞、小説すばる新人賞、河合隼雄物語賞など多くの文学賞で選考委員を務める。『模倣犯』や『ブレイブ・ストーリー』など、多くの作品がドラマ化や映画化などメディア・ミックスされており、日本を代表するエンターテインメント作家として人気を博している。2019年7月10日『さよならの儀式』を刊行。

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