- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041068045
作品紹介・あらすじ
諦めず、迷わず、信じた道を一筋に――
謎の刃傷事件を起こした浅野内匠頭。
彼が密かに残した”最期の言葉”とは。
言葉を聞いた勘解由の、秘めたる想いの行方は。
直木賞作家が描く、かつてない「忠臣蔵」!
≪映画化『散り椿』に連なる扇野藩シリーズ≫
元禄十四年(1701)十一月。
若くして扇野藩の馬廻り役・中川三郎兵衛の後家となった紗英【さえ】は、江戸からやってくる永井勘解由【ながいかげゆ】という人物の接待役兼監視役を命じられた。
勘解由は旗本であり、幕府の目付役だったが、将軍・徳川綱吉の怒りにふれて扇野藩にお預けの身になったという。
この年、江戸城内で、播州赤穂の大名・浅野内匠頭が、高家筆頭、吉良上野介を斬りつける刃傷事件が起きていた。浅野内匠頭は理由を問われぬまま即日切腹。だが勘解由は、老中に切腹の見合わせを進言し、また切腹の直前、襖越しにひそかに浅野内匠頭の"最後の言葉"を聞いたという。この行いが将軍、徳川綱吉の知るところとなり、機嫌を損じたのだった。
雪が舞い散る中、屋敷に到着した勘解由を迎え入れた紗英は、役目を全うしようとするが――。
身分を隠し、勘解由の元を訪れる赤穂浪士。
勘解由のやさしさに惹かれてゆく紗英。
扇野藩に、静かに嵐が忍び寄る。
これまでにない視点から「忠臣蔵」の世界を描き、新たな感動を呼び起こす歴史時代長編!
感想・レビュー・書評
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面白かった
忠臣蔵サイドストーリ?
もののふの矜持とそれを支える女子の恋愛小説+生き様の物語
上巻では
江戸城内で、浅野内匠頭が吉良上野介を斬りつける刃傷事件が発生し、浅野内匠頭は即日切腹に。
永井勘解由は浅野の切腹の直前、最後の言葉を聞きます。
しかし、その行いが将軍綱吉の怒りに触れ、勘解由は扇野藩に流されます。
その勘解由を接待役兼監視役を命じられた後家の紗英。
次第に心を交わしていく紗英。
そして、勘解由のもとに訪れる大石内蔵助や旧赤穂藩士。
しかし、この関係は非常に危険
旧赤穂藩士が吉良を討った場合、それに勘解由が協力したとみなされ、監視役の扇野藩は処罰される可能性。
なので、刺客として由比道之助を送り込みます。
当然、吉良を討つのは我々読者は知っているわけで、そうなると
浅野の最後の言葉は何だったのか?
勘解由はどうなるのか?
紗英との関係は?
となって、下巻に続きます。
上巻で語られる旧赤穂藩士や大石内蔵助の動き
勘解由の矜持
そして、紗英の想いと覚悟
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下巻にで
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読書記録 2023.6
#はだれ雪 (上)
#葉室麟
忠臣蔵をこういう立ち位置から描いた物語は新鮮。勘解由と紗英が赤穂浪士たちとどう絡むのかまだ分からないけれど、彼らのひたむきな思いは、自分の心に雪のように深々と降り積もっている。先が気になる。
#読書好きな人と繋がりたい
#読了 -
傍流的に忠臣蔵を扱った作品として、著者には『花や散るらん』があるが、本書は忠臣蔵そのものが題材となっている。
浅野内匠頭の切腹直前に最期の言葉を聞いたとされる永井勘解由が扇野藩に配流される。
その接待役に命じられたのが、紗英。
勘解由に赤穂浪士が訪ねてくることを監視する役目を負うが、浅野家旧家臣に賛同し命を捨ててもいいという彼の挙措や武士としての覚悟を見るうちに、いつしか心を寄せるようになる。
そういった意味で、紗英と勘解由との恋愛小説ともいえる。
が、やはり本筋は内匠頭の最期の言葉は何かというミステリー性を縦糸に、勘解由と赤穂浪士とを対照的に、武士として人としての生き方を問う歴史小説ではないか。 -
忠臣蔵に遠く関わって。主君の最後の言葉を聞いたかもしれない、それを確認したい浪士とそれを確認させまい周囲と。真実はささやかな望みだったが、それを聞いた大石の爽やかな笑みと。
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赤穂浪士の話
別視点で
武士とは -
2024/2/23 読了
早く下巻読みたい!
弥九郎、適度な浅ましさ(?)を持ってるけど、肝が据わってる加減、めちゃ良い -
葉室麟の扇野藩シリーズの一作。シリーズといっても続き物ではなく独立した話らしい。忠臣蔵での大石内蔵助らの討ち入りに至るまでの経緯を、扇野藩預かりとなっている永井勘解由という幕府用人の動静をからめて綴る。忠臣蔵を扱った歴史ものというよりは、預かり人の世話役をおおせつかった紗英と勘解由の心の通い合いを描いた世話物的な作品といえる。まあそっちの方はありきたりな気もするが、有名な割に実情をよく知らない忠臣蔵にまつわる、大石内蔵助をはじめ吉田忠左衛門や堀部安兵衛など浅野藩士の動きとか、幕閣の苦心とかがうかがえておもしろい。
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8月-4。3.5点。
忠臣蔵が題材。浅野内匠頭の切腹時に、最後の言葉を聞いた旗本の主人公。将軍から咎められ、流罪となる。
流罪先で主人公の世話を命じられた、後家。
浅野内匠頭の最後の言葉とは。
流石に上手い。読ませる。
主人公と女人の関係が面白い。下巻も楽しみ。