- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041068526
作品紹介・あらすじ
善意をもたないサイコパスと、犠牲をいとわない利他主義者。二者の脳を研究すると、驚くべき事実が明らかに。
感想・レビュー・書評
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恐怖を感じないサイコパスと、それを感じやすい利他的な人間とを比較対照した一冊。
自身や他人の恐怖を感じ取るのは脳のどこが司り、周りにどのように影響するのか。
著者による研究が真相を突き止めています。
重複した内容が目立ちますが、成果に感動しました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
面白い本で、しかも読みやすかった。サイコパス的な特徴を持つ子供の脳では怯えた人の顔を見た時の扁桃体の働きが鈍い、という研究の話から、ではサイコパスの対極とも言える非常に利他的な人(見ず知らずの人に自分の腎臓を寄付した人々をサンプルに)の脳では何が起きているのかという研究に話が展開していき、ヒトという哺乳類の脳でどのように利他的行動のスイッチが入るのかという分析がなされる。
面白かったのは、身を挺して他人を助けるような利他的な人々が「怖れ知らずではない」という話だった(引用:恐れないということと、勇敢であるということの間には決定的な違いがある)。
ある夜高速道路で助けてくれた名も知らぬ「ヒーロー」が、著者がこの研究のきっかけになったそう。こういった、個人的な感情の話が入るのも面白く読めた要因のひとつだった。
あと、サイコパス的特徴を持つ子供の調査をしていたときに現れた少年、ダニエルのことも忘れたくない。銃を撃ったり撃たれたりするし、麻薬の取引もするいかつい彼は、ただ環境に恵まれていなかっただけで、やわらかい心を持っていた。
(って書くとサイコパス傾向が悪いことみたいだけれど、社会との間に軋轢が生まれがちなだけで生まれつきの体質なので、将来的には社会側から何とかできるようになるのではと期待しております。) -
科学関連の本を読んでいて「謝辞」にじわっときたのは初めてだろう。著者は常に初心を忘れない。心理学の実験により、サイコパスとは何か、利他主義とは何かを追求していく。専門用語も多いが、読者を排除する感がなく読みやすい。昨今の個人主義に疲れたら、読んでみると案外希望となるかも。
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全てには理由がある。という事か。
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サイコパスと、その対極にある利他主義者を分析。利他主義者の方が多めで良かった。