最後の晩ごはん かけだし俳優とピザトースト (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041068830

作品紹介・あらすじ

兵庫県芦屋市。夜から朝まで営業の定食屋「ばんめし屋」で働く元俳優の海里は、後輩の役者、李英に頼まれて芝居の読み合わせに付き合うことに。ところが練習場所に「名も無き役者の幽霊」が現れて……!?

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ第10弾。
    今回は海里の役者への思いと、名も無き役者の幽霊のお話がメイン。
    最初から最後まで、すごく良かった。

    小説家の淡海先生の「もう一度、役者の道に戻りたくはないかい?」
    と言う問いかけから始まっていく。
    夏神は、海里が好きな道に戻りたいとき、自分が足枷になりたくないと思い悩み、海里の兄に相談する。
    その場面がとても良い。
    兄の一憲が「夏神さんは海里の錨だ」と言う。
    「あなたという錨と心ゆくまで絆を結んでから旅立ちたいと思っている」
    素敵な言葉。

    後輩の李英に頼まれて、芝居の読み合わせに付き合う海里。
    そこからの展開がまた良い。
    海里の成長ぶりが描かれていて、胸が熱くなった。
    巻末のお料理レシピも楽しいです。

  • 夜だけ営業の「ばんめし屋」を舞台にした、少し不思議な事件とドラマのシリーズ第十作。

    海里の芸能人時代をモチーフに淡海が書いている小説はまだ途中のようだが、その淡海から「もう一度役者に戻る気はないのか」という質問を受ける海里に、今度は芸能人時代の後輩役者・李英から舞台の練習を頼まれ台本の読み合わせに付き合うことに。
    その最中、駆け出し役者青年の幽霊が現れる。


    この流れで行くと、やはり海里は役者の道に戻るのだろうか。
    李英の芝居への情熱、名もなき役者の幽霊の人生に触れ、さらに思わぬ舞台出演や因縁のあの人との再会もあり、改めて芝居への思いや自分自身を見つめ直すことになったようだ。

    海里の兄・一憲は夏神を『錨』と言ったが、海里にとっての夏神は港のような、どっしりと構えてくれる、そこにいるから安心出来る存在のように思える。
    一憲が常識人で小言係だとすれば、夏神はおおらかに受けとめてくれるもう一人の兄のような。
    でも夏神は自分が海里の再出発の足枷になってはいけないと思い、海里は自分を救ってくれた夏神に恩返しをしたいと思い…互いに思いあってる関係が良いし、まだ「ばんめし屋」での彼らを見ていたい。
    ただ海里がいつか役者に戻るにしても「ばんめし屋」での日々は大きな糧になるはず。

  • これは夜中に読んではいけなかった…ピザトースト食べたい…

    今回はなりゆきで舞台に立たざるを得なくなった海里にドキドキし、自分が芸能界を追われる切っ掛け・元凶に出逢ってしまったにも関わらず声を荒げる事なく冷静に対処出来た事にホッとし、海里の成長を見守る回でした。
    夏神さんの出番少なかったの悲しいですが…
    いつか舞台に立つ海里を夏神さんに見て貰えると良いね。

  • モチーフも主たる登場人物も
    そうして場所すらもほとんど変わらない。

    そんな限られた条件下で
    どうしてこんなに時間を
    前に進めていけるのでしょう。

    毎回、その作品限りで姿を消す人…もしくは
    幽霊が、一見すると変わらないままの人間関係や
    その場所の空気にさざ波を立て、確実に、でも
    少しずつ変化を与えてゆく。そんな物語。

    今作では…いつか訪れるに違いない
    旅立ちの日をちょっぴり予感させて
    切ないような待ち遠しいような気持ちになりました。

  • 兵庫県芦屋市。夜だけ営業の定食屋「ばんめし屋」の一同は、夏バテ払拭のため、初めての極上ビフテキに舌づつみ。そんな中、店員で元俳優の海里は、小説家の淡海から不意に問いかけられる。「もう一度、役者の道に戻りたくはないかい?」複雑な想いで否定した海里だが、後輩の役者、李英に頼まれて、芝居の読み合わせに付き合うことに。しかし練習場所に、名も無き役者の幽霊が現れて…。コスパ最高!癒し系お料理青春小説第10弾!

  • 暑くてたまらない夏に、弟分から嬉しい連絡が。

    自分だけが寄りかかってしまっているのでは? と
    誰しも思っている事。
    それが、最初に助けてもらった場合は
    その思いが強いかと。

    進むかとどまるか、は確かに自分が選ぶもの。
    誰かに相談して背中を押してもらう事はあっても
    手を引いてもらう事は、後悔も禍根も残すもの。
    これで良かった、と自分で思わないといけません。

    思わぬところから、の弟分の棚ボタ。
    これはもしや…と思っていたら、やはり、な棚ボタ。
    しかし、あの人とばったり、は予想できませんでした。
    謝りたいと思うのも、実行するのも当然です。
    とはいえ、それで許されると思うのは浅はかというか
    考えが甘いとしか言いようがないです。
    何故許してもらえるのか、が理解できませんが
    許さない、という選択は当然の事。
    きっちりと許されるよう、罪悪感をもったまま
    生き続けるべきかと。

    これで、どこへと気持ちが傾いたのか。
    それはまた、そのうち分かる事?

  • 海里が尊敬する俳優が主宰する舞台にヘルプで上がることに。淡海先生の問いかけもあり、少しずつ芸能界に復帰する可能性もあるのだろうか、と。本作では、李英の稽古にとことん付き合う様子や成仏できないエキストラ俳優への対応を見るに、海里って真面目だしマメだしいいやつだなぁと改めて感じた。それにしても朝ドラ女優、「許してくれないの?」とは面の皮が厚いことで。

  • 俳優時代の後輩・李英の頼みで
    カラオケ店で台本読みの相手をしたら
    幽霊が喜んでくれました〜。
    てなわけで。
    舞台成功させて、成仏してもらいましょ。

    今回は意思疎通のできない系の幽霊でしたが
    とってもいい人(幽霊)で
    最後に思い出のピザも食べられて
    良かった、良かった。

    海里が芸能界を追われる原因になった
    女優との再会もあり
    少しずつ心の傷にも向かい合える強さが
    彼の中に育ってきたようですね。

  • 役者やりたいんだろう、だったら早く戻ったほうが良いよ。

  • 海里くんが、舞台俳優の幽霊さんのつながりもあり久しぶりの舞台に出た話。

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著者プロフィール

作家。監察医。講談社ホワイトハート「人買奇談」にてデビュー。代表作は「鬼籍通覧」シリーズ、「奇談」シリーズ(講談社)、「最後の晩ごはん」(KADOKAWA)、「時をかける眼鏡」(集英社)など多数。

「2023年 『妖魔と下僕の契約条件 5』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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