戦争とおはぎとグリンピース 婦人の新聞投稿欄「紅皿」集 (角川文庫)

  • KADOKAWA (2019年6月14日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784041068847

作品紹介・あらすじ

昭和29年、高度経済成長の幕開けとされたその頃。未だ生活の中には戦争の記憶が生々しく残っていました。戦地から息子の無事の生還を祈り母が作り続けたおはぎ、満州から引き揚げの際、決して手離さなかった母の形見の鉄鍋。羊羹、ライスカレー、グリンピース。新聞の小さな投稿欄に登場する食べ物には家族のため必死で生き抜いた女性たちの戦争と戦後が浮かび上がります。強さと優しさが胸を突く42編の昭和の記憶です。

感想・レビュー・書評

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  • 戦争は怖い。先人はそう語っています。
    だけど経験したことのない我々にとって、どこかに夢話のようで。

    「戦争とおはぎとグリンピース」は西日本新聞社が刊行していた西日本新聞の読者投稿欄を集めた、紅皿という女性投稿欄を一冊にしたもの。作者達は戦後の女性達。戦争について、自分の考えを投稿した作品です。私はインスタのどこかで、この一冊の紹介文を読みました。というより表紙の女性たちの控えめてかつ力強い目を引き込まれ、思わず調べて、購入に至った。

    戦後の女性達が描いた文章、戦争に対しての思いが詰まっており、特に戦後の食糧荒の時期を過ごしていたのもあり、食べ物に関するエピソードも少なくなかった。

    おはぎの話を読んで、母が子を思う気持ちとまたその母を思う子の気持ちが、おはぎ一つで交差し、我が子を失う時の悲しみに思わず涙が溢れました。

    昨今の恐ろしい事件を見ると、なぜそんな幼い子がそんな事を?と思うと、心が痛む。我が子も同じ事をするではないかと、恐ろしくて身が震える。教育が失敗だったか、社会がちゃんと教えてくれなかったか。人の命は瑣末と思い、他人を道連れにするなんて、戦争中の人たちはどう思うのか。

    戦争はもしかして、私達が思うよりも、もっと身近いものであり、もっと敬畏を持つべきかもしれません。

  •  毎年この時期は、戦争に関する本を読むことにしている。
    読もうと思って買ったまま積読になっている本もあるけれど、この本は以前から読みたくて、文庫になっているのを見かけた時は嬉しくて、即購入した。
    そして、昨日という日をあえて選んで一気に読んだ。

     敗戦から9年後の1954(昭和29)年、西日本新聞に開設された女性投稿欄「紅皿」。女性読者による日々の経験や主張、真実の声が寄せられ掲載されたものの中から、戦争に関連した当時の時代の空気感が伝わってくるような42編がこの本に収録されている。

     市井の女性たちの目を通して、暮らしの中に見える戦争の記憶と爪痕。再軍備への不安、たった十数年でもう風化していく惨劇の記憶への戸惑いと平和への願い。
    何編かは、涙を流さずに読めなかった。
    命がこんなに軽く扱われてしまう戦争は、どんな大義名分があっても起こしてはいけない。
    市井の人々の言葉だから、何とも言えずしみる。
    不自由で食べていくのも大変だった時代を逞しく生きる女性たちの綴る暮らしの様子。本当に頭が下がる思い。
    「おはぎ」を読んでいる時には、涙がこみあげてきた。

     また、興味深いことも書いてあった。
    ある悲劇的な内容の投稿の事実を追ったところ、真実ではない内容が加味されていたこと。
    記憶の誤りなのか、内容が過激な方が掲載されやすいと思っての創作なのか、聞いた話を足したのか、他にもっと違う意図があったのか、今となっては確かめることができないけれど、考えさせられる。

     ひとつひとつが短くすぐに読めてしまうけれど、私は途中から音読した。
    声に出して読むと、更に良いです。ぐっとくるものが大きくなる。

     オススメします。とても良い本だと思います。

  • 杏さんがオススメしてた本!
    (8月から少しずつ少しずつ進めて読了)

    夏になると戦争に関わる小説を読みたくなる。
    きっと来年また読みたくなる

  • 頂き本。長らく寝かせてしまったけれど、侵略側としての日本も描いた第二次世界大戦関連の小説を読んだあとなので、いい時期に読んだな。

  • 戦争前後の普通の人の生活実感がうかがえた。この世界の片隅に、に通じる部分があった。

  • まだ戦争の傷跡が残る昭和29年、新聞に寄せられた女性たちの投稿。一つ一つは短いけれど、どれも家族への愛情や戦争を二度と起こしてはいけない、という願いにあふれています。
    国会議員の必読書として欲しい。簡単に改憲とか戦争で土地を奪い返せばいい、と思っている人達こそ、こういう本を読んで記録だけの戦争ではなく、実際に経験した人達の声に耳を傾けるべきだと思う

  • 戦中戦後の日本の苦労が偲ばれる。「おはぎ」を電車の中で読んでしまった。涙が止まらなかった。北方四島に行って「戦争」を軽々しく口にしたり、改憲を叫ぶ議員はこの本を読んで欲しい。私達が享受している平和は70数年前の犠牲の上に成り立っている。貧しく、ひもじく、命を脅かされる恐怖の生活になりたいのか。

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著者プロフィール

九州5県で朝刊約50万部、福岡県内で夕刊約5万部を発行するブロック紙。1877(明治10)年、国内最後の内戦となった西南戦争の戦況を報じた「筑紫新聞」を源流に、「めさまし新聞」「筑紫新報」を経て1880(明治13)年に「福岡日日新聞」を設立。1942(昭和17)年に「九州日報」と合併して「西日本新聞」となった。2017年に創刊140周年を迎えた。福岡と北九州に本社、東京と大阪に支社、取材拠点となる総支局・通信部は国内45カ所、海外5カ所(駐在含む)にある。本書の基となったキャンペーン報道「新 移民時代」の取材班は、本社社会部、政経部(旧都市圏総局、経済部)、東京支社などの記者や海外特派員たちで編成。写真デザイン部(旧写真部、デザイン部)も携わった。一連の連載は2017年11月、第17回「石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞」草の根民主主義部門で大賞を受賞。2018年1月には第22回新聞労連ジャーナリズム大賞優秀賞を受賞した。

「2020年 『【増補】新 移民時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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