傘をもたない蟻たちは (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041068885

作品紹介・あらすじ

かなわない――。天才肌の彼女に惹かれた美大生の葛藤。
書いた原稿がそのまま自分の夢で再現される不思議な現象にのめりこんでいく小説家の後悔。
幼なじみの秘密を知り、彼との接し方がわからなくなってしまった男子中学生の苦悩。

自分の心に正直でいたいだけなのに。
誰もが胸に抱える生きづらさを鮮烈に切り取った、著者初の短編集。

単行本未収録作品であるタイムリープSF「おれさまのいうとおり」を加えた全7編。

感想・レビュー・書評

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  • 加藤シゲアキの引き出しを見たい人、集まれ!
    いろんな方向性を探った短編集。

    加藤シゲアキ=青臭くて、文章が映像として頭の中で再生される。
    それだけは揺るがない(笑)
    けど恋愛物から奇妙な話まで、短編集とは言えど、よくこれだけ書いたなと思う。
    中でも『イガヌの雨』は、ちょっと衝撃でした。
    「食」がテーマですが想像すると、ちょっと怖くなる(笑)

    もっともっと毛色の違うものも書いてみてほしいところです。
    少し前の作品集なので、今はどうなってるのか。
    今後が楽しみ。
    (昔NEWS推しだった色眼鏡はあるかも…笑)

  • 短編集だと、『○○○』が1番好みの話でした。と書いてしまうことが多いけど、選べないくらいどれも面白かった!

    すべて予想外の展開で、新鮮な気持ちで読ませてもらいました。色んな世界観が楽しめる作品。

  • どれも面白かったのですが、特に『イガヌの雨』の世界観が好きでした。イガヌに惹かれる少女とイガヌを嫌うおじいさんの物語。新しくより良いと思われる食材イガヌは、完璧な栄養素で味も抜群に美味しい。しかし、どこから来たのかも分からず、まだ全てが判明しているわけではない。
    イガヌの描写は明らかに誰しもが嫌悪感を覚えそうな見た目なのに、皆がこぞって食べようとしているのが不思議です。それほど魅力的な味なのかと気になってしまいます。デビュー作も好きでしたが、本作もなかなか好みの作品でした。

  • 初めて読むシゲの小説。
    初期のNEWSの頃しか知らない自分にとっては、
    やはりアイドルでしかなく、こんな多彩な話をかけるとは思わなかった。
    しかし作家専門職の方もアイドル上がりの方もただの人間な訳で、「この仕事をしてるからこんな本は書けない」という色眼鏡はそもそもおかしい考えなのではないかと思っている

    さくらももこを今年ラストとしておきながらサクサク読める文体に一日で読了。

    多彩な話は多いものの概ね共通して描かれるセックスがかなり不快だった。反対に状況描写がうまく絵が自然に想像できるのはシゲならではなのだとも感じた。

    また、胸糞悪い自覚なしのクズが結構多く、
    それに関してはただただ不快だった。

    不思議な世界で妙な納得感を持つ「イガヌの雨」、反転する「インターセプト」、憂いのある「にべもなく、よるべもなく」が好き。

  • いろんな世界観の短編集
    シゲの描く物語はどんなんだろうと思って手に取った一冊。ジャニーズとしての一面も持ちながらもここまでの世界観を描けるのはすごいと思った。
    描写も的確で頭の中でストーリーが動いていくようにスッと読める内容で面白かった。

  • 「喜びは有限。悲しみは無限。ただ出来事として受け入れる」


    友だちにすすめられて読んだ。
    加藤シゲアキの小説を読むのは、『ピンクとグレー』以来、2作目。

    『染色』
    美大生ってこんな感じなのかな、って知らない世界を覗けたようで面白かった。

    『Undress』
    一番ゾッとした。
    自分の目に見えているものがすべてじゃないって分かっているけど、これはこわい。

    『恋愛小説(仮)』
    たった200字をここまで操れるってすごい。切ないけど、物語としても、文章としても面白かった。

    『イガヌの雨』
    すごい。
    「イガヌ」ってどんな見た目なんだろうと調べてみたら想像しやすくなった。

    『インターセプト』
    読む前にちょっとネタバレをくらったので、もったいないことをしてしまった。
    何も知らずに読んだらもっと楽しめたと思う。

    『おれさまのいうとおり』
    よく分からなかった。


    『にべもなく、よるべもなく』
    一番印象に残ってる。
    実際に私の近くにそういう人がいたら、私はどう思うんだろう。

    あとがきがすごく丁寧で優しい文章だと思った。
    もっといろいろ読んでみたい。

    2021.11.28 読了

  • なんだかんだ読みやすくて好きな(旧)ジャニーズの加藤シゲアキ氏の著書。

    今回は、なんと短編。しかも、短編同士に全く繋がりのない純粋なやつ。そして、今回もハズレなく普通に面白い。

    お気に入りは「イガヌの雨」と「にべもなく、よるべもなく」の2つ。前者は合法が違法になる瞬間を大袈裟に描いたストーリー。もう、この条件下での物語が書きたくて仕方なかったんだろうな、って読み手が感じるくらい一発ものの設定ゴリ押し。だが、面白い。

    後者は、ザ・純文学って感じで日常とほんの少しの出来事が描かれる。悲しみは際限ないから出来事として捉えるという考え方が魅力的。

  • 短編集。タイトルの「蟻」とは一般的でちっぽけなひとりの人間。ひとつひとつの短編に、人間らしい欠陥や悩みを抱えた人物が登場する。

    あとがきにあるように、それぞれの作品にテイストや制作意図があって面白い。私は「恋愛小説(仮)」「インターセプト」が特に好きだった。

    そして、読みながら、アイドルだから云々という評価の仕方はもう古いなと思った。作家としてのシゲは作家として応援していきたい。

  • 「イガヌの雨」がいちばん好きです。
    ほんとに存在するのかと思って検索までしたイガヌ。
    文字での説明だけでイガヌの姿が簡単に想像できた。

  • 朝の通勤時間に読み進めていました。
    短編集ということもあり、スラスラと読めました。

    個人的に「染色」と「イガヌの雨」の話が好き。

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著者プロフィール

1987年生まれ、大阪府出身。青山学院大学法学部卒。NEWS のメンバーとして活動しながら、2012年1月に『ピンクとグレー』で作家デビュー。以降『閃光スクランブル』、『Burn.-バーン-』、『傘をもたない蟻たちは』、『チュベローズで待ってる(AGE22・AGE32)』 とヒット作を生み出し続ける。2020年刊行の『オルタネート』で、21年に第164回直木三十五賞候補、第42回吉川英治文学新人賞受賞、第18回本屋大賞第8位、第8回高校生直木賞受賞。アイドルと作家の両立が話題を呼んでいる。

「2022年 『1と0と加藤シゲアキ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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