- 本 ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041068946
作品紹介・あらすじ
札幌市にある古びた屋敷。そこに辿り着けるのは、ある条件を満たした者だけ。さまざまな理由で屋敷を訪れた人々は、謎多き住人たちに罪を暴かれてゆくことに。ロジックの名手が紡ぐ、極上“館”ミステリ!
感想・レビュー・書評
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北海道札幌市にある大きな屋敷。そこを訪れる事になる客には、ある条件がある。
北海道・中島公園近くにある屋敷を舞台に、屋敷を訪れる事になった客たちの「業」を住人が暴くという連作短篇ミステリです。
裏表紙の内容紹介には、「極上”館”ミステリ」とありますが、別にその館(屋敷)の中で事件が起こるわけではなく、屋敷の外で起こった事件を屋敷の住人が推理するという、石持さんの小説によく出てくるいわゆる安楽椅子探偵もののような感じ。
何となく後味悪く、ほんのり謎を残しつつ終わりまるので、続きを待っているというファンの方が多いらしいのも頷けます。
余談ですが、石持さんの書く小説の犯人は(正しい意味での)確信犯が多く、私はそういった動機がとても好きなので、石持さんの小説を読んでいるとやたら動機が気になってしまいます。
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こちらは「業」を背負った死者が、閻魔大王の娘と生き返りをかけた推理ゲームをする小説。こちらの方が後味は良いです。
→『閻魔堂沙羅の推理奇譚』(講談社タイガ)/木元哉多詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ーこの館に、業を抱えていない人間が来てはいけないんです。ー
この本の表紙をめくると、こんな一文が目に飛び込んでくる。
パッとは分かりづらい文章で、妙にひっかかる(わざとかな)。「抱えてない人は来てはいけない」つまり、抱えている人だけ来てもよいということか。
『業』というと、内に抱えた恨みや憎しみ、自分ではどうしようもできない運命や生まれつきの悪しき心など、おどろおどろしいもののようなイメージがある。そのようなものを抱えて、館に逃げ込んでくる人の話なのだろうか。
札幌市の中島公園近くにある大きなお屋敷に、偶然足を踏み入れることになった通りすがりの7人による7つのお話。短編仕立てだ。
そのお屋敷の立派な門には、近くにある公園と同じ『中島』という表札がはめ込まれている。家主であろうと思われる中島夫婦とその娘と思しき碧子ちゃん、見目麗しい容姿の北良さん、執事(らしき存在の)木下さん、メイド風情の菖蒲ちゃん。彼らのテンポのよい会話や振る舞いのおかげで、後味が悪い話ばかりなのだが不快な気持ちにならずに済むような気がする。
いい意味で予想を裏切る面白さだった。
この著者の本を読むのは3冊目だが、ミステリーとはいえ、証拠やアリバイがどうのというものではない。人の行動や言動から心理を読み取り、真実を導き出すというのものなので、長編だと読み疲れがして辛いものがある。だからわたし個人の意見では、こういう短編が合うと思う。
この屋敷は現実には存在しないんじゃないのかな。
中島公園内には菖蒲池があり、木下成太郎の像がある。あのお屋敷と一緒だ。
業を抱えた人間が救いを求めて迷い込む不思議な館。
でも『北良』という何かは存在しない。 彼は果たして何者なのだろうか。または何を象徴する存在なのだろうか。はたまた彼だけが、実在する人物なのだろうか。
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久しぶりの石持浅海さん
最初に読んだときにミステリーって面白い!と
思わされた(笑)
今回もちょっと無理がある?と思う推理がありつつも
業をもった人たちを惹きつけてしまう館
通勤中に中島公園を通るたび
中島さんの邸宅はこの辺りかしら(´∀`)なんて思いながら
読むのが、また楽しみが倍増でした -
妙な短編集。
札幌のある屋敷に迷い込んだ(もしくは誘われた)人間の業を住人が暴いていくというミステリー短編集。
設定はなかなか面白いのだが、その人間が抱える業を明らかにする推理がやや強引な気がした。そうとも限らないんじゃないの?という感じ。
でも、最後まで面白く読んでしまったのは、石持さんのファンだからなのかも。 -
謎の住人たちが暮らす館に招き入れられるのは「業」を抱えた人たち。その人たちを悩ませる謎を住人が解いていく短編集。
謎が解けたからと言って、決してハッピーエンドではないのがこの作の持ち味。どの作品も面白くてぐいぐい読めた。 -
ひじょうに変則的な「館」ミステリ。
深い業に囚われている人だけが見つけられる札幌にある「館」のお話し。
不思議な住人たちが、客人の業を見抜き、解いてくれる。
世にも奇妙な物語的な味わいのある連作短編集だった。
とりあえず、わたしの感覚としては、あまりミステリっぽくない。 -
全7編からなる短編集で、いずれも謎を持った人が屋敷を訪れ、そこで屋敷の住人の一人である北良によって、謎が暴かれていくという話です。久しぶりに著者の作品を読みましたが、頭がいい人同士の会話のやり取りから話が進んでいくところなどは面白いし、そこにこの著者の魅力を感じます。
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業を持つ人だけが偶然辿り着ける札幌にある豪邸。
そこには不思議な雰囲気を持つ人たちが住んでいて、訪れて人の表面的なトラブルを解決しながら心の奥にある業を推理をもって明らかにするという趣向の連作短編集。
こじつけとか現実味とかいう言葉は忘れて、ただ物語の持つ不思議な空気を楽しめば良い作品です。
北良氏もどうやら業を持っているようなので、この先シリーズとして続けばそれが明らかになるのだろうか。 -
面白かった。
読み易し。 -
札幌市にある古びた屋敷と謎の住人達。
彼らと遭遇できるのは、何かしらの業を抱えた人間だけ。
意図せずこの場所に辿り着いてしまった人々。
この客人達の業を見事なロジックで暴いてしまう青年・北良。
彼の推理に圧倒された後は、ヒヤリとするような結末が待ち受けている。
著者プロフィール
石持浅海の作品





