- 本 ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041069172
作品紹介・あらすじ
週刊誌記者のスクープ獲得の手伝いをしている僕、坂木錠也。この仕事を選んだのは、スリルのある環境に身を置いて心拍数を高めることで、“もう一人の僕”にならずにすむからだ。昔、児童養護施設<青光園>でともに育ったひかりさんが教えてくれた。僕のような人間を、サイコパスと言うらしい。
ある日、<青光園>の仲間の“うどん”から電話がかかって来て、平穏な日常が変わり始めた。これまで必死に守ってきた平穏が、壊れてしまう――。
感想・レビュー・書評
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登場人物の大半がサイコパス。怖い世の中だ。簡単に殺人を犯して平気な顔で過ごしている。おまけにそれは遺伝するとか‥‥‥。そんな設定にビビりながらも結構なスピードで読んでしまったが、面白かったのは中盤まで。後半は暴力的なシーンが多めなので、そういうのが好みじゃない人は厳しいかな。
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久々にちょっとバイオレンスな小説を読んで、ぐったり。ただ速やかに読了。
サイコパスは遺伝するのか、結局は遺伝なのか、子供の性格を形成するのか養育環境なのか。そこが今の私には気になって仕方なく。
そして彼は本当に救われたのかどうなのか。だって、サイコパスって変われるの?という疑問などなど。
一度サイコパスに関する本を読んでみるかなー。 -
いつもの道尾秀介と思って読んではいけない。いつもの道尾さんが静の物語を描くとすれば、これは動の物語。そして、これまでになかった暴力の描写が多く描かれている。でも、トリックは相変わらずお見事!これは説明不可能だろうと思うこともアッサリと解明してくれる。
錠也は、週刊誌の記者の手伝いをして金を稼いでいる。錠也は特異な体質で、どんなことにも感情を揺さぶられることがない。そして、恐怖も感じないので、どんなに危険な橋も渡ることができる。
錠也は児童養護施設で育った。錠也の母親はある男に散弾銃で殺され、残された錠也が施設に預けられることになった。その施設では、ただ一人、親しかった1つ歳上の友人がいた。
施設を卒園し、何年か振りに友人から電話で呼び出しを受けた。その友人は、最近刑務所から出てきた父親と一緒に暮らしているという。その父親が殺した女性が錠也の母親だとわかり、物語は一気に動き出す。
今回はサイコパスという特殊な登場人物ゆえか、道尾さんの十八番と言える心理描写が冴え渡っていないように感じた。しかし、トリックを収集していく技はさすが。物語の最後にはタイトルの意味を理解する。読後は一歩進んでいけるような、爽やかな気分にさせてくれる。 -
低い心拍数。鈍い恐怖心。嘘の海。外れた倫理観。
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設定はすごかったと思う
それだけにもっと丁寧に描き出してれば凄い傑作になった気がします -
「スケルトン・キー」
タイトルが意味するもの。
道尾秀介のヘビーカテゴリに入るだろう本作。主人公の不遇な過去に特異な性質、異常な犯罪者の登場に、想定外で悲哀ある展開が待っている。
主人公は坂木錠也。母の命と引き換えに生まれた子供。身寄りが無くなり、児童養護施設で育った未成年の少年である。錠也は養護施設で暮らし始めるが、次々と奇怪な行動を恐れることなく、実行に移し始める。ある時、錠也は、同じ施設の子供に、あなたはサイコパス、と告げられる。サイコパスは、感情に左右されることがなく、心拍も上がりにくいから、そんな危ないことや恐ろしいことが出来るのよ、と。
そこから錠也は自分がサイコパスであることを理解しながら、生活を始める。そして、養護施設を出た後はサイコパスの症状を抑える為に、何でも屋のようなバイトに手を出す。そんな錠也の生活を変えたのは、かつての友人の一言だった。
この友人と言うのが、錠也が暴力を振るった相手なのだが、何故かその後仲良くなり、養護施設を出てからコンタクトを取る。これには理由があったのだが、錠也の周りで起きる事には何かの理由がある。この理由については、仕掛けがあり、それに気づくと、想定外の出来事に気づくことが出来たのだが、その仕掛けはほぼスルーしてしまった。
一番のポイントは想定外の出来事であり、サイコパス。症状を抑えるのに薬がどこまで効くのか不明だが、錠也は落ちついてみえる。サイコパスは遺伝するのか、母体の時のアルコールやタバコが影響するのか、鉛の量も関与するのか。興奮しにくい、感情が欠落しているからといって、全てのサイコパスか危険人物かと言われたらそうではない。しかし、やはり危険人物の率は高いのではないかと恐れるのは仕方ないだろう。と本筋では関係ないが、思ってしまった。
ストーリーとしては、全体的に良い雰囲気はない。最後の贈り物にしても、既に起きてしまったことを鑑みると少し虚しくもある。そして悲しくもある。キーの意味を考えると。しかし、これからは本当に良いことがあるように願う終わり方であるのは良かった。錠也とある記者との関係性が、事件を通じて少し暖かい形になっているのが、良いことがあるような雰囲気を出しているのだ。
因みに、サイコパスに戻ると、頭からちょくちょく出てきて、終盤には悪役ばりの破壊行動に出る大物俳優こそ、サイコパスだろうと。誰も触れないんだが、何故だ?と疑わざるを得ない。もはやシリアルキラーである。 -
強引に感じた真相だが、それを知った以降の描写を追いかけるのがこの作品で1番楽しかった瞬間。その後は、そこまで必要あるかと戸惑うほど暴力的な展開。ラストの良さを味わうには暴力シーンの余韻が強すぎた。
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トリックにまんまと騙された。
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知り合いの週刊誌記者・間戸村さんに頼まれ、バイクで芸能人を追いかけお金を稼ぐ僕・坂木錠也は恐怖というものを感じたことがない。施設にいた時、そういう人のことを「サイコパス」と呼ぶのだと聞かされた。
この作家さんお得意の仕掛けにまたまんまと騙される。おもしろかったし、読み進んだのは読み進んだが、最後の戦いがもう、現実離れしすぎて浮いてしまったのが残念。また、サイコパスって世の中そんなに多いものでしょうか(^^;
著者プロフィール
道尾秀介の作品





