スケルトン・キー

著者 :
  • KADOKAWA
3.38
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本棚登録 : 534
レビュー : 98
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041069172

作品紹介・あらすじ

週刊誌記者のスクープ獲得の手伝いをしている僕、坂木錠也。この仕事を選んだのは、スリルのある環境に身を置いて心拍数を高めることで、“もう一人の僕”にならずにすむからだ。昔、児童養護施設<青光園>でともに育ったひかりさんが教えてくれた。僕のような人間を、サイコパスと言うらしい。
ある日、<青光園>の仲間の“うどん”から電話がかかって来て、平穏な日常が変わり始めた。これまで必死に守ってきた平穏が、壊れてしまう――。

感想・レビュー・書評

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  • どんでん返しの連続、凄まじい暴力シーン、突然現出する叙情的光景。まさに道尾秀介ワールドで、息つく暇も与えず、ラストまで突き進む。途中から章番号が時折反転していることに気づき、誤植かなと思ったけど、それが深い意味を持つことに思い至る、という心憎いまでの小説的仕掛け。凄いというほかに言葉が見つからない。

  • *僕に近づいてはいけない。 あなたを殺してしまうから。
    週刊誌記者のスクープ獲得の手伝いをしている僕、坂木錠也。この仕事を選んだのは、スリルのある環境に身を置いて心拍数を高めることで、“もう一人の僕”にならずにすむからだ。昔、児童養護施設<青光園>でともに育ったひかりさんが教えてくれた。僕のような人間を、サイコパスと言うらしい。ある日、<青光園>の仲間の“うどん”から電話がかかって来て、平穏な日常が変わり始めた。これまで必死に守ってきた平穏が、壊れてしまう――*

    サイコパスを自覚している主人公、と言う切り口が面白い。自分を押さえようとするサイコパスに、自分を解放しようとするサイコパス、他にもわらわらと出て来るわ出て来るわのサイコパス祭り。お見事なトリックも併せて、日常に潜む、非日常感が味わえます。ダーク道尾さんもなかなか。

  • 赤ん坊のころから児童養護施設で育ってきた錠也は、危険を危険とも思わず、サイコパスである自分を自覚して生きている。
    バイクを使って週刊誌のスクープネタを追いかける仕事をしていたが、養護施設時代の友人と久々に会って彼の告白を聞いたことにより、人生が大きく方向転換する。

    最近の道尾作品はぷっと笑いたくなったり心があたたかくなったりするものが多かったので油断していたけれど、指の先が冷たくなるような物語だった。

  • 躊躇うことなく人を殺せてしまう狂気。サイコパスの残酷で抑えようのない衝動、欲望。そして生まれてきた意味。そしてこれから。その冷たさ、恐怖を感じながらも祈りたくなるような物語。圧倒された。

  •  このところ、どちらかといえばハートウォーミングな路線が続いていた、道尾秀介作品。実に久々となる、ダーク路線の作品が届けられた。キーワードは「サイコパス」。近年の路線が好きな読者には、しんどいかもしれない。

     「サイコパス」という言葉からは、安直に連続殺人鬼を想像しがちだが、全員が反社会的というわけではなく、起業家として成功した例も多いという。しかし、本作は、敢えて安直さに乗ってみた、道尾秀介の勝負作と言えるのではないか。

     生まれてすぐに児童養護施設に預けられ、育った青年。施設を出た彼は、スクープ狙いの記者の手伝いをしていた。彼は、自らをサイコパスであると自覚していたからこそ、狂気を抑え込むため、敢えてスリルに身を晒していた。

     しかし、ともに施設で育った仲間からの電話が、彼の平穏を一変させる。出生の秘密を知ってしまった彼は……おいおいおいおい。実は、早い段階で道尾秀介の術中にはまっていたのを知ったのは、読み終えた後のことである。

     帯には、道尾作品史上最もダーク、などと書かれているが、殺人描写もあり、かなりの血が流れることは明言しておきたい。余計な感情を持たないサイコパスだけに、死に様が割とあっさりしているのが、救いといえば救いか。

     ダークさだけでなく、「騙し」という点でも久々な作品と言えるだろう。なるほど、こういう騙しのテクニックも、まだ残されていたのだ。彼の秘密が判明すると、対照性や皮肉が際立ってくる。彼の努力は一体何だったのか…。

     クライマックスは、ずばり、工場での殺し合いである。正しさとか道徳とかは、何の意味も持たない。生きるか死ぬか。どうやって生き残るか。ある意味、動物としての本能の戦い。そう、ここに集まった当事者たちに、人間はいない。

     それにしても、これだけの大騒ぎをどうやって収拾させたのか…。よく拘束されなかったものだが、波乱含みの結末でもある。彼には今後も平穏に生きてほしい。本作の本質は、ダークさではなく、最後の一文に集約されている気がする。

  • 道尾秀介版ドストエフスキー、「カラマーゾフの兄弟」「悪霊」かな、と。

    しかし、どんどん文章が上手くなりますね。出だしは表現力にうなり、ひかりさんを失う場面は技巧にうなりました。

  • 途中までは信じ込んでた。
    途中からゴールが見えた。

    2019.8.10
    115

  • 今日は半分まで読もうと思ったのですが、気がついたら一気読みしていました。

    読みながら感じていた不安や違和感が少しずつ募り、「これ、もしかして…」と思った途端に現れる真実。
    そして怒涛の後半。息をするのも忘れるくらいの緊張感。からの、終章の切なさ。

    そして最後の1ページ…。

    最後の最後までページをめくる速度が落ちない小説でした。
    評価の星、厳密に言えば3.5です。

  • 緊張感のあるストーリー。

  • 孤児院育ちの錠也。
    大人にぬり、ちょっと危ない仕事をしつつもなんとか暮らしている。
    そこへ同じ施設育ちのうどんから連絡が。

    この人とこの人が!え?この人が?え?そんな!などなど、次から次へと予想外の展開で一気に読んだ。
    これは、読んでる方も大混乱、何を誰を信用していいのか、、
    終わりはきれいにまとめてあるけど、終わってない。
    恐怖を感じるって大事なんだな。

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著者プロフィール

道尾 秀介(みちお しゅうすけ)
1975年、兵庫県生まれの小説家。玉川大学農学部卒業。会社員生活を続けながら小説を執筆しており、2004年『背の眼』で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞しデビュー。
2007年『シャドウ』で第7回本格ミステリ大賞(小説部門)受賞。2009年『カラスの親指』で第62回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)受賞。2010年、『龍神の雨』で第12回大藪春彦賞受賞。『光媒の花』で第23回山本周五郎賞受賞。2011年、『月と蟹』で第144回直木賞受賞。直木賞にはこの作品で5回連続のノミネートだった。
その他代表作として『向日葵の咲かない夏』があり、文庫版は100万部を超えるベストセラーになった。『カラスの親指』は映画化された。
ほか、横溝正史ミステリ大賞、新潮ミステリー大賞の選考委員を務める。

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