星空の16進数

  • KADOKAWA
3.67
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本棚登録 : 476
感想 : 49
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041069189

作品紹介・あらすじ

ウェブデザイナーとして働く17歳の藍葉は、”混沌とした色彩の壁”の前に立つ夢をよく見る。それは当時6歳だった自分が誘拐されたときに見た、おぼろげな記憶。あの色彩の壁は、いったい何だったのだろうか――その謎は、いつも藍葉の中にくすぶっていた。ある日、届け物を依頼されたという私立探偵・みどりが現れ、「以前は、大変なご迷惑をおかけしました」というメッセージと100万円を渡される。かつての誘拐事件しか心当たりのない藍葉は、みどりに誘拐事件の犯人・朱里の捜索を依頼する。当時、誘拐事件はわずか2時間で解決されていた。藍葉の思い詰めた様子と自身の好奇心からみどりは朱里を捜し始め、藍葉は”色彩に満ちた部屋”の再現を試みる。己の”個性”と向き合う藍葉と、朱里の数奇な人生を辿っていくみどりはやがて、誘拐事件の隠された真相に近づいていくが――。

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりの現代ミステリに心踊らせながら読了。
    著者のデビュー作の『虹を待つ彼女』は、主人公が嫌いで嫌いで仕方ないんだけれど、それでも読み進めていってしまう謎の引っ張り方と、鋭い痛みと恍惚が心の中でぐちゃぐちゃに混ざったようなラストシーンが印象的だった。

    今回の二人の主人公は私には好感度が高い。

    17歳のデザイナー、藍葉と30代の探偵、みどり。
    藍葉が自分が6歳のころ誘拐された時の犯人に会いたいから捜してくれ、と、みどりの所属する探偵事務所に依頼した。

    藍葉は不器用でピュアな性格で、空気も読めない。
    みどりは京大出身の秀才で世慣れているが、自分でも制御できない、暗い好奇心がある。

    ふたりの一人称がランダムに章立てされ、先の見えない展開にハラハラしっぱなしだった。

    今回もラストシーンは鮮やかな印象を残す。
    ひととひとが出会うってことは、化学反応のように、様々な効果を及ぼすんだねえ、と思った。

    色が主張しあい、補完しあい、混ざり合い、ひとつの絵が出来上がって行く。
    その絵が美しいと思えるかどうかが、良いミステリとそうでないミステリの分かれ道なのだろうか。

    • hiromida2さん
      5552さん、
      え〜そんな‼︎ご謙遜を…。
      いつも、本当に素晴らしいレビューに
      感心するばかりです。
      是非、読んでみたいです!
      積読本整理し...
      5552さん、
      え〜そんな‼︎ご謙遜を…。
      いつも、本当に素晴らしいレビューに
      感心するばかりです。
      是非、読んでみたいです!
      積読本整理してから…(・・;)
      ずっと、文章を書いて上達したというより、
      最初からセンスの良さを感じます。
      沢山の本の登録されていますが、
      いつ、レビューが発表されるか、分からないので、気づいたら…いいね!
      纏めて送ってしまいます(・・;)失礼。
      2022/02/05
    • 5552さん
      hiromida2さん

      いえいえ、謙遜ではなく本音です。
      でも、またまた嬉しいお言葉、ありがとうございます!
      一生の宝物にします!...
      hiromida2さん

      いえいえ、謙遜ではなく本音です。
      でも、またまた嬉しいお言葉、ありがとうございます!
      一生の宝物にします!

      いいね!のことですが、どうぞ、読みたいときに読んで、いいね!を押したいときに押して、コメントしたいときにしてくださいね。
      負担になってはいけないので。
      私もそうしてます。

      2022/02/06
    • hiromida2さん
      5552さん
      ありがとうございます♪了解です!
      5552さん
      ありがとうございます♪了解です!
      2022/02/06
  • 色でつながる
    十六進数
    誘拐事件
    探偵という仕事
    色の和名
    切り絵
    本棚


    17歳のウェブデザイナー藍葉から「自分を誘拐した人を探してほしい」と依頼を受ける探偵のみどり。
    数奇な運命には絵や色が根底にあり、みどりサイドと藍葉サイドから丁寧に描かれる。
    西新井、月島、川崎、札幌を舞台に色がつなぐ物語。
    浅川さん…かなり好みです。
    読後感爽やかでほんのりあったかい。
    図書館本

  • 2021/04/06読了
    #逸木裕作品

    著者3作品目だったが毎回テーマが
    楽しくて好きだ。今作は"色"。
    幼少時に誘拐された被害者・藍葉が
    加害者の朱里に憧れ、行方を探す。
    綺麗で整理された
    サイエンスな世界観good。

  • 探偵みどりと依頼主の17歳のウェブデザイナーの藍葉の物語。色を16進数で表現する独特な感性の持ち主で幼い頃誘拐された経歴をもつ藍葉。2時間で解決にいたった誘拐事件の犯人をさがして欲しいとみどりに持ちかける。探偵みどりの性とも言える危うい感性が呼び起こされる。みどりと藍葉の交互に進んでいくパート。最後の謎が解けたときの意外な驚き。エピローグもいい。「五つの季節に探偵は」とどちらを先に読んでも面白いと思いました。

  • 自分を誘拐した人を探して欲しい。

    主人公は決して復讐とかマイナスな考えで依頼しているのではなく、プラスな考えであること。また、これはその誘拐した朱里さんとはどういった人なのか、なぜそうなってしまったのかを辿る物語。

    探偵の女性が結構クレイジー。

  • 「16進数」というタイトルが気になっていた本。
    ウェブデザイナーとして働く主人公が誘拐された謎。
    ミステリとしても面白かったです。
    カバーの絵の意味もわかりました。
    おすすめ。

  • 本屋で紹介されていたので、初めて見る作家だけど読んでみた。
    面白かった。色を巡る世界に引き込まれた。

    子どもの頃に誘拐事件の被害者になった藍葉と、加害者である朱里を探すように依頼された探偵のみどりを中心に物語が展開していく。

    なぜ誘拐されたのか、今はどこに住んでいるのか…調査と並行して、ところどころで色にまつわる芸術の話や特別な作品を作りたい概念的な話が加わって、私も色や絵が好きなので、この世界観がすごく心地よく感じました。
    探偵のイロハも学べて面白かった。誘拐事件も、当初の想定とは全然違うところに着地して、いい意味で裏切られました。
    ぜひ他の作品も読んでみたくなった作家です。

  • 『五つの季節に探偵は』のみどりが登場する作品が過去作にあったことを知り手に取った。6歳の時に誘拐事件に遭った藍葉は、11年後当時自分を誘拐した女性に会いたいと願い育休中の探偵・森田みどりに女性の居場所の調査を依頼する。調査を進める中、事件となった誘拐に不可解さを感じたみどりは忘れかけた感覚を取り戻していく…。『五つの〜』で感じた以上に本作ではみどりが危なっかしい。浅川の心配は過剰ではなかった。母親のネグレクトから犯人に対して特別な感情を抱き執着するような藍葉にも危うさを感じた。

  • 連続ドラマを観てるような感覚だった。
    少しずつ“何か”が分かっていくんだけど決定的な“何か”には近づけない、
    一つ一つゆっくり真相に近づいていく。

    浅川さん、めっちゃくちゃ好き。

  • +++
    私を誘拐したあの人に、もう一度だけ会いたい。色鮮やかな青春ミステリ。

    ウェブデザイナーとして働く17歳の藍葉は、”混沌とした色彩の壁”の前に立つ夢をよく見る。それは当時6歳だった自分が誘拐されたときに見た、おぼろげな記憶。あの色彩の壁は、いったい何だったのだろうか――その謎は、いつも藍葉の中にくすぶっていた。ある日、届け物を依頼されたという私立探偵・みどりが現れ、「以前は、大変なご迷惑をおかけしました」というメッセージと100万円を渡される。かつての誘拐事件しか心当たりのない藍葉は、みどりに誘拐事件の犯人・朱里の捜索を依頼する。当時、誘拐事件はわずか2時間で解決されていた。藍葉の思い詰めた様子と自身の好奇心からみどりは朱里を捜し始め、藍葉は”色彩に満ちた部屋”の再現を試みる。己の”個性”と向き合う藍葉と、朱里の数奇な人生を辿っていくみどりはやがて、誘拐事件の隠された真相に近づいていくが――。
    +++

    母親にネグレクトされ、しかも誘拐された経験のある17歳の藍葉の物語なのだが、ひょんなことから関わることになった私立探偵のみどりの物語でもある。藍葉を誘拐した犯人・朱里を探すうちに、別の扉が次々に開かれるように新たな展開が生まれ、併せて藍葉の色彩に関する認識も深まっていく。そして、双方が相まって、事の真実に近づいていくのである。一見関係なさそうな事件十色。実はそこには特定の人にしかわからない深いかかわりがあったのである。藍葉とみどりと朱里、不思議な縁で繋がった彼女たちの人生の物語と言ってもいい一冊だった。

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著者プロフィール

小説家。1980年、東京都生まれ。第36回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、2016年に『虹を待つ彼女』(KADOKAWA)でデビュー。2022年には、のちに『五つの季節に探偵は』(KADOKAWA)に収録された「スケーターズ・ワルツ」で第75回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した。このほか著作に、『少女は夜を綴らない』(KADOKAWA)、『電気じかけのクジラは歌う』(講談社)などがある。

「2023年 『世界の終わりのためのミステリ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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