悪玉伝

著者 :
  • KADOKAWA
3.68
  • (6)
  • (10)
  • (14)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 88
レビュー : 19
  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041069196

作品紹介・あらすじ

大坂の炭問屋・木津屋の主の吉兵衛は、稼業は番頭らに任せ、自らは放蕩の限りを尽くしてきた。そこへ実の兄・久佐衛門の訃報が伝えられる。実家である薪問屋・辰巳屋へ赴き、兄の葬儀の手筈を整える吉兵衛だったが、辰巳屋の大番頭・与兵衛や甥の乙之助に手を引くように迫られると、事態は辰巳屋の相続争いに発展する。上方で起こった相続争いの噂はやがて江戸に届き、将軍・徳川吉宗や寺社奉行・大岡越前守忠相の耳に入る一大事に。将軍までも巻き込んだ江戸時代最大の疑獄事件の結末は――。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 時は徳川吉宗の時代。
    大坂で実際に起こった江戸時代最大の贈収賄事件「辰巳屋騒動事件」を描いたもの。

    上方の町人の間では当然のように行われる「ご挨拶」「根回し」として贈り物や饗応の風習が、幕府を敵に回す大疑獄事件に発展するとは驚いた。
    元は単なる商家の相続争いなのに、放蕩息子へのお仕置きにしては随分と手厳しい。
    「質素倹約」の吉宗の時代でなければここまでの騒ぎにはならなかったろうに。
    大坂の常識は江戸の非常識…大坂と江戸の感覚の対比が面白かった。
    そして現代にも通じる「忖度」。
    時代は違っても金や権力が絡むと「よしなに図る」人は何処にでもいるものだ。

  • まかてさんの時代小説は、相変わらずの読みごたえ。特に牢屋の描写がエグかった!
    『光圀伝』の樽ネズミを思い出しました。

  • いつもながらの文章の美しさは堪能できましたが、ストーリが好きでない。主題がはっきりしないので語りたいことがぼやけて散漫な印象。著者作品には珍しく凡庸な一作。

  • 司馬遼太郎賞
    第22回受賞作!
    江戸時代最大級の贈収賄事件「辰巳屋騒動事件」を描いた大作が堂々の受賞!

  • 表紙に一目惚れして読むことに。
    悪玉伝、否、上方商人の酔狂伝という印象。
    つい伏線の忠相(大岡越前守)に肩入れして読んでしまった。

  • 最初はなかなか入り込めなかったけど、中盤からは一気にでした。
    朝井さんの表現って情景を思い描き安いので、後半もはまってしまい、怖かったです…それこそ臭いなんかもリアルに感じてしまった…

    最後の希望を感じさせる終わり方、好きです。
    強いよね。

    読んでよかった。手元に置いておきたい本になりました。朝井さんのはそんな作品が本当に多い。

  • 江戸時代、江戸の武家社会と大坂の町人、商人社会との対立と文化、思考の違いを小説として描いていると言えるだろう。
    八代将軍吉宗の時代の話である。将軍を始め、我々にも馴染みの深い大岡越前が登場する。私たちが知っている大岡越前の「弱きを助け、強きを挫く」というキャラクターではなく、老齢になり中心的なポジションから外れていく、また高齢になり体も思うに任せず…という風に描かれ、大岡越前とはいえ人の子だと感じさせる内容になっている。
    大坂の商家のお家騒動が江戸幕府までを巻き込み、武家社会の根底を揺るがすような事件となっていく。江戸時代の経済問題、商家の世間を生き抜いていく知恵、罪人として牢屋に入れられるとどのようなことになるのかなど、エンターテイメントの作品の中で当時の社会や文化を細かく描写して面白い。
    主人公の吉兵衛が最後まで諦めず、ある意味、武家社会に勝っていくというエンディングは胸のすく思いがした。

  • 痛快時代小説。
    とある商家の跡継ぎ問題に大岡越前や徳川吉宗らが出て来る。
    売られた喧嘩はとことんまで買わせてもらうで!

  • 読み終わってから辰巳屋疑獄事件というのは実際にあった事件と知った。読み終わってからで良かった。結果を知っていたらこんなにハラハラ出来なかったろうから。作者は吉兵衛に最後希望を与えてくれたがそれまでが事実であったかどうかは分からないが、読者には救いとなったと思う。

  • 辰巳屋の跡目をめぐっての騒動.相対で済むところが大阪の奉行所だけでは収まらず,果ては公方様の含むところもあり江戸での大岡裁きへと武家をも巻き込んでの大騒動.腹黒い唐金屋を相手に牢の中で頑張り抜くのは良かったが,この主人公吉兵衛がそもそも悪いのであって,その自分勝手さにはいらいらさせられた.そして,思いの外目的のためには容赦ない吉宗公の冷たさにがっかりしたり.真実はわからないが,このような解釈もありかなと,さすがの朝井まかて氏です.

全19件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

朝井 まかて(あさい まかて)
1959年生まれ。甲南女子大学文学部国文学科卒業後、コピーライターとして広告制作会社に勤務。独立。2006年から大阪文学学校で学び、2008年第3回小説現代長編新人賞奨励賞を受賞してデビュー。受賞作は『花競べ 向嶋なずな屋繁盛記』と改題され、講談社文庫に収録されている。
2013年、幕末から明治を生きた歌人・中島歌子の半生を描いた『恋歌』で第3回本屋が選ぶ時代小説大賞、2014年第150回直木賞を受賞。ほか、2014年『阿蘭陀西鶴』で第31回織田作之助賞、2016年『眩』で第22回中山義秀文学賞、2017年『福袋』で第11回舟橋聖一文学賞、2018年『雲上雲下』で中央公論文芸賞、『悪玉伝』で司馬遼太郎賞をそれぞれ受賞。
他の著書に『ちゃんちゃら』『すかたん』『先生のお庭番』『ぬけまいる』がある。『眩』は2017年に宮崎あおい主演でドラマ化された。

悪玉伝のその他の作品

朝井まかての作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部 みゆき
西 加奈子
池井戸 潤
柚月 裕子
三浦 しをん
澤田 瞳子
米澤 穂信
辻村 深月
恩田 陸
村田 沙耶香
宮下 奈都
宮部 みゆき
西 加奈子
辻村 深月
朝井 まかて
横山 秀夫
朝井 まかて
宮部 みゆき
池井戸 潤
朝井 まかて
奥田 英朗
有効な右矢印 無効な右矢印
ツイートする