ママの推しは教祖様 ~家族が新興宗教にハマってハチャメチャになったお話~
- KADOKAWA (2018年4月4日発売)
- Amazon.co.jp ・マンガ (178ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041069370
作品紹介・あらすじ
ウチのママ、知らない間に洗脳されちゃってる!?教祖様のDVDに涙し、謎の合宿に連れて行かれ…信仰をやめる気はないママと一緒に暮らすって大変!純粋が故に宗教にハマるママと一家を描いた宗教ギャグエッセイ!
感想・レビュー・書評
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タイトルは一理あるが、コミックの内容で根底にあるのは毒親問題だった。
ハチャメチャどころか家庭崩壊してるし……
「新興宗教」とあるが、私は「カルト宗教」と考える。新興宗教がカルト傾向が強いためだ。つまり、こういった思考は新興宗教に限らない。
著者はカルト宗教に傾倒する母親が“手段が目的になっていること”、“かかるストレスに弱く、自分の非も認められない弱い人間で、依存体質であること”を冷静に分析している。
外因があっても、自分の不安や辛さは自分の内側の問題であり、それを認め、(他人に力を借りたとしても)自分で克服しなければならない。
しかし、母親はその自覚がない、認められない。
田房永子『母がしんどい』( https://booklog.jp/item/1/404602884X )の母に近い。むしろ毒親の典型を通り越して、究極形態レベルの母親だった。娘である著者の話を聞いているようで全く聞いておらず、自分の都合が良いように歪曲しているところからも、その片鱗が見える。
カルト宗教の常套手段、世界の終末・滅亡を煽り自分たちの信仰以外の者は救われないという選民思想は、常に「よくない原因は他者・外の世界にある」という理念を持っている。
それが毒親の「私は悪くない」を補強し助長すると私は理解した。これがカルト宗教の恐ろしいところでもある、と。
著者が気付いている、曲や演出で構成されている「自分だけが選ばれているという特別感」、カルト宗教からお墨付きを貰った感覚もあるだろう。(それに縋らないと胸をはって「私は悪くない」と言えない母親、という見方もできる)
カルト宗教は弱い人間を、本当の意味で強くするよすがになり得ない……
この母親も本当のところは安心する家族に憧れているのは見て取れる。ファミリー映画を見ているところからも……
著者はそんな母を否定せず、受け止めようとしている気がする。それはアダルトチルドレンの典型ではあるまいか?
暗い過去に対して「ひっぱられたくねーや」とゆるーい絵で描いているのを見ると、したたかな印象も受けるが……
私は著者の幸福を切に願う。
※著者はあくまで母親が傾倒した宗教を悪く言っていない。‘「カルト」で括るつもりは全くない(p.111)’と言っているが、おそらく「カルト=ヤバい宗教」という意味で使っている。ここでは私は「カルト」を「特定の人物・事物を熱狂的に崇拝,礼賛すること」で使っている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なんといっても著者が凄い。どうすればここまでの体験をこうも客観視して水に流せるのか。著者の強靱さはまさに尊敬に値する。これほどの悩みに比べれば私の普段の悩みなどなんと小事であることかと身が引き締まる思いです…全ては受け止め方の問題であり、乗り越えられない困難はないのだと再確認させられました。
また、kindleだと関連書籍が最後にどばっと出てくるのですがカルト宗教体験談漫画が世の中にこれほど大量にあることにも驚き、そのうちの1冊を読んだことがあったのですが、苦悩を苦悩のまま描写する漫画(普通そうなる、その苦悩を愚痴る権利は十二分にある!)だっただけにこの著者の強靱さに拍手。 -
書き下ろしの部分が良かった、っていうレビューが気になって買った。
確かに書き下ろしの部分を含めることでこの本の良さがわかる。
宗教自体が悪かったんじゃなくて、宗教にのめり込まざるを得ない状態になったお母さんも大変だったとは思う。
でもそのとばっちりをもろに受けてしまった著者のしまださんだってすごく大変だった。
こんな風になってしまう家族ってたくさんいるだろうと思う。
こんな家族の苦しみをなくす方法はあるんだろうか…。