- Amazon.co.jp ・本
- / ISBN・EAN: 9784041069684
作品紹介・あらすじ
「ルームメイトは逃亡しました」
国からは「高度」と見なされない、圧倒的多数(外国人労働者)の世界。
大宅賞『八九六四』著者が、絶対的な弱者でも敵でもない、彼らの「現実」に追るディープルポ!
日本政府をはじめ、公的機関が使用している言葉、「高度外国人材」。
「高度」な人材がいるということは、国の定義とは真逆の属性を持つ人材も存在するはずだ。
それは、「(年齢だけは若いかもしれないが)学歴・年収が低く、日本語はろくに喋れず専門知識もない、非熟練労働に従事している」人たちといえる。
しかし、日本社会は彼らにこそ強く依存しており、必要としているではないか。
生身の「“低度“外国人材」は、紋切り型の報道のなかで語られるような、絶対的な弱者や被害者たちの群れではない。
ましてや、陰謀をたくらむ存在でもない。
そもそも中国は経済成長をとげ、稼げない日本に見切りをつける中国人は多く、外国人労働者の主役はベトナム人に移行している。
──われわれは記号としての弱者や敵を想定していたのに、いたのは人間だった。
3年にわたって中国、ベトナム、日本各地を回り、生身の姿に迫ったディープルポ!
【目次】
はじめに
第一章 コロナ、タリバン、群馬県――隣人は平和な「イスラム原理主義者」
第二章 「兵士」たちの逃亡と犯罪――主役は中国人からベトナム人へ
第三章 頼りなき弱者――ベトナム「送り出し」業者に突撃してみれば
第四章 「低度」人材の村――ウソと搾取の「破綻した制度」
第五章 「現代の奴隷」になれない中国人――稼げない日本に見切りをつけるとき
第六章 高度人材、低度人材――「日本語だけは上手い」元技能実習生
第七章 「群馬の兄貴」の罪と罰――北関東家畜窃盗疑惑の黒い霧
おわりに
主要参考文献
感想・レビュー・書評
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<訪問>「『低度』外国人材」を書いた 安田峰俊(やすだ・みねとし)さん:北海道新聞 どうしん電子版
https://www.hokkaido-np.co.jp/sp/article/552563?rct=s_books
「低度」外国人材 移民焼き畑国家、日本 安田 峰俊:一般書 | KADOKAWA
https://www.kadokawa.co.jp/product/321802000135/詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私の暮らす地方都市には
小さな町工場がけっこうある。
10年ほど前までは
そこで勤めている彼らが
近所を通る時に
話す中国語が聞こえてくるのが
当たり前だった。
今は、その同じ道では
ベトナム語の会話が通り過ぎていく。
おそらく
日本の各地、
それも零細企業の工場が
あるところでは
同じ現象が起きているのだろう
「技能実習制度」という名のもとに
さまざまな社会問題が噴出ししている
この国のあり様を考えさせてもらった
良書である -
「低度」の本質を表す一節
"技能実習生や偽装留学生・ボドイの問題は、いざ調べはじめると関係者が全員「ろくでもない」という構図にしばしば直面する。
日本もべトナムも、送り出し機関も監理団体も実習先企業も、技能実習生本人も、全員がどうしようもないのだ。(p147)"
加害者・被害者、悪徳・可哀想、の二極では語れない図式は、実は「全員ろくでもない」で説明できる。
もし誰か(国、制度、個人)が、真に「まっとう」なら、こんな矛盾は生まれない。自分だけがまっとうだと思い込んだり、上辺だけまっとうな制度だから問題が起こる。
ルポとSFなので全くジャンルは違うが、カズオイシグロの「わたしを離さないで」に通じるものがあると感じた。
ある人間の利益になるために、別の人間が身を呈する。受益側の人間は、与益(被損)側には、黙々と決められた通りに、何ひとつ余計なことは考えずに---人間らしさが立ち現れると罪の意識が生まれるから---ただ、ロボットのように任務を完遂して欲しい。
両書の展開の違いは、
「わたしを…」は、そんな与益者にも人間らしい感情が存在していると残酷な架空の世界で儚く美しく語ったが、「低度…」は、与益者である実習生を取り巻く、あまりに人間くさくて生々しい現実世界を書き出した点だ。
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日本人が”美しい”とする清貧思想「民間が切り詰めているから、国も節約しろ」「”低度”でもよいから安いがよい」がこんな”醜い”制度を培ってしまった。「現代の奴隷制度」「人身売買」米も批判する技能実習制度。日本を豊かと思い込んでいる方々の判断力・思考能力の低さ、権利意識の弱さに依存しているシステム。だが外国人労働者への同情を煽るような報道も的外れ。「労働力を呼んだのに来たのは人間」抱く感情を紋切り型では語れない。叩き出すべきも同情すべきもこんなシステムに依存させてしまった我々の乏しい思考力と想像力ではないか
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こんなの書けるように頑張ります!!!!!
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日本側はもとより現地の送り出し機関も大概なのは分かっていたが、元技能実習生が技能実習生を喰う側に回ってしまう事があるというのはなんともつらい。
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本書のおわりに、著者が吐露する取材感想が最も印象深い。豊かになった中国にとって、日本は魅力的な国ではなくなり、労働集約型の産業をベトナム、そしてカンボジアなどの情報弱者が呼び寄せられ代替すること。今後地方で進む未来の姿がリアルに描かれている。
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3.85/229
『「ルームメイトは逃亡しました」紋切り型報道では描かれないディープルポ!
「ルームメイトは逃亡しました」
国からは「高度」と見なされない、圧倒的多数(外国人労働者)の世界。
大宅賞『八九六四』著者が、絶対的な弱者でも敵でもない、彼らの「現実」に追るディープルポ!
日本政府をはじめ、公的機関が使用している言葉、「高度外国人材」。
「高度」な人材がいるということは、国の定義とは真逆の属性を持つ人材も存在するはずだ。
それは、「(年齢だけは若いかもしれないが)学歴・年収が低く、日本語はろくに喋れず専門知識もない、非熟練労働に従事している」人たちといえる。
しかし、日本社会は彼らにこそ強く依存しており、必要としているではないか。
生身の「“低度“外国人材」は、紋切り型の報道のなかで語られるような、絶対的な弱者や被害者たちの群れではない。
ましてや、陰謀をたくらむ存在でもない。
そもそも中国は経済成長をとげ、稼げない日本に見切りをつける中国人は多く、在日外国人問題の主役はベトナム人に移行している。
──われわれは記号としての弱者や敵を想定していたのに、いたのは人間だった。
3年にわたって中国、ベトナム、日本各地を回り、生身の姿に迫ったディープルポ!』
(「KADOKAWA」サイトより)
『「低度」外国人材 移民焼き畑国家、日本』
著者:安田 峰俊
出版社 : KADOKAWA
単行本 : 264ページ
発売日 : 2021/3/2
著者プロフィール
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