「低度」外国人材 移民焼き畑国家、日本

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  • KADOKAWA (2021年3月2日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784041069684

作品紹介・あらすじ

「ルームメイトは逃亡しました」
国からは「高度」と見なされない、圧倒的多数(外国人労働者)の世界。
大宅賞『八九六四』著者が、絶対的な弱者でも敵でもない、彼らの「現実」に追るディープルポ!

日本政府をはじめ、公的機関が使用している言葉、「高度外国人材」。
「高度」な人材がいるということは、国の定義とは真逆の属性を持つ人材も存在するはずだ。
それは、「(年齢だけは若いかもしれないが)学歴・年収が低く、日本語はろくに喋れず専門知識もない、非熟練労働に従事している」人たちといえる。
しかし、日本社会は彼らにこそ強く依存しており、必要としているではないか。
生身の「“低度“外国人材」は、紋切り型の報道のなかで語られるような、絶対的な弱者や被害者たちの群れではない。
ましてや、陰謀をたくらむ存在でもない。
そもそも中国は経済成長をとげ、稼げない日本に見切りをつける中国人は多く、外国人労働者の主役はベトナム人に移行している。

──われわれは記号としての弱者や敵を想定していたのに、いたのは人間だった。

3年にわたって中国、ベトナム、日本各地を回り、生身の姿に迫ったディープルポ!

【目次】
はじめに
第一章 コロナ、タリバン、群馬県――隣人は平和な「イスラム原理主義者」
第二章 「兵士」たちの逃亡と犯罪――主役は中国人からベトナム人へ
第三章 頼りなき弱者――ベトナム「送り出し」業者に突撃してみれば
第四章 「低度」人材の村――ウソと搾取の「破綻した制度」
第五章 「現代の奴隷」になれない中国人――稼げない日本に見切りをつけるとき
第六章 高度人材、低度人材――「日本語だけは上手い」元技能実習生
第七章 「群馬の兄貴」の罪と罰――北関東家畜窃盗疑惑の黒い霧
おわりに
主要参考文献

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

日本社会における「低度」外国人材の現実を深く掘り下げた作品であり、外国人労働者の存在がもたらす社会的な影響を考察しています。著者は、技能実習制度の裏に潜む構造的な問題や、外国人労働者が直面する複雑な状...

感想・レビュー・書評

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  • <訪問>「『低度』外国人材」を書いた 安田峰俊(やすだ・みねとし)さん:北海道新聞 どうしん電子版
    https://www.hokkaido-np.co.jp/sp/article/552563?rct=s_books

    「低度」外国人材 移民焼き畑国家、日本 安田 峰俊:一般書 | KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/321802000135/

  • 私の暮らす地方都市には
    小さな町工場がけっこうある。
    10年ほど前までは
    そこで勤めている彼らが
    近所を通る時に
    話す中国語が聞こえてくるのが
    当たり前だった。
    今は、その同じ道では
    ベトナム語の会話が通り過ぎていく。

    おそらく
    日本の各地、
    それも零細企業の工場が
    あるところでは
    同じ現象が起きているのだろう

    「技能実習制度」という名のもとに
    さまざまな社会問題が噴出ししている
    この国のあり様を考えさせてもらった
    良書である

  •  「低度」の本質を表す一節

    "技能実習生や偽装留学生・ボドイの問題は、いざ調べはじめると関係者が全員「ろくでもない」という構図にしばしば直面する。
     日本もべトナムも、送り出し機関も監理団体も実習先企業も、技能実習生本人も、全員がどうしようもないのだ。(p147)"


     加害者・被害者、悪徳・可哀想、の二極では語れない図式は、実は「全員ろくでもない」で説明できる。
     もし誰か(国、制度、個人)が、真に「まっとう」なら、こんな矛盾は生まれない。自分だけがまっとうだと思い込んだり、上辺だけまっとうな制度だから問題が起こる。


    ルポとSFなので全くジャンルは違うが、カズオイシグロの「わたしを離さないで」に通じるものがあると感じた。
     ある人間の利益になるために、別の人間が身を呈する。受益側の人間は、与益(被損)側には、黙々と決められた通りに、何ひとつ余計なことは考えずに---人間らしさが立ち現れると罪の意識が生まれるから---ただ、ロボットのように任務を完遂して欲しい。
     両書の展開の違いは、
    「わたしを…」は、そんな与益者にも人間らしい感情が存在していると残酷な架空の世界で儚く美しく語ったが、「低度…」は、与益者である実習生を取り巻く、あまりに人間くさくて生々しい現実世界を書き出した点だ。

     

  • 日本人が”美しい”とする清貧思想「民間が切り詰めているから、国も節約しろ」「”低度”でもよいから安いがよい」がこんな”醜い”制度を培ってしまった。「現代の奴隷制度」「人身売買」米も批判する技能実習制度。日本を豊かと思い込んでいる方々の判断力・思考能力の低さ、権利意識の弱さに依存しているシステム。だが外国人労働者への同情を煽るような報道も的外れ。「労働力を呼んだのに来たのは人間」抱く感情を紋切り型では語れない。叩き出すべきも同情すべきもこんなシステムに依存させてしまった我々の乏しい思考力と想像力ではないか

  • いやほんとにおっしゃる通り。なれること、入りこむ努力をすること。地方にゲットーができつつあること。どうなんだろう。

  • こんなの書けるように頑張ります!!!!!

  • 技能研修生などで話題になる「外国人労働者」の現状を、著者の体当たりな取材を通して明らかにする一冊。主にベトナム人労働者(働いてない人もいるが…)の状況を書いている。

    読んでの印象は「かわいそうなまでに、弱くどうしようもなく救われない」。
    親戚が岐阜の工場で働いているんで多少状況はわかるんですが…あのあたりの田舎の中小企業にはろくでもないのが結構含まれている。「プレス機で従業員が死んだあと、社長夫人は車をいいのに買い替えた。保険金で払ったのでは?」なんて噂が流れる会社でその親戚が働いていたこともある。そんな会社でも、製造業の盛んな中京圏では潰れることなく会社自体は存続してしまえる。

    それに対し日本人であれば「転職」という”現実解”を選びうるわけだけど、技能研修生は「逃亡」し在日ベトナム人社会で生きるしかない。
    そして、今のご時世に出稼ぎ先としてあえて「日本」を選んでしまうような”情弱”ばかりが日本に来ているので、本人も在日ベトナム人社会の新入りもその生き抜き方が稚拙。反社会的な行動に手を出すことにも抵抗が低い。本国でもまともに頼れるような社会がない階級の人間が、外国人慣れしてない日本社会をあてにするわけがない、と言ってしまえばそれまでだけど、社会への期待感のなさの裏返しとしての社会規範意識の低さが露骨に出てる。
    その対比としての、第五章(「現在の奴隷」になれない中国人)は別な意味で興味深い。国力が上がり信頼度が増した中国社会が、中国人労働者の不満を妥当なやり方で一定解消させる役割を果たしているらしい。

    第七章に出てくる「群馬の兄貴」にしても、「豚の大量窃盗」の指導的役割を果たしたかは怪しいとしても、そういうことをベトナム人がやっていてもおかしくない、というムードは既にあった(岐阜県でも数年前に「除草用のヤギをベトナム人がバラシて食った」という事件があった)。「これだからベトナム人は…」と言われても仕方のない現状が一方であり、それが日本人社会の態度を硬化させさらに状況が悪くなる、という日本の現状を象徴するような章だった。

    日本語能力はあるのに年齢などの問題で日本への入国すらままならない例(第六章)は「日本は…もったいないことをしているなぁ」と思う。一方で『君の名は』を本国で見てあこがれた日本にやってきてセクハラ被害にあった外国人労働者が、その『君の名は』の舞台である岐阜県で働いていることを告げられ絶句する例(第五章)なんかは「『君の名は』の微妙なセクハラ的演出を見てそこに驚くか」と言いたくなる。
    日本社会に普通に存在するチグハグさが、外国人労働者を送り出す側のチグハグとの相乗効果でほんとに救いのない状況になっている、そのような印象を受けた。

    労働者2世の教育問題含め誰がどうこの問題の落とし前をつけるんだろう、とは思いつつ…一時期中京圏の外国人労働者界を席巻したブラジル人労働者の多くが「ブラジルにワールドカップを見に帰る」と言って大半が帰国したように、本国が経済成長して労働者自ら日本を見放してくれるのを期待するより他ないのかもしれないなぁ…。

  • 日本側はもとより現地の送り出し機関も大概なのは分かっていたが、元技能実習生が技能実習生を喰う側に回ってしまう事があるというのはなんともつらい。

  • 本書のおわりに、著者が吐露する取材感想が最も印象深い。豊かになった中国にとって、日本は魅力的な国ではなくなり、労働集約型の産業をベトナム、そしてカンボジアなどの情報弱者が呼び寄せられ代替すること。今後地方で進む未来の姿がリアルに描かれている。

  • 安田さんといえば中国というイメージだったので、
    これも在日中国人の話かと思ったが、ベトナム人とかだったので
    時代を感じた。そうだよねぇ。
    外国人側によりすぎることもなく、日本側に阿ることもなく、
    淡々と見たものを書いているので多少個人的感想は入るものの
    読んでいてスッと入ってくる。

  • 3.85/229
    『「ルームメイトは逃亡しました」紋切り型報道では描かれないディープルポ!
    「ルームメイトは逃亡しました」
    国からは「高度」と見なされない、圧倒的多数(外国人労働者)の世界。
    大宅賞『八九六四』著者が、絶対的な弱者でも敵でもない、彼らの「現実」に追るディープルポ!

    日本政府をはじめ、公的機関が使用している言葉、「高度外国人材」。
    「高度」な人材がいるということは、国の定義とは真逆の属性を持つ人材も存在するはずだ。
    それは、「(年齢だけは若いかもしれないが)学歴・年収が低く、日本語はろくに喋れず専門知識もない、非熟練労働に従事している」人たちといえる。
    しかし、日本社会は彼らにこそ強く依存しており、必要としているではないか。
    生身の「“低度“外国人材」は、紋切り型の報道のなかで語られるような、絶対的な弱者や被害者たちの群れではない。
    ましてや、陰謀をたくらむ存在でもない。
    そもそも中国は経済成長をとげ、稼げない日本に見切りをつける中国人は多く、在日外国人問題の主役はベトナム人に移行している。
    ──われわれは記号としての弱者や敵を想定していたのに、いたのは人間だった。
    3年にわたって中国、ベトナム、日本各地を回り、生身の姿に迫ったディープルポ!』
    (「KADOKAWA」サイトより)

    『「低度」外国人材 移民焼き畑国家、日本』
    著者:安田 峰俊
    出版社 ‏: ‎KADOKAWA
    単行本 ‏: ‎264ページ
    発売日 ‏: ‎2021/3/2

  • 安くて若い労働力が欲しい日本政府と中小企業、その間に入って日本政府、中小企業、実習生から搾取していく監査機関に現地の送り出し組織、そして様々な事情がありながらも受動的にぼんやりと日本での技能実習生を選んでしまった本人たち。

    全員に責任があるからこそ、一朝一夕には変わらないだろうが、こんな感じで技能実習生の定住が進んだら今後どうなるのだろうと不安になった。

  • 以下、引用

    ●「技能実習生になるのは、ベトナムのなかでも貧しくて情報感度が低い人たち。彼らは自分自身で送り出し機関を探さず、『日本で働けば儲かる』と声をかけてきたブローカーから紹介された機関を利用するんです。言葉は悪いですが、ものを考える文化があまちないというか・・・・」
    ●日本の技能実習生制度は、身も蓋もない言いかたをすれば、発展途上国出身者の「”低度”外国人材」である若者の判断力や論理的思考能力の低さや、権利意識の弱さに依存して構築されているシステムだ。現代中国の九0後の青年との相性が悪いことは言うまでもない

  • 技能実習生や留学生などに問題があるとは何となく知っているつもりだったが、こんなことになっているなんて。
    ちょうど、コロナにより外国人の入国が難しいため牡蠣の収穫が減っている、という記事を新聞で読んだが、これで合点がいった。
    人口が減っていく中で、人手がかかる仕事がある。海外の人材が必要だ。これは何年も前から同じ。その一方で外国人材の活用に問題があることも、わかっていたこと。それなのに正面から向き合わずに、きれいな言葉で取り繕い、その場その場でしのいでいく。日本の悪しき社会がそのまま。
    またアジアの人々への何気ない差別感情も日本の恥部がズバリ。
    こんなものを放置して、ズルズルとダメになっていく様に暗澹たる思いとなるが、それでもこの問題を知る機会となったありがたい一冊。

  • このテーマ大概剛柔に二極化するけど良い柔らかさ

  • 外国人実習生について、排外的な思想の記事あるいは偽善的な思想の記事しか無いという著者の問題意識が印象深い。深い取材で実習生のリアルを描いた貴重な本だと思う。

  • すべては研修生制度の矛盾が引き起こしているわけだが、悪質な雇用主と不当な扱いを受ける外国人研修生という単純な話ではないという事。
    現地では不当な仲介料を取る悪徳ブローカーの方が仲介料が高いがゆえに信用されてしまったり、それでも一攫千金を狙って研修生となって来日したり、そういったさまざまな事情を十把ひとからげにとにかく日本で研修生を支援することに意義があると考えるNPOもいる。その上そうした研修生が無事に本国に帰ると今度は悪徳ブローカーになって送り込む側になるなんてこともあるらしい。まことに人の欲望は一筋縄ではいかない。

  • 外国人実習生の本を何冊か読んだけど、ブローカーの会社名が出てるのは初めてかも。ホントこいつらが元凶だわ。朝から晩までキャベツ切るののどこが技能実習なんだよ。3Kの仕事を安くやらせる人材を調達してるのは誰の目にも明らか。筆者は中国語で取材ができ、以前は中国人を取材することが多かったようだが、ベトナム人と中国人の違いが興味深かった。同じ社会主義国でも中国人はスマホがあれば法テラスを探し出し、人権派弁護士にたどり着く。ベトナム人は経営者を訴えられるところまで来てもポカーンとして主張しない。あまりにも抑圧され過ぎて、特に、田舎の若者は考えることをやめてるらしい。ベトナム国内でも良い仕事につくためには賄賂が当たり前で、ブローカーに支払う金額も「そんな値段で本当に日本で働けるのか」と逆に確認してきたりする。安いブローカーはろくでもなく、高いほうが良いと思い込む。マイナス1は技能実習生として働いたあと南昌に帰り筆者の取材を手伝ってくれた青年の留学計画失敗を本人に断りなく載せてるっぽいこと。。まあ、写真とられてる時点で全て取材と理解されてたのかもしれないけど、音信不通になっちゃった人をこんな、どアップで載せて良いのかな。 エピソードも中途半端だったのでこの青年載せるなら他の話かもう少し深い考察を入れてほしい。

  • あえて筋の悪い読み方をするなら、なろう系の異世界モノの異世界の社会。

    話題になったルワンダ中央銀行総裁日記が、異世界に行った人の無双記なら、こちらは異世界の受け入れ方とも言える。

    そういう意味では、今の日本はそんなものとも、今のなろう系の書き手のレベルは高いともいえるのかも。

    肝心の内容は、安定の安田氏故に面白かった。

  • 日本社会に徐々に浸透しつつある移民。国の政策と相反して不法滞在を続ける外国人たち。その実情を追ったルポ。

    群馬県であったり都心近くでも葛西や西川口など外国人のコロニーが近年増加している。正規に入国し就労する外国人ももちろん多いだろうが、それ以外の人材、日本語も話せなければ学力もない。しかしそんな底辺の労働者に日本経済は依存している。

    中国人からベトナム人、今後はカンボジア人、焼畑農業のように移民を酷使する現実に迫ったルポ。

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著者プロフィール

ルポライター

「2023年 『2ちゃん化する世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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