きのうの影踏み (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041069929

作品紹介・あらすじ

あるホラー作家のもとに送られてきた手紙には、存在しない架空の歌手とラジオ番組のことが延々と綴られていたという。編集者たちの集まりによると、チェーンメールのように、何人かの作家にも届いているという。かくいう私にもその手紙は届いていた。その手紙のことを調べるうちに、文面の後ろのほう、文字が乱れて読み取れなくなっていた部分が、徐々に鮮明になってきている……。ある日、友人作家が手紙のことで相談があると言ってきた。なんと、その手紙、サイン会で手渡しされたという。誰がその人物だったかはわからない。けれど、確実に近づいてきているーー。(「手紙の主」)。その交差点はよく交通事故が起こる。かつてそこで亡くなった娘の霊が、巻き添えにしていると、事故死した娘の母親は言っているという。その娘が好きだったという「M」の字の入ったカップがいつもお供えされていた。ある雨の日、そのおばさんがふらふらと横断歩道にさしかかり……。死が母娘を分かつとも、つながろうとする見えない深い縁を繊細な筆致で描く「七つのカップ」。闇の世界の扉を一度開けてしまったらもう、戻れない。辻村深月が描く、あなたの隣にもそっとそこにある、後戻りできない恐くて、優しい世界。
【解説:朝霧カフカ】

感想・レビュー・書評

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  • あとがき 朝霧カフカ氏曰く、「この世のやぶれめ」
    短編集

    そう、こういう自分も巻き込まれそうな怪異が やっぱり怖い

    子供の頃 近くといっても一人では行けないくらいの小さな稲荷神社の噂を時々耳にした
    江戸時代から祭事に役人の悪口を人形に納めたというような歴史がある神社
    だけど 噂は別の物だった
    ホラー的に怖いというより 人って怖いというような噂

    そして、稲荷神社はまだあるので 当時の話をネット探したのですが 全く見つからない
    それにしても 誰も書いていないということは 
    私の何か思い違いなのかなぁ

    この本は 読むとそんな子供の頃のちょっと不思議な話を思い出す感じなんです

  • ふちなしのかがみに続き辻村深月さんのホラーを読みました。この本は辻村さんの身の回りで起こった出来事などもあり、不思議だと思いました。

  • 13篇からなる辻村流の怪異短編集。辻村さんの別な顔を見れたようで興味深かったです。「噂地図」以外は楽しく読めました。

  • 13編の短編集だが、題名が意味を持っている。
    ホラーというか、非科学的な事象を辻村深月さんのエッセイのように記述されている。

    人は誰しもが過去に傷を持っている。その過去の思いが、しっぺ返しのように起こると、ある意味怖いものだ。人の心理に面白い角度で切り込んでいる点は、さすが辻村深月さんだと感じた。

    記憶というのは主観的で曖昧なものだと思う。この世は科学では解明できない事象は存在する。ただ、それが主観的データに基づくものだから、科学的に証明することができないのが現状だろう。

    不思議な出来事は、科学的に証明されないからこそ面白いと思うのである。わかってしまうと興醒めだったりする。私には文学的なままの方がよほど価値があると思うのである。

  • サクッと読み終わりすぎて記録つけるの忘れてた。恐怖表現がすごいわけでも、グロテスクな描写があるわけでもないけど、なんだかゾクっとするような掌編集。

  • 小学生の時に怪談や不思議な話しが大好きで、怖がりながらもよく読んでいたなー、こんな感じの話しだったなーと懐かしく読みました。
    このくらいのトーンの怖さが一番好きです。怖すぎず、グロテスクさもなく良いバランス。

  • 全13篇もの怪談が詰め込まれた短編集。

    計240P程の本書に、不確かだが存在を感じられ、
    日常生活にひっそりと溶け込んでいる、謂わば
    「幽霊」のようなフワッとしたものが多く登場する。
    (グロさや残虐さではないタイプのホラー)

    解説でも述べられていたように、1話1話が短く、
    情報量が少ないからこそ、各々の読者が自らの
    「想像力」で補うことにより、掻き立てられる恐怖が
    また変わってきそうな面白い作品でした。

    母と子の話も多く、ホラーではあるものの、特に
    小中学生やその母親に刺さるように思いました。

  • ホラーだとは知らずに読み、
    読みやすくてついページを繰ってしまったが、
    今夜は天気が悪く風で窓がきしむのもあって
    こわかった…

    辻村さん自身が体験したことのように書かれているし
    うまいなぁーと思いながら、
    ホラーは私は得意ではないなと…

  • 怪談話の短編集です。
    都市伝説のような、思わずゾッとする話が13話。
    身近で、日常にありそうだったり、聞いたことがありそうな話だったり、読んでて背中がゾワッとする話もあります。
    「十円参り」「手紙の主」「だまだまマーク」「ナマハゲと私」が比較的寒気がきました。
    私はホラーに結構耐性があるので、幽霊話はそこまで怖く感じません。
    どちらかと言うと都市伝説的な要素が強い話の方が好みですが、その要素が強くて怖かったのは「ナマハゲと私」かなぁ。ナマハゲ、実際いたら怖いですもんね。
    「手紙の主」もファンからの手紙という、拒否できないし得体の知れない不気味さがありました。

  • そろそろ辻村さんの作品を読みたくなってきたので、読んでみた。
    いやぁ、怖かった!!!!!!!
    あらゆるタイプの怖い短編が沢山入っていました。
    自分が特に怖かったのは、「十円祭り」「手紙の主」「噂地図」です。
    「やみあかご」「ころしたもの」「タイムリミット」あたりはとても短いのですが、こんな数ページでよくこんな怖くできるなと、思いました。
    ホラーでない作品でもゾワっとされられるのに、辻村さんがホラーを描いたら怖いに決まっています笑

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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