- 本 ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041070000
作品紹介・あらすじ
総合格闘技の黎明期に命を懸けて戦い、“400戦無敗の男”ヒクソン・グレイシーが「真のサムライ」と讃えた男を描く表題作。執念と努力の人、堀越英範の生き様を追う「超二流と呼ばれた柔道家」。東孝、猪熊功、木村政彦ら格闘家の生と死を見つめる「死者たちとの夜」。そのほか、著者の自伝的青春小説『七帝柔道記』の登場人物で、モデルとなった同期・先輩との対談を収録。人間の生きる意味に迫った、傑作ノンフィクション集。
感想・レビュー・書評
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増田俊也『VTJ前夜の中井祐樹 七帝柔道記外伝』角川文庫。
あの傑作自伝青春小説『七帝柔道記』の外伝。ノンフィクションである。『VTJ前夜の中井祐樹』『超二流と呼ばれた柔道家』『死者たちとの夜』の3編に北大柔道部OBと増田俊也の対談2編を収録。
『VTJ前夜の中井祐樹』。日本の総合格闘技の先駆けとなった伝説の試合を闘い抜いた北大柔道部出身の格闘家・中井祐樹の軌跡を描く。VTJはバーリトゥード・ジャパンの略。1995年に中井祐樹がVTJの1回戦で対峙したのはUFCがアルティメット大会と呼ばれいた第1回大会で準優勝したジェラルド・ゴルドーだった。
今でこそ総合格闘技はメジャーとなったが、当時はマイナーであり、何しろ天下の国営放送が間違えてUFCの第1回大会を放送するという有り様だった。そんな中、日本で総合格闘技の扉を開けたのが中井祐樹である。プロレス全盛時代により高く純粋な格闘技を目指した日本格闘技界はやがてブラジリアン柔術という黒船の襲来など知る由もなかった……
『超二流と呼ばれた柔道家』。天才柔道家・古賀稔彦を8年かけて背負い投げで屠った遅咲きの柔道家・堀越英範の生き様を描いた秀作。
『死者たちとの夜』。増田俊也と東孝の邂逅を通じ、ヒクソン・グレイシー、熊功、木村政彦らが交錯する不思議な一夜の幻想譚。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
明日ありと思ふ心の徒桜(親鸞)
明日があると思うと、それが徒になる。その日、会っておかんといかん。 -
これは面白い。
格闘技ファン必読。 -
増田俊也としなり 20代前半の若さで夭折ようせつした 取りも直さずやるべきことはやったということを意味していた 当時、世間の無知と唯一つ戦っていたプロの団体、それがシューティングだったのだ。中井の饒舌は、その無知に対する怒りの表現のように思えた。 後にプロレスラーがPRIDEなどのリングに上がって負けざるをえない状況ができたのは、ファイトマネーが、ある時を境に大きく逆転したからに他ならない。 神風が起こした大波を、右眼失明によるプロライセンス剥奪という死刑宣告と引き替えに乗りこなした中井祐樹がいたからこそ、日本に総合格闘技が根付き得た。 堀越英範 野村豊和(野村忠宏の叔父) 手首の返しで相手を崩してから投げるのが天理大の柔道だ 東やヒクソンの横顔には、生きることへの、生き続けることへの諦観があった。 和泉唯信「思いがある限り必ず繋がっていくんじゃ」 親鸞「明日ありと思ふ心の仇桜」 何かずっとピアノが頭に鳴り響いとった。その興奮状態のまま大会で優勝できた。その時に実感したんじゃ。やっぱり一流の人いうのはオーラがある。そういう人達の間近でオーラを実感する意味があると思った。 四十代半ばにして遅咲きの大宅賞 しゅうゆうかん修猷館高校 恐らく防衛本能でそういうのを体が覚えちゃうんだろうね。苦しくないように、早めに落ちるように体が順応しちゃう。 綺麗な女性百万人に「好きです」と言われるより、一人の男に「たいしたやつだ」って言われたくて生きてきた最後の生き残りだから。 「柔道は男を磨くのに一番いい道具」 あの事件こそが私のサーガ(英雄譚)のビッグバンであった
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