東京結合人間 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 330
感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041070116

作品紹介・あらすじ

一切嘘がつけない結合人間=”オネストマン”だけが集う孤島で、殺人事件が起きた。容疑者たちは“嘘がつけない”はずだが、なぜか全員が犯行を否定。紛れ込んだ”嘘つき”はだれなのか――。

感想・レビュー・書評

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  • 前作より暴力性が増しており、そこが自分にとってはあまり合いませんでした。
    ただ、設定の奇怪さは唯一無二だと思います。

  • 相変わらずぶっ飛んだ設定の著者2作目。

    本作は少女買春組織を描いた「少女を売る」。嘘をつけない正直者(オネストマン)達が漂着した孤島で殺人事件が起こる「正直者の島」の2部構成になっています。
    「少女を売る」は白井作品恒例のエログロ変態描写のオンパレードでかなり胸糞な内容ですが、そこにもしっかり伏線が張られているので侮れない...そして最後にミステリに豹変するのが印象的でした。

    2部の「正直者の島」は一転して孤島での連続殺人事件と結合人間という特殊設定を除けば、しっかりとしたクローズド・サークルになっています。
    "嘘つけない正直者"という設定が、普通のミステリのフーダニットとは違う、一種の論理パズルみたいになっていて面白かった。
    そして登場人物達の推理合戦及び多重解決が約100ページに渡って展開されており圧巻の一言。

    そしてさらに事件解決後に、この特殊設定にも引けを取らないぐらいのカタストロフが待ち受けており、一筋縄ではいかない作品と思わせられました!

  • 設定がぶっ飛んでました。
    結合後の障害により嘘がつけない「オネストマン」となってしまった人達が小さな島で連続殺人事件に巻き込まれていく。
    最初は設定に置いていかれないように読み進めるのが大変でした。
    特異な設定のルールのようなものを巧みに利用し、推理が二転三転していくのも「いったいどこにたどり着くだろう」と楽しくなっていました。
    白井智之の小説を初めて読みましたが、精神的にエログロく、どこまで「アリ」かワクワクで、私はこの世界観が好きです。
    クローズドサークルも、伏線回収も、浮世離れした設定以外は本格ミステリーでとても楽しめました。

  • 第一部の描写は気分が悪くなるような酷いものだけれど、どこにもない世界観を作り上げて、その中で事件が起こりそれが解決されるというお話の作り自体はとても面白い。解決編の運びも、頭を働かせずに読むのにちょうど良い。
    一番最後に新たに出てくる二人の素性がもう少し描写されてても良いんじゃないかと思ったのと、船橋…の解釈が自分にはできなかった。
    200907

  • プロローグからエログロ全快だけど、ある時からミステリーになり面白いけど、エログロが苦手な人はお薦めしません。ただ個人的には短編より長編が好みでした

  • すごいものを読んだ気がする。
    こういうアイデアはどこから来るのだろう。
    常識にはないものを想像させる文章力っていうのは、やっぱりすごいなぁと思う。

  • この著者さんの作品として初めて手に取ったのがこの“東京結合人間”だった。
    「ウソがつけないオネストマンが集まった中で殺人が起きたが、誰も犯人として名乗りあげるものはなく…」というあらすじに惹かれ購入したのだが、まさかこんな異世界設定線での物語で、尚且つ過激なグロ表現があるとは思いもしなかった。

    読み始めは、慣れないグロ表現にとても目を瞑りたくなるような感覚で、著者さんの作品と自分は合わないかと思われたが、読み進めていくとこの現実離れした異世界設定である理由が、ちゃんとした推理に論理的に結びつくものとなっていて、非常に脳をフル回転させて情景を思い浮かべなければいけなかった反面、ミステリーとしてのトリックにとても納得と驚きがあった。
    こんな作品は初めてで、斬新で面白く、この著者さんでしか出せない味。
    自分的「今年発掘した新著者さん星5作品」としてブックリストに追加させて頂きました。

  • 「東京結合人間」面白かった。面白かったけど、かなり人を選ぶ気がする。特殊設定は別に構わない。そういうものだと思うので。でも、正直、途中が(「少女を売る」)グロはともかく余りの胸糞と不快さで、読むのをやめようと思った。思ったのだけど、どうしても気になってしまって読了。

    「正直者の島」を読み終えて、全て必要なパーツ、伏線だったのだと理解も納得もできる。それでも胸糞と不快が解消されるわけでもないので、これは本当に人を選ぶし、読むタイミングも選ぶなと思った。
    面白かったよ!面白かったけどね!!

    解説の方の言葉が本当に的を得ていた。

    “喩えるならば本作は、なぜか奇怪な像が入り口に所狭しと並べられている日本料理店である。~省略~もしかすると出迎えた店長が血まみれの鉈を手に持っていてぎょっとするかもしれない。ただし、それは客を襲うための凶器ではなく、食材解体用の道具である。”
    『でも、食材解体中の血やら肉片やらがお客様の顔に飛び散って貼りついて、こびりつくかもしれませんが、美味しい料理が待っています』
    を付け足したい。

  • 初めてこんなに現実世界とかけ離れてるけどかけ離れてないところで起こる話を読んだ。
    結局、誰が誰で何がどうなったのか、考えれば考えるほどわからんくなる

  • 「名探偵のはらわた」も出たことだし、過去作も読んでみようと購入。
    正直、グロが苦手な身としてはかなり辛い部分があった。「そして誰も死ななかった」はマイルドな方だという感想をちらほらみかけたが、確かにこの作品にくらべれば読みやすかった。
    パズラー要素強めで多重推理も魅力的なのに、その面白さが自分の中ではグロと相殺されてしまった印象だった。にしても、タイトルに東京と入っているのはなぜなのだろう?

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著者プロフィール

1990年、千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。『人間の顔は食べづらい』が第34回横溝正史ミステリ大賞の最終候補作となり、同作で2014年にデビュー。『東京結合人間』が第69回日本推理作家協会賞候補、『おやすみ人面瘡』が第17回本格ミステリ大賞候補となる。『名探偵のはらわた』は「2021本格ミステリ・ベスト10」で第3位。他の著作に『少女を殺す100の方法』『お前の彼女は二階で茹で死に』『そして誰も死ななかった』『ミステリー・オーバードーズ』『死体の汁を啜れ』がある。衝撃的な作品で読者の度肝を抜く、気鋭の本格ミステリ作家。

「2022年 『お前の彼女は二階で茹で死に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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