- Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041071014
作品紹介・あらすじ
結婚十年で離婚し、老父母の暮らす実家に戻った香子。フードコーディネーターとしての新たな人生を歩み出した矢先、母・琴子に認知症の症状が現れはじめる。弟夫婦は頼りにならず、仕事と介護を両立させようと覚悟を決めるが……。
年とともに変わりゆく親子の関係を、ユーモアと人情たっぷりに描き出す!
感想・レビュー・書評
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あまりにもリアル過ぎて、ちょっと辛かった。
…ううん、違うね。
私、こんなにちゃんと、母と向き合っていなかったから、辛かったんだね。
今、施設にいる母は、気の強い娘と離れて、穏やかに過ごしています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【美味しい小説】
家族への愛がギューっと詰まったお母さんのレシピがたくさん出てきます。
離婚して実家に戻った香子(こうこ)がフードコーディネーターとして駆け出し始めた頃に、琴子お母さんに認知症が出始めます。
お父さんが急死して、2人暮らしの中、段々と惚けていく母親に戸惑い、認めたくない気持ちがつい、強い口調になってしまい自己嫌悪に陥る繰り返し。
母親が惚けていくのが怖くて、大丈夫だと思いたくて、必死で1人で抱え込んでしまう香子の心情は、今の介護問題や独身の子供への負荷が伝わってきて、読んでいる自分と無関係ではない事で、とてもハラハラします。
でも、レシピ依頼があった事で引っ張り出した母親の料理ノートは、家族への愛情と、何よりも作る本人が本当に料理を好きで考えた事が伝わってくるのが素敵です。
トマト缶に牛乳を足すとか、ホワイトソースにレモンを足したゴハンとか、簡単だけどひと手間で美味しくなるレシピが文中で出てきて、真似したくなります。
終盤では、頑張りすぎな香子のことを支える周りの人々と、何より娘の事だけは誰よりも理解していた琴子お母さんとの触れ合いが感動的。やっぱり母親の愛って深い!とじんわりします。
親の認知症や介護、モラハラ夫との離婚などの負のテーマが盛り込まれてるのに、美味しい料理やレシピが要所で出てくることで、食欲増しになる楽しい小説でした。 -
自分と重なりました。そうそうと答えあわせのようです。
終わりはなく続いていくのが介護。
心を整えられる本でした。 -
亡き父の認知症の日々を思い出し、軽い認知症が始まったかの83歳の母の行く末を思いながら、阿川さんのユーモアと、アリアリのセリフに笑いつつ、涙で読み終わりました。
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後半大号泣でした…
でてくるお母さんの、可愛らしいところが
なんだかとっても重なって…
頑張るし頑張れるし面白いけど
心はきちんと辛いし寂しい -
主人公と自分の境遇がもろに合致していたので
感情移入が半端なく一気に読めた。
介護という内容にもかかわらず、深刻な空気感がなく
て妙に軽快な母娘の会話が心地よく楽しめた。
これから訪れるであろう我が家の将来像の
希望 理想となる小説であった。 -
お母さんの介護から書かれた本なのかな?
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40代で離婚し駐在員の妻からフードコーディネーターになった香子(こーこ)と、アルツハイマー型認知症を発症した母、琴子(ことこ)のお話。実生活でお母様の介護をなさっている阿川さんが書いたということで、さすがの描写がそこここに。短期記憶がもたないけれどその時や相手によって調子は変わるし、パッとすぐ忘れちゃうかと思えば覚えていたり思い出したりいろいろなので、家族が感情的にも物理的にも振り回される有り様が目に見えるようでした。元夫との離婚に至るイザコザや衝突、弟夫婦とのすれ違いとストレスもリアルで読んでいて少ししんどくなる感じでしたが、それでも全体のトーンは暖かく、救いもあるので大丈夫。
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認知症の母とフードコーディネーターの娘。
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介護の問題にユーモアを交えながら重くなりすぎないお話に仕上げている辺りさすが阿川節。物忘れが進行していってしまう現実、お仕事の軋轢や家族間のいざこざも盛り込んで阿川さん本人の実体験もかなり含まれているのではと。
だからこそ余計に現実離れしていない身近な問題として胸に迫るものがあったのだろう。近い将来の自分と重ね合わせたりして苦しい読書になってしまったのが残念。