霊長類 南へ (角川文庫)

  • KADOKAWA
3.57
  • (2)
  • (7)
  • (3)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 102
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041071403

作品紹介・あらすじ

毎読新聞の記者澱口は、恋人の珠子をベッドに押し倒していた。珠子が笑った。「どうしたのよ、世界の終りがくるわけでもあるまいし」その頃、合衆国大統領は青くなっていた。日本と韓国の基地に原爆が落ちたのだ。大統領はホットラインに手を伸ばした。だが遅かった。原爆はソ連にも落ち、それをアメリカの攻撃と思ったソ連はすでにミサイルを発射していた。ホテルを出た澱口と珠子は、凄まじい混乱を第三京浜に見た。破滅を知った人類のとめどもない暴走が始ったのだ。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 銀座4丁目ではじまって銀座4丁目で終わるのがオシャレだなあ。
    不謹慎と一括りにしていいかわからないけど、主人公がクソヤンキーの集団を撃ち殺していくシーンに胸がスカッとする。
    「人類にはたして人間らしさというものがあったときがあったのかわからない」。薄氷の上のヒューマニズム。その中で、日常では退廃と狂気の人でしかなかった野依のような人物の芯の強さが見えるのが胸熱。
    主人公のようにハードボイルドに、野依のように潔白に終わりを迎えたいと思いつつ、結局は亀の井のよう自意識の中で死んでいくことになるのかもしれないという恐怖とどろっとした諦念。
    「人間らしい」とはどのような状態か?
    人を押し除けて助かろうとする浅ましさもあるいは人間らしさなのかもしれない。
    でも自分はやはり、薄氷の上であることを理解しつつも、理性的な個人的信仰と倒錯を貫いて死んでいきたい。愛とか、人情とかそういうものの中で。
    作中で紹介されてたネヴィルシュートの渚へも気になる。

  • くだらない理由でミサイルが誤射されたことから始まる世界滅亡の物語。

    容赦なくグロく死んで行く人々の描写は、そこまで気持ち悪くはないけどまぁ悪趣味(褒めてます)

    時代が違うから……とは思うものの澱口の婚約者の扱いひどいな、とかモヤモヤする。

    核戦争後の世界で最後に生き残るのはまぁ、そいつで合ってますよね、という感じ。

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

筒井康隆……作家、俳優。1934(昭和9)年、大阪市生まれ。同志社大学卒。1960年、弟3人とSF同人誌〈NULL〉を創刊。この雑誌が江戸川乱歩に認められ「お助け」が〈宝石〉に転載される。1965年、処女作品集『東海道戦争』を刊行。1981年、『虚人たち』で泉鏡花文学賞、1987年、『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、1989(平成元)年、「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、1992年、『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。1997年、パゾリーニ賞受賞。他に『家族八景』『邪眼鳥』『敵』『銀齢の果て』『ダンシング・ヴァニティ』など著書多数。1996年12月、3年3カ月に及んだ断筆を解除。2000年、『わたしのグランパ』で読売文学賞を受賞。

「2024年 『三丁目が戦争です』 で使われていた紹介文から引用しています。」

筒井康隆の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×