新訳 お気に召すまま Shakespeare Collection (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041071878

作品紹介・あらすじ

宮廷から追放され、男装して森に逃げこんだ元公爵の娘ロザリンド。互いに一目惚れした貴族の青年オーランドーと森で再会するも、目下男の身。正体を明かさないままオーランドーの恋の相談に乗ることに。
「結婚したらどれほど長く奥さんを大切にするの?」
「永遠に。一日一日」
「〈永遠に〉は省いて、〈一日〉とだけお言いなさい」
永遠不滅な恋の駆け引きを描くシェイクスピア喜劇の代表作。軽妙洒脱な会話が生き生きと蘇る新訳版!

感想・レビュー・書評

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  • 図書館。以前この作品を元にした演劇を見たことがあったので、原作が気になって。
    「マクベス」を先に読んで、戯曲式の本に慣れていたからか、はたまた訳者の能力か、悲劇でないのが良かったのか、とても読みやすかった。また言葉遊びや注釈もわかりやすかった。

  •  “All the world's a stage. And all the men and women merely players." でお馴染みの、シェイクスピアの、最後は大団円で終わるドタバタ恋愛劇。
     登場人物は他のシェイクスピア劇に比べても特別多いという訳でもないけど、やっぱり一生懸命読まないとゴチャゴチャして分からなくなる。始めに河合先生の『あらすじで読むシェイクスピア全作品』であらすじや登場人物の関係なんかを予習してから読んだ。
     うーん、河合先生の訳はびっくりするくらい面白いし、もうこれを台本にして今すぐ芝居を始めようという気にすらさせられるが、話自体はそんなに…。おれが恋愛モノ苦手だからだろうけど…。
     印象的であったところのメモ。まず女性同士がめちゃくちゃ親密にやり取りをするというところにちょっとどぎまぎしてしまうが、この点は「訳者あとがき」にも書かれている通り、「当時はシーツを容易に洗えないという事情もあって、同性で同衾するということはよくあり、(略)同性間の親密性が文化的に支えられていた。」(p.147)ということらしい。それからやっぱり名台詞の「この世はすべて舞台」(p.60)は来た来た、と思うのだけど、まったくその前後を知らないというか、その前の部分、「見ろ、不幸せなのは、我らに限ったことではない。この広大な劇場では我らが演じている場面より遥かに悲惨な芝居が演じられているのだ。」(同)という公爵兄の台詞の方が、スッと頭に入って来る感じがした。
     あとは河合先生の訳がすごい。元の文の解説もされているところがあって、よくこんな訳思いつくなあとしみじみ思いながら読む。あんまり言うとネタバレになっちゃうので、2つだけ気に入ったやつを。「その木にボケナスを、つまり、おまえを接ぎ木しようか。それからミカンでも接ぎ木しよう。おまえの言うことは無ミカン燥だから。」(p.71)、「前世はネズミで、しょっチュー歌われてたのかもしれないけど、よく覚えてないのでありマウス。」(p.74)。それから原文で韻を踏んでいるところはちゃんと印がついていて分かるようになっており、訳も韻を踏ませている。これもたっくさん秀逸なのがあるけど、1つだけ。「おいで、オードリー。結婚したらやり放題だよ、裸おーどり。」(p.87)。ちなみにここは注釈によれば「Audreyとbawdry(猥褻)で押韻している。」(同)らしい。すごい。裸おーどり。だって。
     あとは関係ないところで、「ディンガディンガディング」(p.130)といって歌うところがあるが、カーペンターズのYesterday Once MoreのEvery Shing-a-ling-a-lingというのを思い出した。わりと古くからある擬音?なのだろうか。
     下の注を読むのも面白い。「シェイクスピアより先に大活躍していた劇作家クリストファー・マーロウが、一五九三年五月三十日午後六時、ロンドン郊外デットフォードにある小さな居酒屋で、勘定書きをめぐるケンカがもとで刺殺されたことへの言及か。」(p.84)ということがあったらしい。「エリザベス朝時代、舞台上に藺草を敷きつめることがあった。殺人の場面などで血しぶきを飛ばしたあと、藺草をのけてすぐ舞台にできた。」(p.92)なるほど。イグサを使っていた、なんて意外。あとは最後のシーン。「シェイクスピアの喜劇には(略)大団円から立ち去る人物たちがいる。Kill-joyと呼ばれる彼らの存在は、浮かれ騒ぎが一時的なものでしかないことを明確にする。」(p.141)なんて、実生活でもこういうkill-joyみたいな人いるよなあ、おれもその気があるんだけど…。
     という感じで、薄さに騙されずに、もっと気合を入れて読めばもっと楽しめる話だろう、と思った。逆に言うとやっぱりシェイクスピア作品はダラダラしながら読む話ではなかった…。(21/01)

  • 2021/2/22

    舞台が宮殿から森へ、登場人物が各所にバラけるのに最終的に結婚という形で一同が集結。無秩序から秩序への運動を見ているよう。

    それと、例のごとく恋に関する金言多し。シェイクスピアの戯曲は内容はもちろんのこと、その中から普遍的真理を語る部分を発掘する面白さもある。恋愛する前にシェイクスピアを読み込んだ人は恋心に惑わされることなく、自身を客観視できる力を備えてそう。

    最後に、旅人への一言。
    「見聞を深めても懐が寂しくなれば、目は肥えても手は貧しい」

  • 2018/12/24読了。
    初めてのシェイクスピアの作品。
    戯曲そのままセリフの応酬。
    自分の未熟さもあり、よく理解できなかった。

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著者プロフィール

1564-1616。イギリスの劇作家・詩人。悲劇喜劇史劇をふくむ36編の脚本と154編からなる14行詩(ソネット)を書いた。その作品の言語的豊かさ、演劇的世界観・人間像は現代においてもなお、魅力を放ち続けている。

「2019年 『ヘンリー五世 シェイクスピア全集30巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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