ぼくは数式で宇宙の美しさを伝えたい (角川文庫)

制作 : 永峯 涼 
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 116
レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041071885

作品紹介・あらすじ

生後16ヶ月で自閉症と診断された息子ジェイコブ。けれど特殊教育は本当に彼のため? もっと人生を楽しんでほしいと、自ら保育所を立ち上げた母キャサリン。やがてジェイコブの才能が開花し奇跡を起こす。

感想・レビュー・書評

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  • 読み終えて、原題が「the spark(きらめき)」だということに気づき、感動が更に深まった。

    著者は本の中で、
    「自閉症の子供をもつ両親の多くは、ただでさえ、経験してみなければ絶対にわからない苦しみを背負って毎日を生きている」と述べている。
    本当に、その通りだと思う。
    本の冒頭で、まだ生まれて間もない息子の症状と向き合うどの場面も、戸惑いと悲しみに溢れていた。でも、どれだけ丁寧に説明できたとしても、言葉で表すことができるのは著者の感情の一部でしかないと思う。本当は言葉で書き記せないほどの、容易にはわかり合えないほどの、深い深い悲しみと、不安と、絶望と、迷いと…いろんな感情があっただろうと思う。

    だけど、そのなかで著者は息子の中にあるきらめきを見た。そのきらめきこそが、息子を、息子だけの世界から連れ戻すものであると信じた。
    そのために息子にとって大切なのは、息子が自分らしくいられる場所を作ってあげること、そして、子供らしい時間をすごすこと。
    どちらも時に大きな困難を伴うことだということは、この本を読んでいてよくわかった。でも著者は「子供のために闘うのは、愛しているからこそできること。子供のために闘おうという意志こそが、私たちを親にしてくれる。」と語っている。
    物語を通して著者の強さや逞しさはどこから湧いてくるのだろうと不思議だったけど、きっとどこまでも一途に、息子を見つめ続けてきたことが著者の力になったのかなあ。

    物語の終盤、9才の息子の驚異的な能力を周囲も理解し、偉大な業績を残してもなお、著者は「私にとって何よりも奇跡なのは、自閉症の息子が、自分にしか見つけられない四つ葉のクローバーでブーケをつくり、私を元気づけようとしてくれたこと」と述べていたが、これには本当に胸が熱くなった。
    障害があってもなくても、どこまでも、人と人が向き合うことが大切なんだと思わせてくれた。

    • tsukiyomi777さん
      mariさん、はじめまして!
      コメントとフォロー、ありがとうございます(*^^)
      >どんな人にとっても、本来のその人らしくいられること...
      mariさん、はじめまして!
      コメントとフォロー、ありがとうございます(*^^)
      >どんな人にとっても、本来のその人らしくいられることがその命を輝かせることに つながる

      おっしゃるとおりだと思います。
      自分のことや周囲の大切な人のことを見直すきっかけになりました。

      先ほどMariさんの本棚にお邪魔したのですが、「しあわせの本棚」って素敵ですね(^^)
      蜜蜂と遠雷のレビューを拝見して、私も読みたくなりました。音楽に疎くてこれまで手に取らなかったのですが、今とても魅力的に感じています(^^)今度読んでみたいと思います!
      これからもよろしくお願いいたします(*^^*)
      2019/03/13
  • 2歳で重度の自閉症と診断され、読み書きはおろか自分で靴紐も結べるようにはならないだろうと言われていたジェイコブ ・バーネットは、9歳で大学に入学し、いつかはノーベル賞も夢ではないと言われている

    この本は、ジェイコブの母親クリスティン・バーネットによる自叙伝である

    絶望の淵に立たされた彼女がひたすら息子の可能性を信じ、試行錯誤をを繰り返しながら息子を取り戻す様子が生き生きと描かれている
    時に公教育を厳しく批判しながらも、自分の直感を信じ希望を捨てるのではなく、探し求める道を選択したクリスティン

    それは、できないことを訓練してできるようにするのではなく、その子の才能を引き伸ばすこと、親が子供の好きなこと・打ち込めるものを真摯に受け止め、シェアすることだ
    常に、ジェイコブがジェイコブでいられる場所を求めている姿には感動した

    彼女の素晴らしいところは、その情熱と愛情が3人の息子にだけ注がれるのではなく、経営している保育所の園児や月1回開催しているリトル・ライトに集まってくる自閉症児たちにも惜しみなく注がれているところだ

    9歳で大学に入学し、天才児として雑誌や新聞・TVで取り上げられるようになっても、彼女のスタンスは、揺るぎなかった

    私がジェイクの驚くべき能力に圧倒され、それに酔ってしまっていたら、私は彼にとって良い母親にはなれなかったと思うのです
    わたしの行動指針はたった二つーージェイクが好きなことをやれるようにすること、普通の子供らしい生活を送れるようにすること、それだけです

    あとがきで著者は言っている
    「彼は何だってできますよ」とジェイコブの物理学の教授が言っているのに対して
    わたしが息子の先生たちに望んでいたのは、このような可能性を示してくれることでした
    それはすべての先生や親にも子供だけでなく、自分自身にも当てはまることです

    まさしく家庭や学校現場の基本に据えられなければならないことだと思う



  • 9歳で大学に入学し、将来のノーベル賞候補と言われる、天才少年ジェイコブ・バーネット。
    アスペルガー症候群の彼をどのように育てたのか?
    母親による自叙伝。

    読み応えがあった。

    我が子が自閉症と診断された、親の衝撃は想像がつく。
    だからこそ、ものごとがいい方向へすすむたび、ともに感動し、泣けてしまう。

    我が子だけでなく、運営する保育所を通して、すべての子どもの可能性=Sparkを信じ、伸ばしていくクリスティン。
    限界を決め、矯正を主眼とする公的支援や教育に従わず、自力でなんとかするその行動力と信念がすごい。

    しかも長男の自閉症だけでも大変なのに、追い打ちをかけるようにさまざまな問題が襲いかかる。
    それでも負けないタフさに脱帽。

    意見が対立することがあっても、ともに支え合う夫マイケルも素敵。

    前向きな力をもらえる1冊。

  • 面白かった。面白いだけでなく、人間にとって、とても重要な事のヒントが書かれているような気がして、本を読むのを止めることが出来なかった。

    2歳で重度の自閉症と診断され、文字を理解することも話すことも永遠に出来ないだろうと言われた子供ジェイク。

    しかしジェイクは、両親の並外れた教育方針と努力によって天才的才能を開花させ、10歳で大学に入学し12歳で物理学の研究者となり、近い未来にノーベル賞を取るだろうと言われるまでになった。そのストーリーはそれだけで興味をそそる。この本は、その全ての過程を母親自らが書き記したもの。

    すごいと思ったのは、著者である母クリスの観察力と、そして行動力、決断力、バイタリティー。

    彼女は始め、自閉症児に対する公的な支援やセラピーを受けたが、専門家達が決めたその方針が本当に息子にとって良い結果をもたらしているのか、息子は本当は何をしたいと思っているのかをしっかりと観察していた。
    話すことも行動で示すことも出来ない息子の小さな小さなサインをクリスは見逃さなかった。

    セラピスト達は自閉症児の、"出来ないこと"を出来るようにする訓練ばかりを行っていることに気づいたクリスは、息子の"出来ないこと"ではなく"出来ること"に目を向け、息子の可能性を決め付けることなく、好きなことを好きなだけやれる環境を与え続けた。

    出来ることを伸ばし、やりたい事を思う存分やらせてあげると、他の"出来なかった"社会的行動も出来るようになることにも気づく。

    基本的にこの方針で、ジェイクは自閉症の中に閉じこもってしまうことなく、社会生活を送れるようになった。

    そして、自分の子どもが自閉症というだけでも大変なのに、自ら保育所を運営し、さらに自閉症児のためのスクールも開いて、同じように困っている人達に手を差し伸べた。クリスの考え方、やり方は他の自閉症の子供達にも驚くべき効果をもたらした。このようにして、自閉症児の親を含めたコミュニティを作り、みんなで支え合って強くなった。

    天才児であるジェイクは勿論だけれど、このお母さんもこんなにすごい人が本当にいるの?と思うほど、頭が良くて慈悲の心に溢れている。

    どこにも正しい治療法や教育法が示されていない道なき道を、自らの観察眼と家族の愛で切り開き、その道の専門家がノーと言うことも、正しいと思えば突き進んだ。専門家達が間違えていたと言うことを証明するには、結果しかない。そして、クリスはジェイクという天才を育て上げるという最高の結果でそのやり方が正しかったということを、結果的に世界に示した。

    この奇跡のような話の中には、私たちがジェイク程天才でなくても、自閉症でなくても、学ぶことが出来る大切なことが散りばめられていた。生きることに困った時、子どもを育てることに困った時など、折に触れて読み返したいような本だった。
     

  • 我々は自分の物差しで物事を測ってしまいがちだ。我が子が「自閉症」と客観的に診断され医学的には「文字を読むことさえ難しい」と医者に言われたらどうするだろう?諦めてなすがままにする?出来る限りの治療をする?本書では母クリスティンはどちらも選ばなかった。

    常識を疑い我が子を信じたクリスティンは、その行動力と信念を持って見事ジェイクの能力を開花させた!12歳の小さな宇宙物理学者。既に将来のノーベル物理学賞候補の呼び声も高い。母の素晴らしさもさることながら、それと同等に当時9歳の子供の理論を一笑に付すことなく真摯に向き合ってその頭脳を認めた教授たちにも称賛を送りたい。

    好きなことを伸ばす、子供時代を大切にする。当たり前のことだが、自閉症治療では当たり前ではないこと。天才かもしれないし天才でないかもしれない、でも子供の気持ちを尊重し大切にしたい、そういう親としての姿勢をクリスティンとマイケルから学ばされた。

    ジェイクが人類史上名を遺すほどの天才だったから出来たこと。普通の自閉症患者には当てはまらない。変な希望は与えないでほしい。もしかするとそのとおりで、これはたまたまだだったのかもしれない。でも実際に起こったということは発生確率はゼロではなく、ゼロではないということはまた起こるということだ。奇跡も何度か起これば常識になるのである。

  •  幼くして自閉症と診断され、16歳でくつひもが結べたらラッキーだといわれた子ども。しかし、その母親はあきらめずにその子どもを観察して熱意をもって育てた。その結果、その子がもつ数学、宇宙理論に関する高い能力が開花する・・・。この本は、その母親の手記。
     読んでいて心打たれたのは、この母親がこの子だけではなく、人間全体に対して非常に暖かいまなざしをもっていること。下手すれば、子どものサクセスストーリーに終始してしまいそうな要素がたくさんあるんだけど、そういうところが鼻につかずに温かい気持ちになれたのは、それが大きいと思います。オビの情報によると、映画化されるらしいですが、この母親のまなざしをしっかりと軸に据えた映画にしてもらえたらいいなあと思うところです。【2019年3月16日読了】

  • 出来ないことでなく、出来ることに注目する
    楽しい経験に満ちた毎日
    人生とは五感を通じた経験の積み重ね

    なんていろんな子供がいて、可能性があるんだろう。

    親としての行動指針
    ジェイクが好きなことができるようにすること
    子供らしい生活を送れるようにすること

    2019.11.4

  • 9歳で大学に入学、そんな天才児がアメリカに。
    彼は2歳の時に重度の自閉症と診断される。
    彼はもう字を読めるようにはならないと言われてしまうけれど、
    母親は彼を取り戻すために奮闘し続ける。
    そう、天才児になったジェイクも凄いけど、彼の興味のある事を伸ばしていこうと信じ続け努力し続けた母親が素晴らしい。
    保育所も運営しながら、同じように自閉症の子をもつ家族の為にお金も取らずに家に招き入れ面倒をみてあげたり。
    もちろん協力するご主人も素晴らしい。
    こういう両親だったからこそ、もしかしたら埋もれてしまっていたかもしれないジェイクの才能が開花されたんだと思う。

    大学も研究者も認めた彼の才能はこの先どうなるのか興味深い。

  • 面白かった!自分を信じることが前に進む強さをくれる。自分は何で周りの人が当たり前に出来てることが出来ないんだろう、と悩むことがあるけれど、それはそれで良いんだ、と肩の力が抜けた気がする。

  • 本当に素敵な本だった
    自分に子供が産まれたら才能をとことん伸ばしてあげたい
    私自身もまだまだ頑張れそうな気がした

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著者プロフィール

クリスティン・バーネット(Kristine Barnett)
アメリカ・インディアナ州在住。1996年に地元向けの保育所「エイコーン・ヒル・アカデミー」を立ち上げた。現在は自閉症及び特別な支援が必要な子どもとその家族のためのコミュニティ・センター「ジェイコブズ・プレイス」を夫マイケルとともに運営している。物理・数学に天才的才能を持つ自閉症の息子について書いた本、『ぼくは数式で宇宙の美しさを伝えたい』を刊行。

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