- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041071885
感想・レビュー・書評
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9歳で大学に入学、そんな天才児がアメリカに。
彼は2歳の時に重度の自閉症と診断される。
彼はもう字を読めるようにはならないと言われてしまうけれど、
母親は彼を取り戻すために奮闘し続ける。
そう、天才児になったジェイクも凄いけど、彼の興味のある事を伸ばしていこうと信じ続け努力し続けた母親が素晴らしい。
保育所も運営しながら、同じように自閉症の子をもつ家族の為にお金も取らずに家に招き入れ面倒をみてあげたり。
もちろん協力するご主人も素晴らしい。
こういう両親だったからこそ、もしかしたら埋もれてしまっていたかもしれないジェイクの才能が開花されたんだと思う。
大学も研究者も認めた彼の才能はこの先どうなるのか興味深い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
両親がめちゃくちゃ凄い!!
こんなご家庭に産まれれたことが奇跡なんやろなぁ。
ジェイクはこのご両親の元に行けたから才能が爆発したんやろなぁ…
私も興味のあるものにもっと深く触れてみようと思った。
色んな人の色んな多様性を受け入れる世界がもっと広がりますよぉに。 -
原題 THE SPARK
自分だけの世界に閉じこもっていく——自閉症。
ジェイクの天才性に目がいきがちですが、母親クリスが願ったのは、ジェイクと同年代の子供たちが経験するであろう、幸せな子供時代でした。
友達と一緒に遊び、学び、恋をする。ジェイクにはそれができない、と診断されてからのクリスとマイクの長年に渡る夫婦の奮闘記です。
そもそも自閉症は先天性の特質であるために薬で治せない。主に教育プログラムで〝矯正〟していく(「療育」というらしいです)しかないんですが、それがジェイクにはストレスでしかない。
ここで、独自の判断でプログラムを諦め、「ジェイクのやりたいことをやらせてあげよう」と方向転換したクリスがすごい。
賭けですね…それもものすごい苦労を伴う。ちょっと決断できない。実際マイクは反対してましたし。「ジェイクにとって何がいちばん良いか」を考えた末の直感ということでしたが…クリスが「町のアーミッシュ」であったことも背景にあるのかも知んない。
アーミッシュについても、いつか関する本を読んでみたいな。
ジェイクの有名なスピーチ「Forget What You Know」も聞いてみたい。
こうやって、新しく知りたいことが出てくるのも、読書のいいとこですねー。 -
本書は、米国の自閉症の宇宙物理学者であるジェイコブ・バーネット(現在20歳)の成長を、母親のクリスティン・バーネットが記録したノンフィクションである。2014年に邦訳が発刊され、2018年に文庫化された。
ジェイコブは、米国インディアナ州に生まれ、2歳で自閉症と診断されるが、母クリスティンの信念に基づいた子育てにより、その天才的な能力を開花させ、9歳で大学に入り、現在、スティーヴン・ホーキングも所属した物理学のメッカ、カナダのペリメーター研究所大学院で学んでいる。アインシュタインを上回るIQ170を持ち、近い将来ノーベル賞を受賞するとも言われ、また、アインシュタインの相対性理論を反証するだろうとの噂もある。
本書の主人公は確かに、アインシュタインをも超えるといわれるジェイコブであり、印象に残るのは彼の誕生から10代前半までの驚くような成長(才能の発揮と社会性の獲得の両面における)であるが、本書のもう一人の主人公は間違いなく母親のクリスティンであり、彼女の、揺るぎない信念、驚くべき行動力、家族・仲間に対する深い愛情、更に、夫マイケルとの信頼関係によって、自閉症のジェイコブがその才能を開花させていく過程はとても実話とは思えないものである。そうした意味で、本書は類まれな母と子の(更には、家族の)、感動的な物語なのである。
更に、本書は、自閉症の子供たちから離れても、我々にとても大切なことを教えてくれている。それは、「好きなことを伸ばすことの大切さ」である。自閉症の子供たちの社会性の獲得に役立つことが、自閉症ではない子供たち、更には大人に対してさえも、人間としての様々な面の成長・向上にプラスであることに疑いはないだろう。
クリスティンと共に、ときに悲しみ、ときに驚き、ときに喜びながら、爽やか、かつ前向きになれる読後感を得られる一冊である。
(2018年11月了)