- 本 ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041072011
作品紹介・あらすじ
斬新なトリックで選考委員のミステリ心を奮い立たせた、本格青春推理小説が、ついに文庫化!
〈単行本刊行時帯コメントより〉
かつて、あの北村薫さんと、この綾辻がともにエールを送った問題作――『夕暮れ密室』。それがこのたび、全面的な改稿を経て、折り目正しい学園本格ミステリとして完成した。まことに“嬉しい”事件である。――綾辻行人
「密室テーマの夕暮れの時代」に、敢然と白昼の光を取り戻そうとしている。その心意気がよい。至難ともいうべき「密室」の扱いに成功。それは、上品な手品師の指使いを見るようで、まことに美しい。――北村薫
感想・レビュー・書評
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サラッと読めて楽しめた
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高校最後の文化祭、1人の生徒が謎の死を遂げる。様々な人物からの視点で、密室事件の謎に迫っていく構成。久保田の奇蹟と銘打った推理パートもあり、最終章に一層期待が高まったが、肝心のトリックは必然性を感じないし、動機も中途半端で、何を描きたかったのか伝わらなかった。横溝正史ミステリ大賞系は、第21回受賞作も合わなかったし、自分向きでないかもしれない。
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高校生が密室と思われるシャワールームで亡くなっていた。
自殺か他殺か?
学園祭の前夜、校舎内でなにかトラブルが?
まぁ犯人は、物語のかなり早い段階でわかりますが、密室やなぜ死なせる事になったのかは、わかりません。
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文化祭当日、扉の開かないシャワールーム内で女生徒が死んでいるのが見つかった。元男子バレーボール部マネージャー、素直で前向きで男子生徒の憧れの的だった彼女が何故そんな日にそんな場所で死ぬ事になったのか、クラスメイト達はそれぞれの疑問を追及し始める。
進路の悩みに秘めた恋と微妙な友情、それ故にすれ違った彼らの様子が少しずつ浮かび上がってきて、痛々しくもどこか懐かしくて切ない気分にさせられる。
密室の構造や作り方も、犯人にたどり着くまでの推理も無理がなく分かりやすくて論理的。
上質なトリックと学生特有の短絡的だったり身勝手だったりする青さを詰め込んだ学園群像ミステリー。
面白かったけど、そこそこ大きい学校や店舗があるっぽいのに携帯の電波が殆ど通じない町というのは実在するんだろうか…。 -
青春ミステリ。
舞台は田舎の高校。バレー部マネージャーで男子生徒の憧れの存在である森下栞の死は、不自然な点を残しつつも密室と遺書により自殺の線で捜査されかける。バレー部の仲間や親友、クラスメイト達は疑念を抱き、独自に捜査や推理を始める。
終始痛みを伴う悲壮の物語だが、その中にどこか青春の爽やかさやもどかしさ、淡さや熱さを感じる。各章ごとに語り手が変わり、各々の想いが交錯し、構築されては否定される推理の積み重ねが徐々に真相に迫る。
終章にかけて全てのピースが揃い、導かれる唯一のロジックは本格のそれで、全編が無駄なく計算され尽くしていることに気づく。
途中の「奇蹟」の推理には笑ってしまうのだが、個人的には大好き。ラストシーンも好みだった。
著者プロフィール
村崎友の作品





