ふたりの文化祭 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041072028

作品紹介・あらすじ

部活の命運をかけ、文化祭に向けて九條潤は張り切っていた。一方、図書委員の八王寺あやは準備の盛り上がりに入れずにいた。そんな二人が一緒にお化け屋敷をやることになり……爽やかでキュートな青春小説!

感想・レビュー・書評

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  • 6月に「きみの傷跡」を読んで、何年か前に読んだ「わたしの恋人」と「ぼくの嘘」に続編?があると知り、読みました。

    なるほど。
    笹川くんや森さん、結城さんは知ってる気がする。

    スクールカーストが絡んでくる高校生の話、自分の高校時代を思い出しつつ読みました。
    あやには結城さんや九條くんとの関係があるから引き上げてもらった感じがする。
    アリサちゃんは一見すると下位レベルのところにいるのだけど、内面が強いから実はそうでもない。
    あやも、勉強ができるから実はそこまで低いところにはいないと思う。
    勉強ができる人が集まる進学校って事だから、そこまで深刻な差別意識はないのだろうけど、話の端々にそういう描写は出てくるし、九條くんの一人称の時は田淵くんに対してそういう上から目線な感じはかなりあからさまに書かれている。(まあ、そうなったのは田淵くんが悪いと思うけど!)

    文化祭の準備でクラスの仲間意識が高まるとかさ、青春ですよねー。
    いいなー。

    田淵くんは最初から最後まで嫌なやつだったけど、九條くんは悪くないってちゃんと誤解が解けてほしい。

    九條くんが結城さんに惹かれたのは、最初は見た目だったけど、他の女の子達みたいに自分に好意を持たなかったから、そういう彼女を振り向かせたいっていう負けず嫌い的な感情からなのかなと思っていた。
    だけど、それだけではなくて、自分のことを勝手に想像して勝手に理想と違った、と冷めていく女の子達と付き合いたくなかったってのもあるんだろう。
    誰でも、自分の本当の姿をクラスメイトに見せているわけではないからね。
    仲の良い友達にだって話せていないこともある。
    上辺だけの付き合いってわけではなくても、どうしても話せないことってあるよなぁと思う。

    そういう距離感をどうとっていくかって、大人になっても難しい。

    自分の高校時代を思い出すと全然楽しくなかったわけではないけど、もっと友達をいっぱい作って部活とか学校行事とか、楽しめたらよかったなぁと思いました。

  • シリーズ名はよくわからないが、青春三部作と言われている三作目
    なので、これで完結なのかね?

    今回は「ぼくの嘘」にも登場していた八王子さんと、新キャラの何でもそつなくこなすイケメン九條くん
    二人は同じ保育園だったけど小学校の頃に八王子さんが転校し、高校でまた同じになった関係
    二人ともシングルマザーの家庭環境で、片やバリキャリでもう一方は元夫とよりを戻すだの戻さないだのとしていて元夫が家に来ているときは外で時間を潰して帰らない八王子さん
    キャラクター的には九條くんは万能キャラのモテ男に対して、八王子さんは三編みメガネの読書陰キャという対比
    とは言うものの、九條くんもそれなりのダークな部分を内面に持つといった感じ

    他にも森さん、結城さん、笹川くんも同じクラスなのでそこそこ出てくるし
    古賀くんも名前はちょいちょい出てくる
    他にもBL好きなアリサちゃんとか何をしたいのかわからないクソ野郎の田淵くんとかね
    視点は二人だけど、総じて青春群像劇になっている

    文化祭というイベントに対する立ち位置
    皆面倒事は避けたいけど、クラスの中での役割や自分の居場所、貢献度、雰囲気等の兼ね合いで変わる人間関係
    これまでの2作は主人公2人の個人が中心の青春もので、今回は集団の中でのというものがより意識される

    今思えば文化祭的なイベントにもっと積極的に参加しておけばよかったなぁと思う反面
    やっぱり面倒事は避けたいという思いの両方があるなぁ
    世の中にはこーゆーのに盛り上がれる人とそうでない人がいるのよ……


    それはそうと、八王子さんに共感する部分が結構ある

    八王子さんへの評価として「自分に欠けているものを他人で埋めようとしない」と言われていて納得
    僕もこの手のタイプなのではなかろうか?
    でもまぁ、それも良し悪しだけどね



    ビブリオバトルのところ
    あんな説明されたら読みたくなっちゃうよなぁ
    やはり、ポイントは興味を惹くオチのある本を選ぶ事と、その意外性の説明かね
    「ふたりはともだち」のシリーズを買いたくなってしまったじゃないか

    あと、アリサちゃんは自分の欲望に素直ですねぇ
    ま、要はあけっぴろげな腐女子ってだけなんだけど
    尻子玉の話をしたいとかっていきなり言い出すあたり、面白い


    このシリーズ、3部作ということになってるけど、続編は本当にもうないのかな?
    アリサちゃんとか原さんとかを主人公にしたものとか行けそうな気がする
    もしくは、意外なところで田淵くん視点で、「実はこんな事情が!」という内容も面白そうだけど ま、これを読む限りは弁解のしようもないなぁ

  • 県内有数の進学校である神丘高校に通う主人公の八王子あやと九条潤は1年1組の同じクラスです。八王子あやは図書委員で大の本好き、三つ編みメガネで地味な存在です。逆に九条潤はスポーツ万能のイケメンでキラキラした存在です。この二人には同じ保育園に通っていたという共通点がありました。そんな二人の高校に文化祭の季節がやってきます。クラスのみんなで怪談を朗読するという企画を立てて準備を進めていきます。文化祭のイベントを通じて、高校生の成長を描く青春の物語です。
    前作の「わたしの恋人」と「ぼくの嘘」を読んでいると、より楽しめると思います。
    お話の中でいろいろな本が紹介されていて、どれも魅力的です!

  • 学生時代の見栄を張ったり同士を探したり家庭に不満があったり、学生時代特有の悩みを持った真面目な文学少女とクラスの人気男子の話。

  •  地味系女子とキラキラ男子なら、『君に届け』みたいな展開かと思いきや全く違うかった。いや、タイトルも表紙もそんな感じじゃないですか・・・。

     

  • (放送原稿より)
    主人公は二人、それぞれの視点から、かわるがわる語られます。
    一人は高1の九條潤(くじょうじゅん)くんはイケメンでスポーツ万能で、よその学校の子からも告白されたりする、人気者。
    なんか読んでるとちょっともやっとおもったりしますけどね。
    もう一人は、同じクラスの図書委員の八王寺あやちゃん。九條くんとは幼馴染なんですが、地味でぶきっちょという設定です。
    あやちゃんが図書委員というところがいいですね。
    お話の中にも、ちょこちょこといろんな小説の小ネタがはさまれていて楽しめます。

    この二人、九條君とあやちゃんがいまいち盛り上がっていないクラスの出し物でお化け屋敷をすることになります。
    となると、二人が急速に接近して最後には…と予想してしまうところですが、さて。

    こういった企画では、意外な人が意外な特技を発揮したり、調子よく他人に仕事を押しつけるような人だとわかったり家族や友達のいいところやしんどいところがわかったりしますよね。

    文化祭のクライマックスでは、なんと、八王子あやちゃん、先輩のピンチヒッターでビブリオババトルに出場します。
    テーマは「伝える」。あやちゃんが選んだ本は、皆さんも知っているあの本です。

    あやちゃんが、本当は出たくなかったビブリオバトルに挑戦した勇気、そしてその勇気に触発されて九條君は、ある行動にでるのです。

    読み終わったあと、登場人物たちが愛おしくなり、またちょっと笑えてさわやかな気持ちになれる本でした。

  • 前2作から間を空けたらダメなやつ。せつな、あおい、笹川、全部忘れてた。その状態だと、感情移入するにはキワな感じのダブル主人公がそれぞれに高校生活を送るだけになってしまう。

  • 藤野恵美さんの青春三部作の三作目。前ニ作のような恋愛話ではなかった。まさに青春小説で、読後感は爽やかです。

  • 恋愛物とかじゃなく、少年少女の成長を描いた青春物。主人公二人がいかにもな高校生で、懐かしいやら可愛いやら。自意識が強過ぎたり、幼過ぎて傲慢だったり、他人との距離感のとり方がへたくそだったりとむず痒い高校生活ですが楽しそうです。

  • なんか、中途半端すぎない?えっこれで終わりっていう感が強いわ。主人公が2人ともまぁ性格悪くてな(笑)。きっとわざとで一皮むけるのがテーマなんだろうけど。だからいまいちのめりこめなかったのはあるなぁ。しかし結構きわどい(-_-;)。

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著者プロフィール

1978年大阪府生まれ。2004年、第2回ジュニア冒険小説大賞を受賞した『ねこまた妖怪伝』でデビュー。児童文学のほか、ミステリーや恋愛小説も執筆する。著書に、「2013年 文庫大賞」(啓文堂大賞 文庫部門)となった『ハルさん』、『初恋料理教室』『おなじ世界のどこかで』『淀川八景』『しあわせなハリネズミ』『涙をなくした君に』、『きみの傷跡』に連なる青春シリーズの『わたしの恋人』『ぼくの嘘』『ふたりの文化祭』などがある。

「2023年 『初恋写真』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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