永遠についての証明

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 151
レビュー : 28
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041072196

作品紹介・あらすじ

特別推薦生として協和大学の数学科にやってきた瞭司と熊沢、そして佐那。眩いばかりの数学的才能を持つ瞭司に惹きつけられるように三人は結びつき、共同研究で画期的な成果を上げる。しかし瞭司の過剰な才能は周囲の人間を巻き込み、関係性を修復不可能なほどに引き裂いてしまう。出会いから17年後、失意のなかで死んだ瞭司の研究ノートを手にした熊沢は、そこに未解決問題「コラッツ予想」の証明と思われる記述を発見する。贖罪の気持ちを抱える熊沢は、ノートに挑むことで再び瞭司と向き合うことを決意するが――。
冲方丁、辻村深月、森見登美彦絶賛! 選考委員の圧倒的な評価を勝ち取った、フロンティア文学賞3年ぶりの受賞作!

感想・レビュー・書評

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  • 第9回野性時代フロンティア文学賞受賞作品。数学で天才的な才能を持つ瞭司。特別推薦で大学に入るが、その才能に周囲は驚きと嫉妬を隠せない。同期の熊沢、佐那とともに難問に挑んでゆくが、天才であることで、本人にその気は無くとも人間関係は歪んでしまう。味方がいなくなり、孤独のまま瞭司は難問の証明を試みるがアルコールに身体を蝕まれ、若くして亡くなる。17年後、熊沢は彼のノートを遺族から受け取り…。
    最初からすぐに引き込まれた。比喩など含め、若さ、みずみずしさ、表現がとても素晴らしい。森の中、星を見るシーンなどその空気を感じました。輝いていました。破滅に向かうところと、瞭司に対しての教授の、特に熊沢の心を対比してよく書けてて、内容も良かったですがその文章に圧倒的にやられました。

  • 読みたくって、図書館にリクエストした本。
    確か、ダ・ヴィンチで 豊﨑さん×大森さんが、『蜜蜂と遠雷』の数学バージョンで面白いと言っているのを見て読みたいと思ったのがはじまり。
    第9回野性時代フロンティア文学賞受賞作。デビュー作。(すごい)

    算数や数学は大の苦手だけど、心配ご無用でぐいぐい読める。
    天才が放つ光というのは数字でたとえるならば素数みたいなものなのかもしれないと感じた。瞭司を見ていて特にそう思った。
    優れた「数覚」を持つ瞭司が追い求めるプルビス理論。
    すれ違いや嫉妬から、瞭司の元から離れていく変わっていってしまう師や仲間たち。新しく就任したそりの合わない上司。孤独に陥ってしまう瞭司の姿に胸がしめつけられた。

    数の概念の拡張の場面とか、もう宇宙空間で読んでいて涙がこぼれた。
    熊沢の妻、聡美が256ページで「何を言っているのか全然わからなかった。だから余計に、何で泣いているのかわからない。でも、何かがうねるみたいな感じがして=以下略=」と言っているけど、まさにそんな感覚でした。

    音楽も数字も目に見えない。その目に見えないもののイメージを掴む、とらえる力を持つ者たちの話が、読者の心を鷲掴みにするのはなぜだろう。やはり自然美とかアート、芸術は神の領域なのかもしれない。その才能を神様から授けられた者たちの物語。

    カドブンの試し読みページ
    https://kadobun.jp/readings/384/3ba39223

    思い出せないんだけど展開が何かにすごく似ている…。

  • 本屋で表紙は見たこと有ったんですが、わけわかんないイケメン兄ちゃんがドヤ顔で写っているわ、妙にキラキラしているのでてっきり自己啓発本めいた小説かなんなんて思ったのでスルーしていました。まさかこんなにいい本だったとは。完全に盲点でありました。
    先日剣道表紙に惹かれて読んだ「夏の陰」が個人的にツボだったので、他も読んでみようと思ったらなんとこのキラキラ表紙。おいおいって思いました。
    数学界を舞台にした青春群像劇なのですが、秀才の悲哀と天才の絶望を両面から書いていてメチャクチャ切ないです。
    自分の突き進むべき道に誰の足跡もついていない快感。そして誰も理解者がいない圧倒的な孤独。天才の影になり嵩む劣等感と妬み。天才の限界を見たと感じた時に湧きおこる醜く昏いよろこび。
    天才と秀才、秀才は天才の才能が得られるのならば悪魔にだって命を売っただろうし、天才は秀才の心が理解できないままにいつまでも一緒に居られると信じた。先駆者の圧倒的な孤独。それを受け止められなかった悔恨が読者にも伝わってきます。
    フェルマーの最終定理も何言ってんだか分からないけどめちゃくちゃ面白かった。これもまた数学なんて全然分からなくて大丈夫。絶対面白いから。
    それにしても数学って人間臭い学問なんだなあって、フェルマーの最終定理の時に思いましたが、これ読むと猶更思います。
    所で結構売れた本だと思うのですが、2作目が剣道って売れ線絶対はずしてる気がします。僕はうれしかったけれど、世間的にはマーケティングの失敗だったりしないのでしょうか。次次回作も期待大。

  •  初めての作家さん。というのも当たり前で、これがデビュー作。本当にこれがデビュー作?と思わせるストーリー構成とその内容に舌を巻いてしまった。

     天才数学家の瞭司は、小学生の頃に数学に目覚めてからは数学にしか興味がなくなってしまった。捲し立てるように数学についてばかり話す瞭司から同級生はみんな離れていってしまう。教師を上回る才能に、やがて教師からも疎ましく思われ、完全に孤立してしまう。
     高校生になった瞭司。瞭司の才能に気付いた先生が、知り合いの大学教授の小沼に瞭司のことを紹介すると、特別推薦生として大学に入学することになる。そこには瞭司の他にも特別推薦生の熊沢と佐那がいて、瞭司は初めて語り合える人と出会うことができ、喜びを感じていた。熊沢と佐那を初め、周りの人たちは瞭司の才能に嫉妬を感じながらも瞭司のことを認めていく。
     やがて瞭司の才能は、教授である小沼までもが嫉妬を抱くようになり、小沼は現役に戻りたいと瞭司から離れていき、佐那や熊沢までもが離れていくことになる。

     数学会を大きく揺さぶる論文を残し、若くして亡くなってしまった瞭司。瞭司を救えなかった後ろめたさを抱えながらその論文を読み解こうとする熊沢。熊沢を通した現在と、瞭司を通した過去の世界が交互に繰り広げられていく。

     数学に関してはチンプンカンプンな私でも大いに楽しむことができた。瞭司が大学生の頃は、やっと瞭司も報われたなあと嬉しく思ったが、その才能ゆえにまたしても瞭司は運命に翻弄されていってしまう。
     これまで辛い思いをしてきたのに、なんでまたこんな思いをしなければならないのかと、暸司の境遇に打ちひしがれた。
    ラスト。やっと、本当にやっと瞭司が報われたんだと、数学を通して瞭司の存在そのものを証明できたんだと胸が熱くなった。それも、一番大切だと思っていた友達の手で。そして、田中からのプレゼントがまた素敵だった。
    3人が出会った頃のような爽やかな風が、心の中で優しく吹いた。

  • 私は高校時代に物理学の国際大会に参加し、自身に満ち溢れていた。しかし、本物の才能を目の当たりにすると、その道を志すことをなんとなく辞めてしまい、自分が諦めた道を自分より才能がある人が進んでいると冷めた目で見てしまう。そんな私と大学入りたての熊沢はよく似てるな感じました。数学は好きだけど、才能のない自分がやったって仕方がない。そんな気持ちが常に頭を過ぎる。
    瞭司はそんな私や熊沢が憧れた天才。この物語は瞭司が遺したノートを熊沢が6年ぶりに取り出してきたところから始まる。そして熊沢視点の現在と、瞭司視点の過去の両視点で物語は進んでいく。全体として、とても上手い構成だと思った。瞭司が何故死んでしまったのか、熊沢は瞭司の遺した「コラッツ予想の証明」を理解することができるのか、物語を進めていけばいくほど気になってどんどんページを進めてしまった。
    個人的には、瞭司の数学の世界に浸る瞬間が好きなシーンだった。狂気を感じるほどの数学者というだけでなく、友達と一緒に数学をやりたいという人間的な瞭司が私にとってはとても魅力的なキャラクターであった。瞭司が数学に没頭する時間に何故か目頭が熱くなってしまった。「寝食を忘れて何かに没頭する」ということの美しさを感じたように思う。
    最後熊沢の、「ミツヤノート」についての講演のシーンで、瞭司の見ていた世界と熊沢の見ていた世界がリンクしたとき、思わず涙してしまった。
    熊沢は瞭司に手を引かれ、数学の世界に身を置くことになるが、私もそんな手を引いてくれる人がいたなら、今は元々好きだった道に迷わず進んでいたかもしれない。
    この小説を読んで私も数学・理論物理の世界に没頭したいと強く感じた。


  • 天才数学者の天才であるが故の幸せと苦しみが伝わってくる。
    周りの人達は力を認めながらも嫉妬心を抱く。
    思いっきり数学に没頭出来る場所、語り合える仲間、そんなものがあっての幸せ、やがて周りから理解されなくなる苦しみ。
    最後の結末には切なさが残る。

  • 野性時代フロンティア文学賞受賞作、ということで読んだ。
    新人賞受賞作? もう中堅の貫禄あるやん、と思った。
    若き数学者の話なんだけど、数学苦手でもおもしろいし、むしろ数学を知りたい気持ちになってくる。人物とその関係性が丁寧に書き込まれていて、誰も悪くないのに少しずつずれていく感じが本当に切ない。
    終盤近くの特別講演のシーンは、謎の感動が込み上げてきて涙が出た。

  • 数学が好きでも得意でなくても、のめりこむように読める一冊です

  • 2018/09/16 072
    久しぶりに没頭して読んだ。今年1、2を争う小説だった。天才数学者とその仲間の物語。1、2を争うのも「蜜蜂と遠雷」で、こちらもピアノ奏者の世界の天才の物語だから、自分の知らない世界のそういうお話に憧れがあるのかもしれない。

  • 読みやすい文体で一気に読み切ることができた。数学にとって取り憑かれた天才故の苦悩が描かれている。数学の知識は全く必要ない。話としてはとても面白いが、登場人物一人一人についての記述がもう少し細かく描かれていてもよかったのではないかと思った。数学を勉強しようと思える一冊だった。

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著者プロフィール

一九八七年生まれ。大阪府出身。北海道大学大学院農学院修了。二〇一八年 「永遠についての証明」で第九回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュ ー。著書に『夏の陰』( KADOKAWA )、 『文身』(祥伝社)がある。

「2020年 『プリズン・ドクター』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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