著者 :
  • KADOKAWA
3.17
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本棚登録 : 108
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041072271

作品紹介・あらすじ

「あなた、ひとですか?」
「ひとのこころ、ありますか?」

ベッド上にひとつの”かたまり”として横たわり続けるきーちゃんと、その思念の涯てなき広がりから、ニッポンに巣くう底知れぬ差別、良識をきどった悪意や”浄化”と排除の衝動を射貫く。
「にんげん」現象の今日的破綻と狂気を正視し、この世に蠢く殺意と愛の相克を活写。実際の障がい者19人殺害事件に想を得た、〈存在と無〉の究極を照らしぬく衝撃の傑作!

感想・レビュー・書評

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  • -2020/07/28
    2016年7月26日未明に起きた相模原知的障害者福祉施設殺傷事件を念頭に置かれた作品。▶︎1〜33章までは、入所者から見た施設の日常を暗く重く特異な言語で表現されており、読み進めるのが辛く難解であった。▶︎33〜37章は、犯行の客観的再現で理解しやすい。▶︎「人間の生きる価値」について熟考させられる作品。▶︎著者は1991年に「自動起床装置」で芥川賞受賞。

  • 前半半分読みづらくて、とにかく辛い読書だった。手を替え品を替え、表現できないものを表現しようとしている気概は感じたのだが… でも、あの事件を何とか文学として取り組んでくれたことに感謝したい気持ち。

  • 読み進めるのにとても労力がいた。
    テーマはわかりやすいのに。
    結局のめり込めずに、何となく読み進めた感じ。
    残念。再読で何か変わるかも。

  • 「にんげんとはなにか。なんどもなんども、かんがえたことがあります……」

    さとくんは、おそらくひとりぼっちで考えつづけてしまった。きびしい介護のなかで疲弊していってしまったのだろうななどと考える。

    身体の外に思うように表せなくたって、身体の中に表現したいものが、"こころ"が、はちきれそうに詰まっているのかもしれない。
    そんなときに試されるのは聴き手の感度だ。
    「あなた、おもいませんよね?」
    と恐喝しながら確認するのではなく、
    言葉にならない表現を感度を上げて受け取ろうとすること。

    まだ現場に出てはいない私のことばを、おまえも綺麗事を言って責任を取らないんだねと、さとくんは一蹴するのだろうか。

  • 何も見えず
    何も話せず
    手足を動かせず
    人の手を借りて生きていく

    耳は聞こえ
    知ること、感じることができ
    考えることができる

    疑似体験だ。

    できることが「ほとんど無い」と我々が思い込んでいるが、
    できることがある。

    知ること、感じることができれば
    「心はありますよね?」

    コミュニケーションにおいて「言語」は一部に過ぎない。
    「非言語」こそが伝えたいこと。
    それを感じることができない人間が
    世の中には思いの外多い。
    そしてそんな人間が世の中を動かしている…

  • きーちゃんが自身の存在を無くしたいと思っている、という設定に、まず、つまづいてしまいます。でも、これは私だ、と思い当たることもあり怖い。

  • 靄に包む、霧に覆う、膜で塞ぐ。常軌を逸し『ドグラ・マグラ』を模したのか。いや、この狂気を装った良識の排除たるやあまりに卑劣だ。言論統制のほどは知れないけれど、いかなる自由を振りかざしても許しがたい。
    追〉やっぱ誤魔化しのレビューじゃ後味悪い。著者の思うままで、本当に許しがたいのは自分自身なのだ。国内では未曾有ともいえる相模原障害者施設での大虐殺。世間を震撼させたものの、犯人の名前を鮮明に記憶しているのか。被害者が健常者、児童や幼児であってもショックな度合いは変わらなかったのか。それをこんなかたちで問いかけてくるかよ。

  • なかなか、物語の世界に
    入り込むことができなかった。
    何度も最初から読み直していくうちに、
    きーちゃんの内面に自分が取り込められていく。
    人間の持っている「こころ」というのは、
    なんだろう。
    傍から見る幸せと不幸の差異はなんだろう。
    障害者という言葉の害という文字が
    よろしくないということで、
    今は障がい者と書く。
    訳知り善人面した人が
    「害はがいだよ。」という、
    そんなことで免罪符を貰えると思うのか。
    ただ、読了後は『愛と幻想のファシズム』を
    再読したくなった。

  • 初読。図書館。重要なワードがあちこちに散りばめられ、どう組み立ててどうつなぎあわせるのかは、読者に委ねられているように感じた。簡単に結論の出ない問題だと逃げだすことはできない。考え続けることを強いてくる辺見さんの覚悟が溢れだす物語だ。生きるに価しないモノになる時が私にももうすぐやってくる。

  • 19/01/18。

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著者プロフィール

1944年宮城県石巻市生まれ。早稲田大学文学部卒。70年、共同通信社入社。北京特派員、ハノイ支局長、編集委員などを経て96年、退社。この間、78年、中国報道で日本新聞協会賞、91年、『自動起床装置』で芥川賞、94年、『もの食う人びと』で講談社ノンフィクション賞受賞。2011年『生首』で中原中也賞、翌年『眼の海』で高見順賞、16年『増補版1★9★3★7』で城山三郎賞を受賞。

「2021年 『月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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