などらきの首 (1) (角川ホラー文庫)

  • KADOKAWA
3.65
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本棚登録 : 1986
感想 : 190
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041073223

作品紹介・あらすじ

【第72回推理作家協会賞短編部門受賞「学校は死の匂い」収録!】

雨の日にだけ、体育館に幽霊が出る――。 小学六年生の美晴は、学校に伝わる心霊めいた噂通りに体育館のキャットウォークから飛び降りる白い少女を目撃する。白い少女の正体は何か、何故彼女は飛び降りるのか。姉・琴子に対抗するため、美晴は真相究明に挑むが!?(受賞作「学校は死の匂い」)

「などらきさんに首取られんぞ」祖父母の住む地域に伝わる“などらき”という化け物。刎ね落とされたその首は洞窟の底に封印され、胴体は首を求めて未だに彷徨っているという。しかし不可能な状況で、首は忽然と消えた。僕は高校の同級生の野崎とともに首消失の謎に挑むが……。 (表題作「などらきの首」)

感想・レビュー・書評

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  • 祓魔師・比嘉姉妹シリーズ第3弾。短編集。
    『ぼぎわん』『ずうのめ』に続くホラーミステリー。時系列的には『ぼぎわん』の前になる。

    真琴、琴子、美晴(!)、野崎などお馴染みの面々が、やはり怪異に遭遇する。

    身の毛もよだつほどの怖さは本作にはないが、短篇だからこその切れ味の鋭さがたまらない。
    とくに気に入ったのは『居酒屋脳髄談義』。
    ラスト、小気味の良い締め方に痺れた。

    本作単独でもじゅうぶん面白いが、やはりシリーズ1作目から読むことで、より楽しめる仕掛けになっている。(あの人達も登場!)

  • 比嘉姉妹シリーズ第3弾!
    はじめての短編集。
    それぞれの活躍を描くんやけど、お化け退治って感じではないな。
    ミステリー要素もたっぷりあって、個人的には好きなシリーズ(まぁ、色んなシリーズ好きなんやけど^^;)
    メインキャラクターの過去とかもあり。
    短編集もほんまのホラーって感じではないのが多い。最後にえっ?ってなる。
    「ゴカイノカイ」なんて、普段良く使ってそうな言葉がほんまになる!という
    発想が凄い。作者やるわ!何に感心してんのか?って気はするけど面白い!
    「居酒屋脳髄談義」も、談義してるお前ら…早く行くとこ行きって感じ。
    ほんまのホラー的なんは、「などらぎの首」ぐらいかな。これも謎解き要素ある。ただ怖いだけでないのが好き!

  • 私は真琴ちゃんと野崎さんが好きなので、この2人の活躍と無事を見届けるために読み続けていると言って過言ではない比嘉姉妹シリーズ。
    今回は短編集。比嘉姉妹と野崎さんの他に『ずうのめ人形』に出てきた登場人物たちもちょいちょい出てきて嬉しい。『ずうのめ』読んだ後の熱く悲しい気持ちのまま、すぐにこちらも読んじゃうのがオススメ。

    ●ゴカイノカイ
    事故物件もの。短い話の中にたくさんの登場人物が入れ替わり立ち替わりする。全員にキャラクターと役割がしっかりあって、満足感のある読み応え。面白かった。

    ●学校は死の匂い ←一番好き!
    『学校の怪談』のようなジュブナイルホラーでめちゃくちゃ好み。美晴ちゃんにこの先待ち受ける運命を知っている読者には、この話の悲しみや切なさが一層深くなる。
    このシリーズを読んでいると、霊能者が(本当にいるとして、)子供時代~思春期を生き延びるのはとても大変そうだなと思う。周りからの白い目や虐めのせいで社会的に生き延びるのが大変というだけでなく、能力を使いこなせる経験が足りないのに自己顕示欲が強すぎて能力に溺れたり、正しく怖がることができずに霊障に首を突っ込んで返り討ちにあったり、文字通り命の危険があるということだ。

    ●居酒屋脳髄談議
    これは読み終わってスッキリする人が多いんじゃないでしょうか。成仏できずにやってることがこれかと思うと、とんでもなく虚しいけど。

    ●悲鳴
    りーたん!あんた、こんなとこでも悪さしてたんか!!

    ●ファインダーの向こうに
    希望を感じるラストで好きと、この短編集の中でも人気の作品。でも、私はこの終わり方、怖かった。朗読で聴いたからかも。

    ●などらきの首
    同級生が語る野崎さんの高校時代の怪異体験談。
    田舎の怖い伝承に少年の夏休みの思い出が絡むという最高の設定。
    野崎さんは周りの皆よりちょっと早めに大人になって、そのまま心の半分がずっとその頃にとどまっている人なのかもしれない。


    ※Audible利用(7h48m)、1日で読了。

  • オカルトのようなミステリーのような、塩梅のいい読み物。短編なのも切れ味よし。

  • 比嘉姉妹シリーズ短編集。長編でのじわじわ来る怖さはあまりないがその代わりに登場人物の過去の活躍が堪能出来て楽しい一冊。比嘉姉妹それぞれが主体の話や高校時代の野崎の話等主人公格のエピソードの中に紛れてある人物の話「悲鳴」があるのが憎い。もしかしてこれ…の予想が当った時の何とも言えない腑に落ち感。ホラーと謎解きのバランスが取れている「学校は死の匂い」「などらきの首」が好み。どちらも締めのじわりと来る暗さがいい。「居酒屋脳髄談義」での前時代セクハラ全開親父達を言い負かす切り返しが痛快。男は前立腺で考えるとはよく言ったわー(褒めてる)

  • 誰ひとり救われない怪異譚、「などらきの首」。

    比嘉姉妹シリーズの第三編。短編集なのだが、表題作よりも「ずうのめ人形」の呪禁の女が出てくる話がめちゃくちゃ良かった。こいつが端から歪んでいたのか、力に気づいて歪んだのか、それが明確になる話だったから、なおさら良かった。

  • '22年9月10日、Amazon audibleで、聴き終えました。シリーズ3作目、澤村伊智さん、4作目です。

    6篇からなる短編集で…それぞれにヒネリが効いていて、とても面白かったです。樂しんで聴きました。

    僕が特に好きなのは…「居酒屋脳髄談義」、「ファインダーの向こうに」、あと、「などらきの首」かな。

    以下、ちょっとネタに触るかも…ご注意を!

    「居酒屋脳髄談義」…結末に、笑ってしまった!琴子が名前を変えて出てくる(あれって…琴子、ですよね?)ので…「どこで、誰が登場??」と、待ち構えていたら…ありゃりゃ¯⁠\⁠_⁠ʘ⁠‿⁠ʘ⁠_⁠/⁠¯

    「ファインダーの向こうに」…うーん……ジーンと、きました。2人の出会いの物語…なんか、嬉しかったです。なんで?ハハハ!

    「などらきの首」…ザッツホラー!という感じ。ラストの、ゾワゾワ感が、たまりません!

    他の作品も、総じて良くできているなぁ、と…感心しました。素晴らしい!大満足!

  • 比嘉姉妹シリーズ3作目。
    6篇の短編集となっていて、過去のエピソードがあり登場人物達のことを深く知ることが出来てよかった。
    前作の登場人物も出てきてくれて、なお良し。
    次回作も楽しみ。

  • 「ぼぎわんが、来る」に続いて読んだ短篇集。
    だが、きっと第2長編「ずうのめ人形」、第3長編「ししりばの家」を先に読んでおくべきだったんだろうな。
    先行作品の登場人物が、いーい具合で出てくるみたいだから。
    それにしても実に嫌な話。
    それもファンタジックなものではなく、読者にも共通する生活感から嫌な感じを出しているから、よくわかる「やだみ」だ。

    ■ゴカイノカイ
    ■学校は死の匂い
    実に胸糞悪い話だわー。
    ■居酒屋脳髄談義
    夢野久作「ドグラ・マグラ」への言及。
    水木しげる「幽霊列車」を連想。
    ■悲鳴
    ホラー映画好きの嫌なところが、全然他人事ではなさすぎて笑ってしまう。
    ■ファインダーの向こうに
    ■などらきの首
    意外とミステリ仕立て。

  • 短編集も、おもしろいですね。今回はそんなに怖くなかったです。ホラーだけどミステリーっぽくて。「ずうのめ人形」のリホが出てきたり、野崎さんの過去の話も。
    次巻も楽しみです。
    ちょっとホラーが気になる今日この頃で、次は「ゴーストハント」の続きからの「残穢」にいこうと思います。ぞわぞわ

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著者プロフィール

1979年、大阪府生まれ。東京都在住。幼少時より怪談/ホラー作品に慣れ親しみ、岡本綺堂を敬愛する。2015年に「ぼぎわんが、来る」(受賞時のタイトルは「ぼぎわん」)で第22回ホラー小説大賞<大賞>を受賞しデビュー。2019年、「学校は死の匂い」(角川ホラー文庫『などらきの首』所収)で、第72回日本推理作家協会賞【短編部門】受賞。他の著作に『ずうのめ人形』『などらきの首』『ひとんち』『予言の島』などがある。巧妙な語り口と物語構成が高く評価されており、新たなホラーブームを巻き起こす旗手として期待されている。

「2023年 『七人怪談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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