はだれ雪 (下) (角川文庫)

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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041073841

作品紹介・あらすじ

直木賞作家が描く、かつてない「忠臣蔵」!


江戸から扇野藩へ配流されてきた旗本・永井勘解由と、苦難を共にすることを決意した紗英。
流罪人である勘解由との祝言はささやかだったが、紗英は幸せだった。

一方、元赤穂藩の大石内蔵助らは、吉良邸討ち入りの準備を進めていた。

決行されれば、浅野内匠頭の“遺言”を聞いた勘解由も窮地に陥る。
他家の家臣のために命を顧みない勘解由の姿に思い惑う紗英に、勘解由は自身の壮絶な過去を語り始めた――。

信じるもの、愛する者のために自らを捧げた男女の高潔な志が胸を揺さぶる、感動の時代長篇。

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった
    忠臣蔵サイドストーリ?
    もののふの矜持とそれを支える女子の恋愛小説+生き様の物語

    下巻です。

    勘解由と苦難を共にする覚悟を決めた紗英。二人は祝言を上げることに。
    そして、吉良の討ち入りを準備する大石内蔵助
    結果、勘解由の立場が追い詰められることになります。
    浅野の最後の言葉も明らかになり、いよいよ討ち入りです。
    吉良を討ち、散っていった赤穂四十七士に対して、生きる道を選んだ勘解由は江戸に向かいます。
    しかし、国を超えることができるのか?迫る追手。
    勘解由はどうなる?
    っと、後半はアクションものです。

    生きるということ。そして、生きるための戦い
    そのうちに秘める守るべきもの
    熱くなります。

    とってもお勧めです。

  • 葉室版忠臣蔵外伝。
    主人公は、旗本 永井勘解由と扇野藩の寡婦で勘解由の接待、監視役を命ぜられた紗英。勘解由は、浅野内匠頭の切腹に異を唱え、許しなく内匠頭の最後の言葉を聞きとったことが将軍綱吉の怒りに触れ、幕府目付を罷免され扇野藩へお預けとなった。
    扇野藩では、勘解由の扱いに苦慮し、厳しい監視体制を敷くが、勘解由は静かに謹慎の時を過ごしていく。紗英も最初は戸惑うものの勘解由に心惹かれていく。
    そんな中、内匠頭の最後の言葉を知ろうと大石内蔵助が勘解由を訪れ、お互いの胸の内を理解し合う。討ち入り切腹へと進む過程で、幕府の顔色を窺う扇野藩の重臣たちによる暗い計略もあり、ハラハラする展開が続く。
    勘解由の誠を通し、何があっても乱れない落ち着いた態度、紗英の勘解由への一途な想い、そして毅然とした対応。葉室麟の描く男と女の典型的な姿がここにある。
    面白いし読後感もいい作品。

  • 幕府を慮り、藩内抗争も絡み、勘解由を生かしておけぬと暗殺を企てる扇野藩の重臣たち。
    さらに討ち入りが欠航された後、勘解由の措置をどうするかと決めかねる幕府=柳沢吉保。
    勘解由の運命は?そして紗英は?と頁を捲らざるを得ない。
    主君に忠義を尽くし武士として命がけで戦う大石内蔵助に対し、彼の志を認めながらも、「ひとは自らの心願だけで生きられるものではない。生きていることを願ってくれるひとの想いに支えられて生かされているのだ」と、生きる道を選ぶ勘解由。
    武士の意地をかけて主君の仇を討たんとする赤穂藩の旧家臣を対照的に描くことによって、和歌「はだれ雪」に託し、愛する者のために生き抜くと誓った高潔な志は、より鮮やかに浮かび上がる。

  • 忠臣蔵のサイドストーリーとして、浅野内匠頭に
    殿中刃傷沙汰の真意を聞いた旗本が綱吉の機嫌を
    損ねて扇野藩に流罪(預かり)となったために、
    扇野藩の思惑や赤穂浪士の想いがもつれ動きに合
    わせて深刻な危機が降りかかるのだが、その状況
    下に於いて武士とは・想いを寄せる者への気配り
    (後に妻となる)それぞれの立場への配慮などを
    淡々とであるが劇的な状況を描きだし見事なラス
    トへつなげる・・・葉室麟先生の筆力は凄まじい

  • 2024/3/4 読了
    悪い人も含め、登場人物が全て良かった。

  • 読みやすかった、それだけ。
    それなりにワクワクしたけど深みはない、かな。

  • 8月-5。3.5点。
    いよいよ吉良邸への討ち入り。大石内蔵助が再訪する。
    主人公、妻の運命は。

    忠臣蔵のアナザーサイドという感じ。おもしろい。
    ラストもさすが。

  • 忠臣蔵に縁がなく、人物名と討ち入りという言葉くらいしか知らなかった。それゆえに、先入観なく読めたのかもしれない。

    はむりんの小説は登場人物それぞれの生き方、心情、心情の結び付きの描写が好みで、思わず涙が出てきます。

  • 2018.12.14

  • 忠臣蔵はあらすじ的な出来事程の知識しかなかったが、フィクションといえど、時代背景や立場を踏まえて、より赤穂浪士の心情に触れられた気がする。なぜこんなに度々映像化されるのかぴんとこなかったけれど、大石内蔵助らの武士としての義の深さを知れば納得。
    そこに相まって、流罪となった勘解由の武人としての矜持が素敵すぎる。紗英の気持ちもわかる。
    武士といえど慕う者への心遣いが出来ねば、民にも心配りができない、、とは今でもそう。身近な人を想えば他人にも優しくなれるというもの。
    葉室さん、まだまだ作品を残してほしかったな。
    未読だけど、映画『散り椿』はどうだろうな。

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著者プロフィール

1951年、北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年、「乾山晩愁」で歴史文学賞を受賞しデビュー。07年『銀漢の賦』で松本清張賞を受賞し絶賛を浴びる。09年『いのちなりけり』と『秋月記』で、10年『花や散るらん』で、11年『恋しぐれ』で、それぞれ直木賞候補となり、12年『蜩ノ記』で直木賞を受賞。著書は他に『実朝の首』『橘花抄』『川あかり』『散り椿』『さわらびの譜』『風花帖』『峠しぐれ』『春雷』『蒼天見ゆ』『天翔ける』『青嵐の坂』など。2017年12月、惜しまれつつ逝去。

「2023年 『神剣 人斬り彦斎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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