- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041073902
作品紹介・あらすじ
ぼくらは、壊れても手をつないだままだった。
あのとき、手をはなしてさえいれば――。
大学生で作家のぼくは、入院した遠縁のおばあさんの家……白い桜の木がある、アニメに出てきそうな洋館・「白桜館」の管理を任された。そこにりりなと称する謎の多い10歳の女の子が現れ、彼女の世話をすることに。わがままなりりなの世話と執筆に追われつつも、いままで感じたことのない満たされた毎日を送る僕。しかし、あたたかい二人の日々は唐突に終わった。それがお別れになるとは知らず、二人が向かった先とは?りりなの本当のすがたは? 愛する人の喪失、自分自身の喪失、絶望の淵に落ちても、それでも生きていこうと思えたのは、亡き彼女からの贈り物だった。
感想・レビュー・書評
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読み始めは、洋館を舞台にした大学生と小学生のませた女の子が生活を共にするうちに心通わせることになるほのぼのストーリーかと思っていたけど、急に話が転調。
びっくりしたし、しんみり。
悲しいけど、それに負けずに前向きになる主人公の姿を見れてよかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
プロローグには悲劇のにおいがあるものの、続く物語にはのほほんとした雰囲気が漂っている。大学休学中の作家が10歳の少女の面倒をみることとなるが、反対に教えられることも多く…といった内容が半分くらいまで続く。この時点で、少女は未来から来た作家の娘だ!と思いこんでいたのだが、次の章ではまさかの展開となる。
主人公の再生物語といってよいだろう。前半の物語はその大きなカギを握る部分ではあるが、長すぎる。大事な人との別れやぎくしゃくした人間関係を若くして経験した主人公の苦労は並ではないが、彼を再生させるために用意したとしか思えない劇的な展開に違和感があった。映像化したら脚本によっては泣ける話になるとは思う。 -
するするサクサクと読めるお話やった。
児童文学作家さんとのことで、とっても読みやすい、優しいふんわりとしたお話やった。
颯太が頑張って前をむいて歩けていけますよぉに。 -
著者は多くの児童文学作品を排出なさっているだけあって、物語のベースを優しく進めている。
しかし、その優しさに甘え過ぎていまったのか、大きなしっぺ返しを食らってしまった。
その根底にあるものは、文学の普遍的なテーマだったからである。
とにかく読みやすく、大人のための童話であり、考えさせられた。 -
前半はのんびりした大学生の作家が、ひょんな事から雰囲気ある屋敷に住むことになり、そこへ不思議な女の子が訪れて、だんだん心が通いだし…ほのぼのなお話かと思いきや…後半は意外な事実が明らかに。ネタバレするといけないので感想が書きずらいが、心って喪失感って、乗り越えられるものかな…。
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読み終えた時すーっと心に染みた作品でした。
〝無理に変えようとしないから悩まないでいられるし、思い通りにならないからって怒らないから、自然体でいられる。〟
こんな人でありたいと心から感じました。
決まった家族のカタチも無ければ、決められた家族の幸せがある訳では無い。
分かってはいるようでも実際に自分の身に起こらなければ自覚できないような事故や病気の現実を、今一度考えさせられる作品でした。 -
20181110 読み始めたら止まらなくなった。ファンタジーの世界。男の希望としてはもっと違った結末を求めていたかもしれない。作者の冷静な判断が正しいのだと思うが恋について欲望を、抑えたストーリーがなんと無く物足りない。がだからこそノンストップでページをめくったのだと思う。
20181118 実は今日、ブクログから献本で抽選に当たったとの連絡と現物が届きました。既に独自で買って評価と感想も書いているのでこれで勘弁してもらえますか。
間違いなく良い本です。 -
表紙とタイトルが可愛くて、手に取りました。
「白桜館」での出来事がとても楽しそうで、私も住みたいなぁと思いながら読んでいました。
予想外の展開で、展開のもっていき方が上手いなぁと思いました。
りりなの正体がわかった時、涙が止まりませんでした……
涙が止まった時、前を向いて歩いていける気持ちにさせてくれました。
出会えてよかったなと思える作品でした。
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メルヘンタッチな表紙に可愛いタイトル。
そしてこの物語の舞台はアニメに出てきそうな洋館・「白桜館」
遠縁のおばあさんに管理を任され小説を書きながら1人で暮らしていた大学生の颯太の元に突然現れたちょっと生意気な10歳の少女りりな。
ギクシャクしていた二人が兄妹、父娘の様にどんどん仲良くなって行く姿に気持ちが温かくなり読み進めていると中盤になり物語は急展開する。
すっかり油断していた事もあり、その後の辛すぎた事実にやりきれない思いが溢れる。
ファンタジー要素にミステリーを加え、そしてラストの思いがけない事実にジンと来る。