真実は間取り図の中に 半間建築社の欠陥ファイル (角川文庫)
- KADOKAWA (2018年9月22日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041073940
作品紹介・あらすじ
亡き父と同じ大工になった環奈がやっと就職した半間建築社は、無理難題や原因不明のトラブルが絡んだ「欠陥案件」ばかりが持ち込まれる奇妙な設計事務所だった!
住みづらくなる増改築を繰り返す老婦人、巨人の幽霊が出ると噂の旅館、古い公衆トイレを彼氏だと言い張る女子高生、恩師の新居にこめられたある想い――。
推理力だけは一級のヘタレイケメン建築士・半間樹が建物にまつわる謎を解き明かす、痛快建築ミステリ!
感想・レビュー・書評
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なかなか面白い。間取りからそれを書いた人間の意図はよめるもんですね。この設定は面白いので、続いて欲しいな。
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読後感は悪くなかった。最終話は良かった。でも内容は物足りなかった。
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最初は少し物足りなかったけど、読み進めるにつれ何だかクセになる。
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・建築科を出てるし興味あるモチーフ。この本を読んで、建築士を目指さず大工を目指してたらそっちの道に行ってたかもしれないなあと思った。
・とはいえ結論から言うと、間取りミステリというニッチ狙いは面白そうだったけど中身がいまいちな感じ。
・営業に熱心でない「半間建築社」は「欠陥案件」を解決するのが上手い。
・最初の話は、現実の世界でもありそうな話で、最初に考えたけどこれじゃミステリどころか物語にならんやろと早々に外したのが正解で少々ガッカリした。ぼくが考えてたのは、あの家は猫屋敷になりつつあって、近所にバレたら困るとか、寝室とトイレだけは死守しようとしてるとか、猫じたいは好きなので庭に集まる猫にすぐエサをやれるようにしてるとか想像してた。猫でなくとも他の生物か人間のための改築かなあと。
・第二話は死ぬほど簡単。よくあるトリックルームとだけ言っとけばいいかな。
・第三話は古い公衆便所と付き合っていると主張する女子高生という面白そうなシチュエーションから始まりながらすべてが普通に進んでオチも最初に考えるようなもので裏切りとか意外性がない。
・第四話の間取りはぼくなら住まないし設計もしないかな。詰まらなそうやから。まあ、ストーリーとは関係ないけど。この章は不自然に飛び出た「脱衣・物干し室」以外は展開が読めなかったのでちゃんとミステリでした。
▼簡単なメモ
【宇津牧荘】老舗旅館。幽霊が出る。
【浦松】熱帯魚の飼育販売。頭頂部を除いてやたら体毛が濃い。
【折館邸】新築後即無駄な増築を始めた。ウィンイェスター・ミステリー・ハウスを思わせる。
【環奈】大工娘。鉋が好きになって大工になった。口より先に手が出るタイプ。巻尺で投げ縄のように元気な少年を捕らえる特技がある。
【軽トラック】環奈の相棒。メタリックローズビンク色。
【欠陥案件】いろんな事情で作業をうまく進められなくなった案件。半間建築社はこれらを解決することによって命脈を繋いでいる。
【久木善人/くき・よしひと】地元の工務店九木組の社長。
【公衆トイレ】女子高生に惚れられている汚いトイレ。
【ゴローさん】元腕のいい大工。
【笹崎】古本屋。丸眼鏡にひょろ長い手足。泣き上戸。
【庄司】環奈が高校生のとき気にかけてくれていた教師。
【庄司邸】謎の「脱衣・物干し室」がある。
【半間樹/はんま・いつき】半間建築社の代表。一級建築士。容姿端麗。長い髪の毛。背が高い。デザイン設計をやりたいのだがデザインセンスは壊滅的。怠け者。欠陥案件の解決に能力がある。
【半間建築社】環奈をあちこちの現場に派遣していくばくかを稼いでいる程度の会社。
【日乃季/ひのき】古めかしい呑み屋。環奈の母がやっていて母子の住居でもある。
【万智】星川万智。環奈の高校時代の友人。
【三宮環奈/みつみや・かんな】→環奈
【雪】環奈の母。 -
欠陥住宅とか事故物件じゃなく、理屈じゃどうにもならない建物案件を解決に導くのが面白い。建築士、設計士でなく、大工女子なのも素敵。
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「鬼とシェアハウス」
ひっそりと家に住み着いていた鬼の正体。
原因不明となるとやはり気持ち的な部分から解決策を探すのだろうが、ここまで思い切った事をするのはすごいな。
「開かずの間の巨人」
始めから正体が分かっていた謎。
余程怪異的な状況でない限り、遅かれ早かれ必ず誰かがこの答えに辿り着き正体暴きをしていただろうな。
「彼氏の解体」
命の恩人である恋人の最後。
普通に考えれば有り得ない話だが、限界まで追い詰められた時に頼れたと思った事はとても大切なものなのだろうな。
「鎹のような家」
設計図に隠された迷いのある意図。
何かが起きてしまう前に全てが明るみになり、お互いの胸の内を明かし話し合えた事が一番だな。
発注するのは勝手だが、誰もが自分の為で作ってくれた者の事を考えてなかったのではないだろうか。 -
欠陥案件って、手抜き工事なんかの見つかった物件のことかと思ったら、そうではないのですね。住人に体調不良が生じたり、幽霊騒ぎが起きたり。だけどその原因はオカルトではない。主人公の女大工・環奈が勤める建築会社の半間社長は、それを解決すること(だけ)が得意。
増改築を繰り返す家の話に、うおっ、これはウィンチェスター・ハウスのようだわと思ったら、半間からその名前が出てきてワクワク。
目上の優しい客に対して敬語を使わない半間。いくら自分で会社がもっているからといって、社長に対してあまりにエラそうな環奈。どちらもちょっと行き過ぎていてイライラさせられる部分はありますが、サクッと軽く読めるから、まぁいっか。「よろず建物因縁帳」のノリを少し思い出しますけれど、あっちのほうがちょっと重みがある分、個人的には好みです。でも、間取り図って、見ているだけで楽しいんだなぁ。
映画『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』の感想はこちら→https://blog.goo.ne.jp/minoes3128/e/0ca920789e47a5157dfbe21223d248b4 -
面白かった〜〜。建物にまつわるアレコレ。謎解き、というほどのものではないかもしれないけど、読み応えはある。
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2018年111冊目。謎自体は小粒だけれどその分ライトに、キャラクターの良さと相まって楽しく読める。
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面白かった.
是非,シリーズ化してほしい.