ファミリー・レス (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 108
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041074169

作品紹介・あらすじ

「家族か、他人か、互いに好きなほうを選ぼうか」ふたつきに一度だけ会う父娘、妻の家族に興味を持てない夫。家族というには遠すぎて、他人と呼ぶには近すぎる――現代的な”家族”を切り取る珠玉の短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 奥田亜希子三冊目。

    「プレパラートの瞬き」
    幼い頃に母親に言われたのは、「否定的な言葉を口にするのは、自分の未来を自ら閉ざす」ということ。
    それから希恵は、悪口を言わずに来た。
    一方で、シェアハウスで共に住んでいる葉月さんは、朝から晩まで文句を言っているような人だ。

    前向きに文句も言わずにやっていると、あの子はノリが悪いと言われ、飲み会に誘われない。
    反面、あれやこれやと愚痴ばかり言うと、一緒にいても楽しくないと言われてしまう。

    そんな正反対の二人が、お互いに救われる。
    素直に、嬉しかった。
    電車の中で、泣きそうになった。

    悪い部分を、悪い部分とは思わない相手。

    「私ね、鉄ちゃんと結婚できて、本当によかったと思ってるんだよ。私、愚痴とか、不満とかよく言うじゃない?すぐに怒るし」

    「でも鉄ちゃんは、私のそういう話も楽しそうに聞いてくれるよね。出会ったときからずっと。だから私、会社では全然怒らないでいられるの。家に帰れば鉄ちゃんに聞いてもらえるって思うから」

    続く、「指と筆が結ぶもの」の一台詞。
    絵描きという、低収入のない婿を、彼女の親族は揃って批判する。
    鉄平も親族や親戚付き合いを毛嫌いしていた。
    その中で、彼女の祖父母宅に泊まることとなり、盲目の祖父だけが鉄平を受け止める。

    キレイな部分さえ、汚してしまうような物語ばかりなのに、汚れていても、いいなあ、愛おしいなあと思わされてばかりだ。

    他の話に出て来る離婚した後の娘とも、無愛想な同僚とも、実の娘のように可愛がってきた女の子とも、腹違いの弟とも、結局は分かり合えない。
    いや、分かりきれない。

    でも、そのザラっとした感じが、そりゃあそうだよなーと、すんなり思うのだ。
    恐らく波長の合う作家さんと出会えて、しあわせ。

  • どれも面白かったけど2つ目の、指と筆が結ぶものが特に面白かったです。
    .
    売れない絵描きの夫・鉄平と、それを支える妻・万悠子の会話が絶妙で好きです。
    .
    万悠子がすぐに怒って、ブリブリと文句を言うのが面白くて、わざとからかって万悠子を怒らす鉄平と、期待通りの反応を示す万悠子が可愛い。
    .
    6つの短編の登場人物が少しずつリンクしてるところも読んでいて面白かったです。

  • 人生は選択の連続で、選び取ったものと諦めたものでできている。それは意識的も無意識でも。
    選ばざるを得なかったももしかしたら結果的には自分で選んでいるのかもしれない。
    家族を選んでも、家族じゃないを選んでも、肯定されることでお互いに救いを与えられる。
    将馬が亜砂を家族として選んで婚約破棄をした亜砂の選択を肯定したように、亜砂が将馬を他人として選んで将馬の漫画の夢を肯定したことは、選択は違うけどお互いにとって大きな救いになっている。
    好きだから、その理由一つで夫婦になった万悠子と鉄ちゃんは周囲からはどう見られてもお互いを信頼している。
    それでも不安になるけど、万悠子の好きなおじいちゃんと鉄ちゃんが二人とも万悠子自身が短所と思っている怒り方を好きだと思っているのに繋がりを感じる。
    将馬の亜砂への最後の台詞が好きだった。

  • ファミリー・レス
    奥田亜希子さん。

    少しづつ。
    繋がっている
    短編集。

    みんな、それぞれ、
    問題を抱えてる。
    しかし、
    淡々と生きていく。
    共感できる作品が多く、
    あっという間に読めました。
    面白かった。

  • 家族ってなんなんでしょうねぇ・・・
    血がつながっているから何をしても許されるわけではない。
    血がつながっていないから家族になれないわけではない。

    今、そばにいてくれる人たちとのつながりを大切にしたくなりました。

  • 何かが欠けた6人の男女は、家族と呼ぶには遠く他人と呼ぶには近すぎる存在に救われる。家族の定義を考えさせられる、心を揺さぶる連作短編集。
    奥田亜希子さん初読み。あらゆる事情で厄介な存在になってしまった家族でも、気になるということは心のどこかで、まだ家族愛を信じている。それが断ち切ることができない家族という存在の運命なのかもしれない。脇役が次の物語の主人公になる設定も面白い。

  • ファミリーレス
    タイトルだけ見ればかなりネガティブなイメージを持つ。
    しかし、これは読むべき作品。

    かなり心が癒されました。
    短編集で、微妙に繋がりがある人物たち。
    涙あり、笑いあり、こんな作品に悪いものはないと思います。
    家族の繋がりが綴られていて、温かい気持ちになりました。離婚した家族。複雑な家族。双子。様々な角度からの作品で楽しませてもらいました。
    個人的にはウーパールーパーが飼いたくなりました。

  • タイトルが逸脱だと思い手に取った。

    手にとってよかった。

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著者プロフィール

奥田亜希子

1983年愛知県生まれ。愛知大学文学部卒業。2013年、「左目に映る星」ですばる文学賞を受賞しデビュー。『ファミリー・レス』『五つ星をつけてよ』『リバース&リバース』『青春のジョーカー』など著書多数。

「2020年 『愛の色いろ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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