- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041074299
作品紹介・あらすじ
8歳の息子を育てる、環境も年齢も違う3人の母親たち。些細なことがきっかけで、幸せだった生活が少しずつ崩れていく。無意識に子どもに向けてしまう苛立ちと暴力。普通の家庭の光と闇を描く、衝撃の物語。
感想・レビュー・書評
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心が重くなる内容でした
子供を愛しているにもかかわらず、殺してしまったお母さん
亡くなったイシバシユウくんと同じ名前、同じ歳の3家族の物語が並行して進んでいきます
私は日本の働きながら、家事をして子育てするお母さんたちを尊敬します
だからこそ、お母さんたちが癒される時間や居場所を作りたいと思います
この本に出てくる男の人、クズばっかり
協力しない、自己中で甘ったれの人はいない方がいいです。マイナスにしかならない
親になっても他の人のために動けない人は考え方を変えてほしい
本当に読んでいて腹が立ちました詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
凄惨な子供への虐待シーンから始まる物語に、
お腹の底がひんやり冷たくなりました···
登場するのは男のコを持つ母親たち。
同じく息子を持つ私は、私が彼女たちの立場だったらどうするのか···と考えながら読みました。
お腹のなかで十月十日、我が子を育んで、
命懸けで出産を果たし、
愛しくてたまらない存在なのに。
憎悪の対象となるのは、なぜ。
母親からしたら、
子供は自分の一部または分身だと思いやすいのかな。
だって、私のお腹から生まれてきたんだもの。
私の思うように育ってくれるよねー♪
···と思ったら
全っっっ然、思い通りにならないんですけどー?!
というのが実際のところ。
身体は親の特徴を引き継いでいても、
子供は別人格。
···って、アタマでわかっていても、
常に冷静でいられないのが親の悲しいところ。
子供は、
親の期待通りじゃなくていい。
親の思い込みを手放して、
今を大切に見つめる。
そんな人間になれたらな···
反省の念でいっぱい。
年の暮れに心にグサリと刺さる一冊、気づきをくれてありがた〜い気持ちになりました。 -
ユウという名の男の子を育てる3人の母親たち。どの家庭も、幸せな気持ちになるところも嫌な気持ちになるところもあって、ごくありふれている。
だけどそれが徐々に歪み始めてからは、どうなってしまうのかと気になって止まらなかった。
私はあすみの家庭が一番ぞくぞくした。
これを解決と言っていいのか、この先が一層怖い。近所にいても、できれば関わりたくない。
虐待については未然に防げたものはニュースにならず、だから虐待事件の報道ではつい行政の不手際などに目が行ってしまう。
でも児童相談所職員の相良さんの言葉がとても誠実で、心に響いた。みんな子どもを救いたいと思っている。
解説で、作者は加奈に甘い、とあるのだけど読者としては、そこは許してよ、そうでないと読んでいられないよと思った。 -
心が苦しくなる描写がたくさんあったけれど、一気に読んでしまいました。
小学三年生で同姓同名のイシバシユウ君がいる家族の物語。それぞれの家庭によって経済状況や家庭環境はバラバラで、でもみんなどこにでもいそうな普通の家族。
みんなが子供の事を大切に思っているけれど、どの家庭でも事情はあって、どの家庭で虐待があってもおかしくない。それくらい子育ては大変だと思った。
加奈さんみたいに、虐待のニュースがあった時に、酷すぎるって親を責めるだけは誰でも出来るけれど、その背景や家庭環境も考えていかないといけないと感じた。本当にまさか自分はって思っててもどこでも起こりうることなんだって思った。だって本で読んでるだけでも大変そうだ、心が苦しいってなったから、当事者からしたら相当辛いんだと思う。この本読んで、うわ子育て無理ーってなったけど、所々幸せそうな描写があったり、子供のいない生活は考えられないとどの親も言っていて、そういう気持ちを味わってみたいという矛盾した気持ちになった。
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いろいろ(虐待、貧困、いじめ、DV、発達障害、介護...)とてんこ盛りでお腹いっぱい。どこの家庭でも起こりうる日常とその顛末...。最後は死角からパンチをもらってノックアウト! この結末はいい。解説で帯コメントに指摘が加えられているが、その時の読み手の状況でコメントは変わるだろうし、私は帯コメントに共感した(帯コメント者の作品が好きなので、ただの依怙贔屓である)。
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トルストイ『アンナ・カレーニナ』の冒頭「幸福な家庭はすべて互いに似通っているが、不幸な家庭はそれぞれその不幸のおもむきが、異なっているもの」は印象深い。
その「不幸な家庭」も互いに似通っているのが、この小説での3家庭だった。わたしはその3家庭を追って描写される場面を、ほんとにドキドキしながら「あるかもしれない?いや、ある」と読んだ。
子供の虐待死事件のニュース報道が頻繁。家庭での虐待が疑われる現場が多くなったように思われる昨今。これは現代病なのか、昔からこうなのか。
この小説から読み取るものはさまざま。たくさんの課題が重なっている現代社会生に生きていくのは、なまなかな覚悟ではいけない。 -
3人の母はみな、それは自分だったかもしれないと考えるが、自分でなかった理由があったのかもしれない。
翻って、読んでいるこの自分は、この本に出てくる男たちになるかもしれないし、なっていない理由があるかもしれない。 -
母として、加奈から学ぶことが多かった。
子どもが困っていたら、こちらからあれこれしようとするのではなく「お母ちゃんにできること、何かある?」と聞く。
シンプルなのになかなかできないことだ。
日頃思っていることだが、「子どもを育てていると子ども時代をもう一度擬似体験できるからおもしろい」と留美子も言っていた。
まさにそうで、一緒に子どもの私も1つ、また1つと成長している。そう思うと昔の私は今ちょうど中学に入学したばかり。希望と緊張に満ちている。 -
小学生のいる3家庭を通して、子育てとは、人生とは、と考えさせられる作品。お母さん達にとっての子育ての大変さを体感させられる一方、とにかく出て来る男たちがダサくてカッコ悪い。映画化もされているのも納得の面白さ。
著者プロフィール
椰月美智子の作品





