- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041074411
作品紹介・あらすじ
第25回日本ホラー小説大賞〈大賞〉および〈読者賞〉受賞作
怪異現象に立ち向かうニューヒロイン誕生!
◆選評より
綾辻行人 ――前半に語られる三つの怪異譚がそれぞれにとても佳い。随所に「怖さ」を描くセンスが光る。全体として大いに作者の才気を感じさせる
貴志祐介 ――それぞれのエピソードのアイデアが秀逸。「しげとら」の趣向もおもしろい。ホラーの多様性を示せる
宮部みゆき ――作品全体を支えるヒロイン・祭火小夜の清楚な魅力と、全体に淡く漂う叙情性にも惹かれました
「私に、不思議な存在の知識を教えてくれたのは、兄でした」。怪異現象に詳しい女子高校生・祭火小夜(まつりび・さや)。これは、彼女との、ある夏の話。/
第1話 床下に潜む:田舎の高校で数学教師をしている坂口。用事で旧校舎を訪れ、一枚だけ色の違う床板を発見する。さらに、見知らぬ生徒・祭火と遭遇し、床板をひっくり返すという謎の存在に関する話を聞いた。夜、旧校舎に再び行った坂口が目撃したのは……。/
第2話 にじり寄る:浅井という少年は、巨大なムカデのようなものに憑かれて悩んでいた。ある日、それに関する決まりごとを破ってしまい最悪の事態に陥る。そんな折、一学年先輩である祭火と出会い、解決法を教えられるが……。/
第3話 しげとら:幼いころに「しげとら」と取引をした糸川葵。取引から10年経ち高校生になった彼女は、クラスメイトの祭火から、ある言葉を投げかけられる。/
第4話 祭りの夜に:そして夏休みの初日、祭火小夜が困っていると知った3人は、あることに協力するため祭火とともに一晩のドライブをすることに。「祭りの夜に、魔物が出るのです」。山のトンネルを潜り抜けて、魔物と対峙する一夜が始まった……。
装画:ねこ助
感想・レビュー・書評
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ホラーなのに清楚系ヒロインってちょっと珍しい気がする。しかも嫌味な感じのしないヒロインはなかなか貴重。最終話の逃げるシーンも緊迫感があってよかったが、魔物のイメージがどうしても『キン〇コン〇』のため、最終話はパニックホラー的で、しかも世界に変化をもたらす小道具(いや、大道具か?)にあまり新鮮味がないため、何となくもの悲しさの余韻に触れて終わったという印象だった。
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単話3編でホラー小話を展開しつつ、前者3編の主人公ズが自身を助けてくれた清楚系優等生美少女祭火小夜に恩を返すという形式で綺麗に完結する
怖いという感じよりも理不尽、、、という思いを抱かせるタイプのホラーで、怖くはないが嫌なタイプ
各話主人公の性格に沿ったストーリーで、短いお話ながら登場人物に愛着が湧く
特に超常現象怪異に詳しいとされる小夜が決して無敵ではなく、普通の人間不審者にも人智を超えた存在に対する対応能力に限界があるのもこの作品の魅力なのかもしれません
(本編とはずれますが、、、)
この作品ひいては日本ホラー賞としての書評3名がなかなか辛辣なんだけれども、応募作品に対して真摯に評価しているなと感じられました。各作品の良い点悪い点を挙げながら総評とアドバイスがあるのはすごく良い、尊い -
怪異に見舞われる各話主人公と、怪異に詳しい美少女の連作短編集。
第25回日本ホラー小説大賞&読者賞W受賞。
読みやすく、話もまとまっているとは思う。怖さはそんなにない。
可もなく不可もなくって感じかなぁ
あのキャラだけが得してるのなんかモヤッとする。 -
短編オカルトの連作本
型にはまらない「何か」が気持ちよくない…
そこにありきたりの恋愛感情を絡ませていないところもいいですね -
1話2話3話で、各主要キャラと小夜を出会わせた、怪異を絡めたお話が分かりやすい。
それぞれの短い怪異がしっかり怖く面白かった。
特に「しげとら」は今まで読んだ実話怪談にもない、特殊設定で惹き込まれました。何者なんだ…何年後に取り立てにくると伝えて、相手が忘れてないか姿を変えて忠告に現れるのも怖すぎる…偽友達がしげとらだったのもトラウマになりそう…
4話で小夜に不思議な体験を教えた、兄の話が魔物絡みで登場する。更に前半に登場した各主要キャラが揃い、一緒に行動をとる。お互いの存在が邪魔してなく、魔物が登場してからも楽しめました。
ラストは個人的に好きじゃなかった…
死んだ人間が、過去を変えたことで、現代で生きている設定はな〜それも個人の独断でなんて。
エゴにもほどがある。 -
裏表紙の惹句などから妖怪ハンター的美少女がクラスメートを守って怪異と対決、みたいな短編集だと思ってると、少しばかり趣が違う。分量的にも半ばを占める、最後の「祭りの夜に」がメインで、それまでの三編はそれまでの長いプロローグのよう。あえて言えば、「祭りの夜に」でヒロインが共に冒険に挑む仲間の紹介編みたい感じになるだろうか。前半の三編も怪奇短編としてまとまっていて面白いのだが、「祭りの夜に」だけは少し雰囲気が違い、強いて言うならSFなのが興味深い。
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お話しそれぞれに繋がるのかなと思わせておいて意外とそうでもないってところが伏線回収疲れの私には心地良かったりします
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日本ホラー小説大賞の大賞と読者賞のダブル受賞だそうな。納得です。選考委員の貴志祐介が推しきらなかった点も読者賞を取ったことで納得。個人的には結構好き。
しかしホラー大賞って結構幅広いですよねぇ。いや〜な話からミステリから不思議系etc...読者賞は割と読みやすーいのが取る感じみたい。 -
日本ホラー小説大賞大賞&読者賞受賞作。一見ライトな読み心地だけれど、しっかりとした怖さも感じられ。物語性にも引きつけられる作品です。怖さはあるけれどあまりグロテスクな怖さではないので、それほどホラーが得意じゃなくても大丈夫そうな気も?
さまざまな怪異を知る少女・祭火小夜。怪異に出会ってしまった人たちが彼女のアドバイスによって救われそして、挑む最強の怪異。序盤の穏やかな読み心地と変わって、一番のメインストーリーである第4話「祭りの夜に」はとんでもなくスリリングな読み心地にぐいっと引き込まれました。
お気に入りは「しげとら」。わかってみるとちょっとユーモラスなんだけれど、得体のしれない最初は怖いったら! そしてもし調子に乗って欲をかいてしまうとどれほど恐ろしいことになるのか……ぞくりとします。
でも個人的に一番恐ろしかったのは「にじり寄る」。あれだけはどうしても嫌だ。害になるとかならないとかじゃなくてもうあの姿だけで恐ろしすぎるので。あんなの、絶対に現れないでほしいです。 -
途中で結末が見えてくるけどドキドキした
著者プロフィール
秋竹サラダの作品





