- Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041074435
作品紹介・あらすじ
我が家にあひるがやってきた。知人から頼まれて飼うことになったあひるの名前は「のりたま」。娘のわたしは、2階の部屋にこもって資格試験の勉強をしている。あひるが来てから、近所の子どもたちが頻繁に遊びにくるようになった。喜んだ両親は子どもたちをのりたまと遊ばせるだけでなく、客間で宿題をさせたり、お菓子をふるまったりするようになる。しかし、のりたまが体調を崩し、動物病院へ運ばれていくと子どもたちはぱったりとこなくなってしまった。2週間後、帰ってきたのりたまは、なぜか以前よりも小さくなっていて……。なにげない日常に潜む違和感と不安をユーモラスに切り取った、著者の第二作品集。
感想・レビュー・書評
-
今村夏子 著
話題の…今村夏子さんの作品は以前から ずっと読んでみたい作家さんの作品だった。
初めて読む作家の作品ということ。初心者ということもあって、短編集的な(実はそうでもなかった)
短めの本を読むことにした。
どう表現したら良いのか分からないほど、
衝撃で引き込まれていった作品だった
最初は児童文学的な要素の 平素な家族のある日常を、描いているかと思えば、ある日、あるひがやって来た それは何を意味するのか?
最初は可愛くて 珍しい、あひるにヒトが集まってくるのだが、あひる自体を超えた人の視点というべきか?行動に 不可思議な思いのまま、気持ちが
ゾワゾワするばかり…。
何を言ってるんだろう?何を言おうとしてるのか?
もう、ホラーなみに、ずっと何だか、不穏な空気感の中に、読むことをやめられない小説だ!
そこにある ひとつの風変わりとも、よくある家族ともいえそうな一部を切り取っているのかもしれないのに…
それでも、何だか、ずっと怖い感覚がつきまとってゆくのだが、怖いのに、何故か泣けてしまうような情景が見えたり…
この作品を、読了するまで目を離せない感覚に陥ってしまった自分だった。
「あひる」も、えっ!となりつつ終わるのだが、
それに続く「おばあちゃんの家」には、ここで終わるの?と驚かされる しかし、最後に続く
「森の兄弟」に繋がり、何となく、ホッとする気持ちも 何だろう…それでも 置いてきぼりにされたように、物語りは終わりを見せないまま
作品は終わってしまうのだ
寝れなくなりそうなのは、余韻を残して終わるからとは、また別の感覚だった
いや〜知らなかった こんな不思議とも個性的とも言えない作家にまた、出会ってしまうとは(*_*)
分かりやすく…分からない 心の奥にある恐怖と孤独なのか?それでいて、私的には嫌な印象を全く、持たない作品だった。
それよりも、今村夏子さんの他の作品が、より楽しみになってきた。
現在の私は、なかなか、外の場所に本を求める事が出来なくなってきているので、ネットで中古本を求める機会が多く、すんなり本を取り寄せない問題もあるが、単行本は重いので、是非、色々ある所に文庫本を探して読みたいと切望している
なんて、全く違うジャンルでも、興味ある才能優れた作家さんが沢山いらっしゃって…
本当にブク友さんのレビューがとても参考になっています。
今村夏子さん、勿論…注目です! -
あひるが可愛いので、子どもたちが集まってくる。
活気もでてくる。
でもそんなあひるだって、個性もある。
うわべだけを見ていても気づかないかもしれない。
でも、言う言わないは別として気づく子は気づく。
気づいて、それを表に出していってもいいのかどうか。
そこからが大人の世界、おとなの事情。
軽く読んでいたけれど、確かにその辺り、引っ掛かります。
「あれっ?」と。
私は声に出さななかった。そして流してしまった。
それは大人になったということか。
知らず知らずのうちに面倒に巻き込まれたくない、という大人の気持ちが染みついているのかもしれない。
ぞくぞくするお話。 -
可愛らしい装丁、挿し絵があり絵本、童話のような話なのかなと思って読みましたが、なかなか闇が深そうな話でした。
三編とも私には、ハッピーエンドでは終りそうにないなと思いました。 -
短編3編の小品だけどいかにも今村夏子さんの味わいが出ていてすんなり読了しました♪ たしかに皆さんが評するとおり、暗黙の喩えが散りばめられていますけど、それが嫌味でなくてちゃんと収まっています。表題作もいいけど、書き下ろしの2編も印象的です。
-
初めて味わう感覚だった。
あひるを家で飼ってること自体ぎょっとするのに、そのあひるを見に集まってくる、一見無邪気に見える子供たち。
それを無防備に受け入れる両親。
その様子をニ階から、試験勉強をしながら見つめる私。
何だか背筋がぞくぞくする。余計なことが書かれていないから、なおさら怖い。
そして少し遠目から見ると何だかおかしくもある。
「おばあちゃんの家」と「森の兄妹」には、共通したおばあちゃんが出てくる。
おばあちゃんについて、こういう目線で切り取られているのは初めてだし、いろんな捉え方のできる作品だと思う。 -
知らない空き地に放り出されたような読了感。
解説から「今村夏子が何について書いているかは誰も知らない。ー中略ー 文章は平易で、曖昧なところはどこにもない。見えるものが書かれ、見えないものは書かれていない。」
表題『あひる』(わたし目線)…寂しさから⁈ 何かにのめり込むことに夢中になる父母。その対象自体には執着せず、無くなると次の対象へ矛先を変える。その冷淡さにゾクッとした。
他『おばあちゃんの家』(みのり目線)、『森の兄妹』(モリオ目線)の2話は連作短編。迷宮入りの疑問が、なんとも言えず好き♡ -
河合隼雄物語賞受賞の表題作「あひる」。何も起こっていないはずなのに、読み進めるほど漂ってくる不穏さに、気持ちをざわつかせながら読んだ。他の2作も静かに壊れている。
-
文章は、とても読みやすく、
1日で、読了しました。
読了後の、余韻が、凄く、読み返してみたり、
あれこれ想像して、結びつけてみたり。
私の中で、物語の続きを、作ってしまう。
そんな小説です!凄い!
まず、アヒルの語り手は、何者?
おばあちゃんと、森の兄妹の、繋がりも、よかった。
今村さんの、小説は、初めて読みましたが、
独特の世界観で、ハマってしまいそうです!
-
何とも言えない不思議な感じの短編三作、心がジンワリ暖かくなる。
著者プロフィール
今村夏子の作品






遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
今...
遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
今村夏子さん、好きです!
好きなんですが、良さを言語化できなくて、レビューがなかなか書けないんですよ。
hiromida2さんの好意的なレビューを拝見して嬉しくなりました。
不穏なのに、不安なのに、でも目が離せない。
吸引力ある作家さんですよね。
ネットの古本屋って便利ですよね。
状態を確かめられないのが難点ですけど。
たま〜に文章に傍線が引かれた本に当たって、おお、前の持ち主はここに興味を引かれたのか!と新鮮な思いで読んでいます。
あけましておめでとうございます。こちらこそ、今年もよろしくお願いします。
今村夏子さん、本当にいいですね。
しか...
あけましておめでとうございます。こちらこそ、今年もよろしくお願いします。
今村夏子さん、本当にいいですね。
しかしながら、5552さんのおっしゃる通り
良さを言語化出来なくて、レビューに書けない まさにその通りでした (このコメント文書いてるうちに何度もフリーズしてしまうので 2回に分けてコメントします)
ネット本は確かに状態やら、読みたい本がなかったり難ありですが、最近はここのネット本は比較的綺麗とか…分かるようになってきました(^^;;
そうそう、そうなんです 文章にライン引かれてるの、昔は嫌だったけど、今は、誰かがここに引っかかって読んだと思うと、ニンマリ(^.^)新鮮な思いで読めるようになりました。
今村夏子さんの他の作品も是非、探して読むのが楽しみです!
5552さん いつも、私の心にささるコメント嬉しいです。ありがとうございます!