バチカン奇跡調査官 天使と堕天使の交差点 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041074480

作品紹介・あらすじ

さる宝石商が、呪いの宝石に悩んでいるという。処刑された悲劇の女性、ベアトリーチェ・チェンチが所有していたという曰く付きの宝石で、幽霊の目撃者や死者まで出ているらしい。平賀とロベルトは、その呪いを解くことができるのか。(「ベアトリーチェの踊り場」)
ジュリアが上司、ルッジェリのために催した豪奢な宴には、恐るべき秘密が隠されていた。(「素敵な上司のお祝いに」)
ほか、FBIのビル捜査官やシン博士も登場! シリーズ本編とも密接にリンクする、必読の短編集第4弾!

感想・レビュー・書評

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  • 短編集。

    特に面白かったのは「ベアトリーチェの踊り場」。漠然と男性と女性で色の見え方が異なるのは知っていたけれどあんなにも個大差があるのには驚き。自分の見えている世界がどんなものなのか、改めて客観的に見てみたい。

    そして、ちょっと意外だったのは「シン博士とカルマの物語」。
    信仰によるものだけでは語れない純粋さと優しさが垣間見えるちょっとほっこりのお話だった。

  • 読書録「バチカン奇跡調査官天使と堕天使の
    交差点」3

    著者 藤木稟
    出版 角川ホラー文庫

    p129より引用
    “「それはね、自分と違う異質なものを分か
    ろうとすること。分かろうとし続けること。
    それこそが大切だと思うからさ。”

    目次より抜粋引用
    “ベアトリーチェの踊り場
     素敵な上司のお祝いに
     マスカレード
     シン博士とカルマの物語”

     天才神父二人組みを主人公とした、連作ミ
    ステリ小説短編集。人気シリーズ第15弾。
     仕事場にて、いつものように古文書とにら
    めっこをしていた主人公・ロベルト。急な上
    司からの呼び出しに会議室へ向かうと、上司
    だけでなく警察官も待っており…。(ベアト
    リーチェの踊り場)

     上記の引用は、人間同士が分かりあうとい
    うことに関する、主人公の一人・ロベルトの
    考え。分かり合うことは無理で、そのこと自
    体は大切ではない、と言った後の台詞。お互
    いにそう思っている相手とならば、こういう
    考えで接していてもいいのでしょうが…。分
    かろうとする人の気持ちに付け込もうとする
    ような人もいるでしょうから、気を付けたい
    ものです。
     シリーズを通して出てくる主人公たちの敵
    役や、脇を固めるサポート役たちの人物像が
    より深く見られる短編。特にシン博士につい
    ては、初登場時と比べると随分印象が変化し
    ているように思います。
    シリーズでも重要であろう人物の、ローレン
    についてのエピソードは今巻には無し。独房
    の探偵だけで、スピンオフしてもおかしくな
    いと思っているのですが…。

    ーーーーー

  • バチカン奇跡調査官、短編集第4弾。
    最近めっきり影が薄くなっていたジュリアや「楽園の十字架」の巻に出て来たルッジェリ(この人ジュリアの上司なんでしたっけ…?)とか、いつ出て来たかもあんまり覚えてないビルの婚約者のエリザベート等々、あーこんな人いたな(いたっけ?)とおさらいできる短編集でした。
    ジュリアは色々暗躍してる割に一体何がしたいのかさっぱりわからなかったけど「素敵な上司のお祝いに」を読んで、なんとなく理解できた、ような気がする。ジュリアがルッジェリに饗した特別料理の正体は…まさに身を削ってのご奉仕、ジュリアお疲れさん…。
    「シン博士とカルマの物語」も面白かった。いつもツンツンなシン博士がデレるのが可愛い。ロベルトも難儀な人に慕われたものだ(笑)

    このシリーズはキャラクターが魅力的なので、サイドストーリーも面白いんだけど、そろそろ本編のストーリーも進展してほしいなぁ。期待してます。

  • 短編集でサクサク読めました。
    登場人物の新たな側面が見られて楽しかったです。
    シン博士がとても可愛らしく書かれていて、今までの印象とガラリと変わりました。

  • 踊り場の話とスパイの話が面白かったなあ。
    最後の話は、緊迫した物語が続いた後だったせいか、シン博士の可愛さが際立っていた(笑)

  • 「ベアトリーチェの踊り場」
    呪いの宝石の話。
    バチカン奇跡調査官だから、奇跡の認定はないにしても呪いはあってもいいかな、とも思ったりした。ただ、平賀神父が最後にいった「分かりあってるつもりですが、貴方の目が見ている世界と、私が見ている世界は、違っているのですね。そしてその互いの世界を、どうやってと分かり合うことができないんですね。」という台詞は、分かり合ってるつもりでもすれ違ってしまい分かり合えないのだから、そう思ってもいないもの同士の政治とかの世界では、もっとわかり合うのが難しいのではないかと問うていると思った。

    「素敵な上司のお祝いに」
    ジュリア司祭が上司の誕生日をイヤイヤ祝福するお話。
    なんか、逆らえないからといって女装させられたりと大変な様子が出てくる話。
    最後のメインディッシュが、上司が連れてきた女性陣じゃなくてホントに良かった(笑)

    「マスカレード」
    マスカレードとは、仮面舞踏会っていう意味らしい。それならば、表題通りの内容だった。ビルの恋人とビルの母親が互いにいい恋人と母親を演じ会うというものだった。

    「シン博士とカルマの物語」
    シン博士は厳格なジャイナ教であり一切の殺生を行うことが禁じられている。そんな博士がふとしたところから、一匹のどぶネズミを傷つけてしまい、その治療を行うことに。その治療のために泣きついたのが平賀神父というのが良かった。次巻以降は、もう少し協力的になってくれるかも、と思わせてくれる内容だった。

  • 最初のストーリーはサクッと読めるけど系統としてはいつもの二人を堪能できる。
    最後のストーリーはこの作品の愛らしいキャラ、シン博士のお話。平賀とはまた違ったピュアすぎてとても良き。シン博士と平賀が揃うとロベルトがめちゃくちゃ常識人に見える笑

    2023.4.23
    67

  • 大好きなバチ官シリーズだけれども、読むのは久しぶりになってしまった。

    どの短編も読み応えがあるけれど、やっぱり私はロベ平が登場する『ベアトリーチェの踊り場』と『シン博士とカルマの物語』がお気に入り。

    ロベルトは自分のことを善人とは思っていないようだけれど、シン博士のために奔走する姿に、誠実や真摯という言葉が重なる。

    積読していた既刊5冊も続けて読もう!

  • 二人、ジュリア、ビル、シンの4編。
    最初の二人はいつもの調査のようなかんじ。
    あとは新しい情報が出ながらも、日常(ではないかも)の一日を切り取ったお話。
    ビル堅物、ジュリア意外と気配り、シンは生真面目。
    するする読めるのは文章が上手いから?

  •  このシリーズの短編集は、普段スポットが当たらないキャラクターの色んな面が見られて楽しいですね。以下、一作ずつ一言感想です。

    <ベアトリーチェの踊り場>
     平賀&ロベルトの得意分野を生かして解決に持っていく構成といい、普段よりは短めの蘊蓄語りといい、一連の現象を全て紫外線のせいにするのはかなり苦しいだろうと思いつつのプチとんでもトリックといい、いつもの長編のぎゅっと凝縮版という印象。色の知覚は奥深くて面白いですね。

    <素敵な上司のお祝いに>
     金融と情報技術とグルメ蘊蓄のちゃんぽん……。「これは悪趣味ですね」のやりとりがお気に入り(笑)

    <マスカレード>
     以前のウォーカー博士の話もそうですが、このシリーズの女性キャラの短編、アグレッシブで格好良くて、すごく好きです(笑)堅物のビルとのコンビがいい味出してます。

    <シン博士とカルマの物語>
     このシリーズ最強の癒し枠(笑) 今回はいつにも増して可愛かった……博士のロベルトに対する印象がここまで良かったのには驚きました。そして平賀は、嫌がられているのではなく怖がられていたのか……(笑)

  • 『ベアトリーチェの踊り場』『素敵な上司のお祝いに』『マスカレード』『シン博士とカルマの物語』
    4編の短編集

    ビル・サスキンス刑事の婚約者も両親のコトもすっかり忘れてたし、ルッジェリのコトもあまりよく覚えていませんが、楽しく読めました


  • 学生(らいすた)ミニコメント
    主人公だけではなくサブキャラにもスポットが当たる短編集ならではの面白さがある。

    桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/book/648793

  • 短編集のほうがとにかく話が進んで、読みやすい。
    ベアトリーチェの踊り場 呪いの宝石の調査に乗り出すロベルトと平賀。やっぱりこういう、すっきり解決するのが読んでて楽しい!
    素敵な上司のお祝いに ジュリアさえ影が薄いのに、ルッジェリなんて忘れてた。変な一族~。
    マスカレード ビル捜査官がこんなことになってたとは!両親といい婚約者といい、たいへんだなあ。めっちゃ腹芸とかできなさそうなタイプなのに(笑)
    シン博士とカルマの物語 シン博士、かわいい!しかし、ジャイナ教の人って生きていきにくそうだな……いや、信仰心は大事だし、本人は全然そうは思ってないだろうけど。ロベルトは、人嫌いとか自分では言ってるけど、よく頼られるよね。面倒見もいいし。そして、ロベルト目線の平賀は、救いの神で純真無垢のステキな友達だろうけど、シン博士のように平賀を苦手に感じる人もいるはずだよね~と、すごく納得した。

  • 202002
    短編集第4弾。宝石の呪いに立ち向かう平賀&ロベルト、女装ジュリア様のジュリア´sキッチン、ビルの偽装恋人エリザベートの華麗なる活躍、ロベルト相談室の4本。
    冒頭1本はいつものバチカンシリーズ風の話だが、ジュリア(考案の)料理にはかなり引いた。エリザベートといわず、バチカン~に出てくる女性は皆格好いい。シン博士のロベルト相談室は笑えた。

  • 久々の短編集、それぞれ味があっていい感じです。
    ジュリアはちょっとゾッとしましたけど・・・クリーンな方で良かったです。
    シンさんは・・・いい人でした

  • 図書館で。短編集は軽く読めるので良いなぁ。
    ロベルトの目が実に良いというお話は良かったな。見える世界が違っても、違うという事を尊重しあえるというのはとても素敵な事だと思います。流石、聖職者良い事言うな。

    ビル捜査官の婚約者の騙し合いも面白い。けど、買ったアクセを祖母の形見とか言うのは止めておいた方が良いような。今回のオーディションに使った小物なんだけど彼にバレ無いようにもらって頂戴、ぐらいの方がスマートなような。

    ジュリアさんと上司のぶっ飛びお誕生日パーティも中々のインパクトがありますが、個人的にはやっぱりシン博士かな。可愛すぎないか、彼。
    事あるごとに唯一の友に電話かけてくるとか、面白すぎるだろう。それにしても敬虔な宗教って大変だなぁ…と他人事ながら思いました。

  • 素敵な上司のお祝いにが面白かった。ジュリアのそういうとこが好き

  • 短編集。
    ビルの偽装婚約者エリザベートの一日を描いた『マスカレード』と、シン博士がジャイナ教の教義を守るために奔走する『シン博士とカルマの物語』が特に面白かったかな。スコルとハティも元気そうでよかった(^ ^)

  • シリーズ短編集第4弾。
    「ベアトリーチェの踊り場」
    呪いの宝石に悩まされる宝石商の呪いの謎を解く話。一度平賀の入院で中断され、別の方面からヒントを得る。ロベルトの能力の理由も。
    「素敵な上司のお祝いに」
    ジュリアが上司のルッジェリのために誕生祝いの宴を催す話(ちなみに毎年やってるらしい)。このふたりの関係はなかなかハラハラする。
    「マスカレード」
    ビルの(偽装)婚約者のエリザベートがメイン。ビルの母親エミリーとふたりだけで対面、お互い仮面を被りあった会話を交わす。ビルはどうなるんだろ。
    「シン博士とカルマの物語」
    シン博士のジャイナ教の戒律(主に殺生)について。コミカル寄りな話。シン博士がめっちゃオロオロしてます。ロベルトと平賀も出てきます。

  • 短編集第四弾。
    「ベアトリーチェの踊り場」と「シン博士とカルマの物語」が特に好きです。

    「ベアトリーチェの踊り場」
    個人的に宝石の呪いの話は、怖いもの見たさで関心があった話なのでわくわくしながら読めました。最後の平賀さんとロベルトさんのやりとりを読んで、やはりこのコンビが好きだなと感じました。

    「シン博士とカルマの物語」
    シン博士のことが知れる話で嬉しいです。オチも思わずクスリとさせられました。
    今回のことで少しでも苦手な平賀さんとかみ合うきっかけになればいいなと思います(笑)

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著者プロフィール

大阪府出身。1998年『陀吉尼の紡ぐ糸』でデビュー。ミステリーや伝奇など、多岐にわたるジャンルで活躍する。「バチカン奇跡調査官」シリーズは累計140万部を突破するヒットとなり、アニメ化もされた。他の著書に「朱雀十五」シリーズ、「陰陽師 鬼一法眼」シリーズ、『太古の血脈』など多数。

「2022年 『バチカン奇跡調査官 秘密の花園』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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