- Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041075029
作品紹介・あらすじ
その年、私は療養中の恋人・節子に付き添い、高原のサナトリウムで過ごしていた。山の自然の静かなうつろい、だが節子は次第に弱々しくなってゆく……死を見つめる恋人たちを描いた表題作のほか、五篇を収録。
感想・レビュー・書評
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主人公が視ている情景だけでなく耳や肌で感じたことも繊細に描写されていて、神視点の私ではあるけれども実際に体験しているような感覚になりました。また、今と言葉遣いが少し違って堅くクリアではないのがむしろ美しく誠実に感じられ、「風立ちぬ」においては2人の清く柔らかな関係がそれによってより際立って純粋に優しく穏やかな気持ちになりました。と、思いきやたまに主人公の男らしい欲望が見え隠れし、それが堅い言葉で理屈っぽくつらつらと綴られている様子が面白おかしく感じることもありとても充実した1冊だったなぁと感じます。
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風立ちぬ、いざ生きめやも。
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療養中の恋人に付き添い、高原のサナトリウムで過ごす日々
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ちょっと昔の文体で書かれてるから中々入りずらかったなぁという印象。アニメも途中までしか観たことないから観たら整理できるだろうか。
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978-4-04-107502-9 284p 2013.5.? ?
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堀辰雄文学館を訪れたのをきっかけに”風立ちぬ”のみ読了。古典文学は読まないので全編を通して感じられるひんやりとした空気感となんとも言えない透明感が新鮮でした。
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情景描写がうまく、2人が座っているところや冬の冷たさなど情景がありありと目に見えるようでした。
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ジブリ版を観たあとすぐ読んだ。風立ちぬ は鬱になりかけた。
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「美しい村」から始まり「風立ちぬ」まで、さわりを読んだだけでは一見そうとは思えないが一繋がりの話。
全体的に風景や人物描写のあとに語り手の感想等の記述があるとあう丁寧親切設計なので、私のように情緒の理解に乏しい人間でも話に迷子にならずに読むことができるのはよかった。
実体験をもとにした話は珍しくないが、そこに妄想という妄想を加えて究極的にピュアにした理想の最後を描いた、という印象を受けた。これが二人のやり取りだけで、もし広大で美しい自然の描写が無かったら胸焼けを起こして途中で読むのを放棄していただろう。 -
ジブリ映画「風立ちぬ」に先立って読み始めたが、読了は遥か後日となってしまった。文筆家の主人公が小説の題材を求めて軽井沢で過ごす風景を小説にするという「美しい村」を振り出しに、少し苦手な純文学の小品が綴られる。読む速度が上がらなかった。解説は多士済々で、中には自分の解説に酔っているのでは? と思うものがあったが、恐らくそれが書かれた時代には何の違和感も無かったのだろう。残念ながら著者が意図した音楽的なリズムも感じられず。