- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041075296
作品紹介・あらすじ
2019年、45歳独身で人生に絶望したフリーターのトリコ。睡眠薬で自殺をはかって目覚めたのは、1989年の渋谷だった!トリコに幸せは訪れるのか? 林真理子、燃え殻も才能を認めた著者の会心作!
感想・レビュー・書評
-
予備知識無しで読み始めたのでなんのこっちゃか分からず読み始め、直ぐにフリッパーズギターオマージュかと分かりました。だからドルフィンソングだったのかあ。
完全に今の50歳前後がジャストミートの本ですね。物凄く狭いターゲットを狙い撃ちしていますね。さすがです。
先日読んだエッセイも完全にバブル前後に青春だった人向けでしたし、本作も全く普遍性が無く、脳内で当時を振り返りながら読みました。ノスタルジーでしかない。だがそこがいい。
45歳の女性がその年のまま30年前にタイムスリップして、憧れのミュージシャンの未来を救おうとしたら、音楽ライターとして成功して、憧れのミュージシャン自体と懇意になってしまうという鼻毛が出てしまいそうな展開ですが。転がるように展開してあっという間に読まされてしまったなあ。
同時代的に読むことが出来れば、頭空っぽにして楽しめる作品です。フリッパーズギターの作品とか、90年ころのおしゃれポップ聴きながら読むと臨場感あっていいと思います。僕はヘッド博士の世界塔聴きながら読みました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
年齢がバレそうな感想はあまり書かないようにしているのですが、本作ではどうにも無理(笑)。最初の頁の中原中也に吉田拓郎でニヤニヤ。目次を読んでいくつかでも拾える人ならば中身もそこそこは楽しめると思いますが、普通の一文の中に東電OLとか木綿のハンカチーフが出てくるから、それに反応できなければ読むのが辛そう。
まさかのタイムスリップもの。45歳の独身女性がバブル期に戻ったら、こんなことあんなこと。なんだかんだで男目線、納得できない部分もあるけれど、ネタを拾うだけでも面白い。ツボはやっぱりミリ・ヴァニリ。ワラける。 -
自意識の不良債権を背負った そこは敗残者の群れだ 他者を罵倒することでしか生を実感できない 吉田拓郎からニルヴァーナへと絶妙なセンスを感じさせる選曲から 園子温 右から左へ移すのはだだの剽窃だ 小渕恵三 朝シャン 和田勉 慇懃に頭を下げた 嘆息した たいちょ大著を閉じた 奥の五叉路 茶沢通り 一念発起して ストーン・ローゼズ 川崎クラブチッタ 故に酷薄で 平身低頭 斟酌 陰険な冷笑は続いた 事実は小説よりベタなり 裕福な時代の貧乏讃歌だ ぷかり〜 悲しみの果て どれも広告収入がハンパじゃなさそうだ 悠々と鼾を掻き ドーナツトーク=無駄話 鈴木清順 極私的には 換骨奪胎かんこつだったい パクったって率直に言っていいから "元ネタを超えてやる!"という意志が感じられるし 洋楽マニアにとって至福とも言える季節だった ライドの来日初公演で 論戦も辞さない そこらの半可通 渋谷クアトロ ステージそばの太くて邪魔な柱 ぴいひゃらぴいひゃら 人類が初めて木星に到着し あんぎゃ行脚 四方山話よもやまばなし よるべ寄るべない うやうや恭しく 崇め奉りたてまつり 喪女 そそのか唆されて 間違いだらけの選民意識 ぼくねんじん朴念仁 空疎 累が及ばないように 喜悦と苦悶が綯交ぜになった表情 むへん無辺の蒼穹 「予言は必ず当たる。予言が当たるまで生きていれば」
-
平成元年という、40代の人と話すとよく耳にする噂の時代が舞台。自分は知らない時代なんだけど、謎の魅力があって大好きな時代。聞いたことあるワードが出てくるとなぜか嬉しい。
だけど、そこまでその時代の設定を活かしているとも言えないストーリーだったような・・ 。そもそもどうしてその時代にタイムスリップしたのかも謎。 -
あの時に絶望から救ってくれた才能と、
常に自分を何者かにしてくれない非凡さを絶望させる才能は同じなのかもしれない。
普通でいたいけど、変わってると思われたい。
特別と思われたいけど、普通じゃないのは怖い。
どんな人でも救いのある明るい世界観の
あの歌詞の世界観と通ずるものを感じる。
もっと知っていればもっと楽しめる気がする。
好きが詰まった小説だと思った。 -
タイムスリップものだが、作者らしいオマージュに溢れた物語だった。
青春時代を捧げたアーティストが犯す殺人を、しかも相方を殺すという凶行を止めようとする主人公の気持ちにどこまで感情移入できるかはわからない。少なくとも自分はそこに共感はなかった。でも、80年台後半にタイムスリップして、新たな人物として過ごすその姿が面白かった。
あらゆるところに散りばめられている80年代、90年代への愛着みたいなものを感じた。
設定に無理があったり、オチが強引だったりするが、そこはこの際不問。あの時代を過ごしたサブカル野郎どもは必読だ。 -
201901/
著者プロフィール
樋口毅宏の作品





