- 本 ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041075456
作品紹介・あらすじ
始めたばかりの猟で遭難してしまった潮田亮二、35歳。相棒の猟犬と共に途方に暮れていたところ、無愛想な猟師・大高に助けられる。
かねてからジビエを料理したいと考えた潮田は、大高の仕留めた獲物を店で出せるように交渉する。しかし、あっさり断られてしまい――。
夢を諦め、ひっそりと生きる猟師。自由奔放でジビエへの愛情を持つオーナー。謎の趣味を持つ敏腕サービス係。
ふつうと少し違うけど自分に正直な人たちの中で、潮田は一歩ずつ変わっていく。
人生のゆるやかな変化を、きめ細やかに描く、大人の成長物語。
感想・レビュー・書評
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大自然と共生する生活。
都会暮しの軟弱な私は
耐えられないきびしい
世界だと思いますが、
人ごみから解放されて
猟犬と共に山をめぐる
日々は、
自律神経系にとっても
良さそうです♪
本作に登場する猟犬は
ポインターと北海道犬。
その表情や動きの描写
がとてもリアルで、
彼らの息づかいを間近
に感じました。
ところで個体数管理や
鳥獣被害を防ぐために、
捕獲した動物の多くは
焼却処分されていると
いう実態。
できればジビエとして
もっと流通してほしい
と思います。
そういえば、昨年秋に
鹿肉バーガーを全国で
販売したロッテリア。
今後の取組みにも期待
しています♪詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ジビエも食べたことがないし、猟師にも縁がない。猟師に対する偏見が酷い。
害獣駆除のため、焼却処分されている数が多すぎて驚いた。
スーパーで買う肉は、誰かが解体してパックに詰め売られている。
大変な作業をしている人がいる事、いつも命をいただいているという事を忘れないようにしたい。
潮田シェフの作るジビエ料理は食べてみたい。
また、ジビエに対する見方が変わった。
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今の季節にぴったりの装丁でジャケ借りしてきました!
借りてからかの有名な『タルト・タタンの夢』の人の本だと知ってびっくり
ジビエを題材にした物語なのですが物語としても良かったし、詳しくない分野の雑学的な知識知れて面白かった!
ヒヨドリって食べれるし、しかも害鳥なの知らなかった…(クチバシを刺して果物を食べるから果物農家にとって天敵)
みかんを食べて育ったヒヨドリは肉が綺麗なオレンジ色で、香りもみかんの香りが移るんだそうです
こうやって知らなかった世界に出会えて広がっていくのが読書の醍醐味だよなあ
猟師の人はいたずらに獲物を仕留めるんじゃなくて、農作物や山の木々が荒らされないよう適正数を保つために管理するという意味合いで猟をしているそうです
ジビエって高値な割にクセがある、というイメージで敷居が高いと思ってた
でもそれは美食目的ではなくて、て 駆除したものを命として食べられるから食べるに越したことない
かつ加工できる業者が少なく手間も時間もかかる
故にメジャーな食肉とは色々なところが違うのはそりゃそうなんだよな
「豚・鶏・牛の限られた種類の肉を食べるようになったのは歴史的に見るととても近年の話」というのにすごく納得した
タイトル『みかんとひよどり』は料理人として自分のオリジナリティをどう出していくかで考えた主人公が、ヒヨドリにパッションフルーツを組み合わせるより定番のみかんを合わせた方が美味しいと気付く→今後の料理の作り方のヒントを得た
というところからきてるのかな?
そこだけ納得いく解釈が浮かばないなー -
タイトルの意味を含め、狩猟の話や解体の話はとても新鮮で勉強になった。
猪肉や鹿肉料理は普通に食べたことあるけど、潮田が作るようなおしゃれなジビエ料理を食べてみたいな。
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表紙のタイトルと絵が、キャンプを楽しむ二人に見えたけど、
内容は、ジビエ料理と、野生動物の狩猟の話と、
そして、やっぱりミステリー。
「いただきます」
とは、生き物の命を頂くこと。
生きるために必要で、感謝して食する事。
自分でさばかなくても、誰かが大変な作業をしていることに、感謝しなければ。
近年、山の自然が侵され、エサを求めて熊や鹿などが人間の居住区にたくさん出没して、ニュースになっている。
だいぶ昔は、熊鍋や獅子鍋など山の生活には当たり前にあった。
増えすぎては駆除し、少なくなると保護し、人間の都合で立場の変わる野生動物たち。
「山には山のルールがある」、はしみじみ納得。
フレンチシェフと狩猟者の出会いから心の交流に、
2匹のワンちゃんがいいスパイスを加えている。
ちょっとスリリングで、暖かい話だった。 -
心地良い時間だった。
狩猟もジビエ料理も未知の世界。その世界が静かに柔らかく綴られていく物語は今の気分にぴったり。心地良い時間を味わえた。
人って常に命をいただいて生きているっていうこと。
当たり前に食しているものの裏側を見つめてみること。今一度心に大切に留めたい。
ちょっとしたミステリを絡ませながら、心の葛藤と共に育まれていくシェフ、ハンターの二人の友情、そして一歩先を見つめていく姿も良かった。
そして眺めるたびに心がホッと落ち着く、二人の時間が溢れ出ているこの表紙カバーが何よりも好き。 -
ジビエは割と身近なところに住んでいるけど、ヒヨドリが食べられるとは知らなかった。しかも美味しいって・・・。
野生動物を処理して、料理人が腕を奮えば、こんなに美味しそうなものが出来上がるのか、と思いながら読んでいたら、ミステリーも絡んできた。誰が犯人だろう?と引き込まれたが、ミステリーにめっぽう弱い私は犯人探しに向いていなかった。それは置いといて、ジビエの美味しそうな描写や、色々な問題点、狩猟の未来まで見えてくるのは良かった。
潮田シェフはともかく、猟師の大高、人気レストランのオーナーになったかつての同僚、ジビエ好きなレストランオーナー、接客の若葉ちゃん、みんな生き生きして、個性的。またそれぞれに役割もあって、物語が膨らんでいく。とても楽しめた。 -
近藤史恵さんの本では、ちょっと変わったお料理と出会える。さらっとさりげなく、でも美味しそうに描かれているので、どんな料理なんだろう?!と創造力をかきたてられるし食べてみたいと思う。
物語はフレンチの料理人と猟師の出会いから始まる。
料理人の店はあんまり流行っていないようだし、いい加減なシェフなのかな?と思わせるようなスタートなのに、実は真摯に料理と向き合っていて、たぶんかなり腕もよいことが分かってくる。
猟師はいかにも世捨て人という感じで、どういった背景の持ち主なのか、こちらも読み進むほどに興味をそそられていく。
ミステリな要素も持ちつつ、ラストは希望に繋がる感じで良かった。
ジビエにはあまり興味はないけれど、このレストランには行ってみたい。 -
ジビエ料理を安定して出したいと思っていたシェフが猟師の大高と出会い、お互いに成長する話。自分のポリシーだと思っていたようなことでも、新しい考え方を知って違うとらえ方や価値観になることがある。そんな柔軟さを持っていたいと思う。
著者プロフィール
近藤史恵の作品





