ジョン万次郎漂流記,本日休診 (角川文庫クラシックス い 3-1)
- KADOKAWA (1979年5月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041076019
感想・レビュー・書評
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表題ほか全3編の短編集。土佐の漁民ジョン万次郎の人生奇譚、戦後混乱期の蒲田の個人診療所の話、お人好しの骨董好き親父が料亭を始めるが乗っ取られる話、の3本立て。文体が古くてどうにも読みにくいがジョン万次郎漂流記はなかなか面白かった。
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14歳で漂流生活を切り抜け、アメリカに渡り、英語を習得し、自力で再び日本に戻り、後に大学の教授になった人。波瀾万丈な人生を送った、魅力に溢れた人物だったであろうと想像しますが、いかんせん知名度が低い。高知は龍馬、龍馬言い過ぎじゃないでしょうか。愛媛が坊ちゃん、坊ちゃん言い過ぎなように。
日本がまだ鎖国をしていた時代、万次郎を救い丁寧にもてなしてくれた異国の方々の様は、すごく新鮮だったと思う。やっと悲願の帰国を遂げるもまだ視野の狭かった日本では、「外国帰り」ということで警戒された万次郎。そんな中で、万次郎からアメリカのことや英語を学ぼうとした島津斉彬もさすがだと思います。 -
「ジョン万」主人公たちのタフさがじんわり心にしみこみます。
「本日休診」今も昔もお医者さんは大変な仕事です。 -
一部教科書に載っていて、おもしろかったので、読んだ気がするが。実話だからおもしろい。 昔は辞書もなく、本当に赤ちゃんが言葉を覚えるようにして、英語を習得したのだろうなぁ。今みたいに情報も、初めて見る外国人に驚いたに違いない。通信手段も、交通手段もなく、帰国するまで、また十数年ぶりに帰国してからも大変だっただろうなぁとしみじみ思った。
帰国の方法もすごい。中国へ行く予定の船に、短艇を乗せておき、風順が悪く、運良く沖縄8kmまで近づいた時に、短艇でこぎ寄せたというからすごい。
帰国後、通訳として福沢諭吉らとアメリカへ上陸した際、現地の新聞では、「(日本人は)船の中は万事よく整頓し、規律正しく、清潔であった。と書かれてあったそうだ。その前文に、「加州にいる中国人よりずっと教養があるように見えた。」と書かれてあり、船のなかが整頓されておらず、無秩序で、清潔でなかったのかと様子が目に浮かぶようだ。
ホノルルで現地の人と結婚して、奥さんを残して帰国した五右衛門はその後どうなったのか、帰国せずに現地に残りおけ職人を続けた寅右衛門の事も知りたかった。
他本日休診、珍品堂主人を収録。